前回のエントーで報道から見た地方分権の問題について取り上げましたが、麻生政権時代の08年12月に書いた地方分権の問題点に絞った纏めが有りましたので報告します。
[12道府県の不正経理]
全国12道府県で不正経理が発覚した問題で、会計検査院に指摘された不正経理の総額が、10億円以上に達することがわかった。
国へ返還する補助金分は5億6339万円となる見通しで、架空発注で業者の口座に資金をプールする「預け」と呼ばれる裏金も、総額8678万円に達した。膨れ上がった不正額は公金を扱う職員のモラルの乏しさを映しており、批判の声がますます強まりそうだ。
[地方分権の問題点]
地方分権に反対する省庁の言い分は次のようなものだろう。
a.表向きの理由
・全国レベルでバランスの取れた政策が難しくなる
・地方組織の規模が小さ過ぎて情勢の変化があった場合にその運営に支障を来すことがある。
・技術的には国からの都道府県ごとの交付金の決定が難しいので、今までのように案件ごとの交付金配布の方がより適切になる。
a.表向きには言えない理由
地方の問題
・国に比べて特定の思想を持つ人が長になる可能性が大国全体の方向と違う方向に進む可能性があるのでその権限はなるべく小さくしたほうが良い。
・地域が小さくなる程土地のボスや特定の圧力団体の影響力が大きくなりやすく、公平な政策実施が難しくなる。きく、
・地方自治体に問題が起こっても、全国的に報道されず地方に埋もれてしまう可能性がある。
・地方自治体の不正など中央省庁としての監督する必要がある。
省庁内の問題
・人員、予算とも大幅に減らされれば、その権限が大幅に削除される。
・ある程度合理化が進んでいる地方自治体に出向した職員はリストラされないとしても、その負担が大きくなる。
[地方自治体へ]
今回の会計検査院が検査した全ての道府県の不正経理の発見は自民党、近い将来政権をとるかも知れない民主党による地方分権や公務員制度改革に直面している省庁にとってまたとない反対の理由を与えるものだ。
社保庁職員のようなとてつもなく大きな怠業や国土交通省の無駄遣いなど、自分のことは棚に上げて、政府の官僚は地方自治体の監督の必要性を訴えるだろう。
地方自治体は今までの分権要求の方向から、地方への交付金増額要求のほうに傾いているそうだが、今回の問題発生が地方分権のみならず予算増額要求にさえ不利な情勢をもたらしている。
都道府県庁など地方自治体は政府の省庁に比べれば圧倒的に規模は小さく、首長や幹部がその気になれば、細部に亙って眼が届きやすい立場にいる。
今度のことで政府省庁に地方分権反対や配布予算の増額反対の余計な口実を与えない ためにも、会計検査院に代わる第三者の定期的な会計監査を自主的に導入するなどして、このような問題の起こらない様に努力する必要があると思う。
地方分権改革の現実
今年大きなヤマ場を迎える地方分権改革については、地方分権改革推進委員会において、1月30日から、国の出先機関の見直しに関する各省庁ヒアリングが始まった。当日は経済産業省から、2月6日には国土交通省と法務省からのヒアリングが行われた。来る20日には農林水産省からのヒアリングが行われる。
そうです。
詰まり地方分権も一つの大きな柱として発足した民主党政権も2年もたってやっと出先機関の見直しに入ったばかりです。
出先機関の統合の問題でも麻生政権のときに動きだしたときに、官僚と自民党ないの族議胃などの反対で潰れ、それが自民党政権陥落の一因となったのを考えると、一応の統廃合のための資料は揃っている筈なのに。
出先機関の問題から本論の地方分権に何時たどり着くのか。
後は橋下さんの動きに政権与党の民主党も乗ろうとしていると言うみっともない話。
本来の民主党のマニフェストの考え方では「地方分権に伴う政府公務員の移動により公務員の経費2割削減」の筈でした。
これを見ると誰でも直ぐ判るように、財政難に苦しんでいる地方自治体がその経費を政府に要求、政府も何らかの形の交付金を支給、政府の経費は変わらないことになり、国会には出せない公約です。
だからと言って今更公務員経費の2割削減のために、その給与の削減といういくら公務員が優遇されていても、2割カットは公務員に取って大きな問題です。
しかもその前提として野党からの反対は確実の、官公労に団体交渉権を与えるというのですから。
だから外野からみると公務員経費2割削減の案自身が可笑しいことために、もう一つの「国民に対する約束」の地方分権を進める意欲がなくなったようにも見えます。
私は素人でさえ前にも触れたように、政権を取るかもしれない、民主党のマニフェストの功罪や問題点を国民に知らせなかったマスコミの責任は大きいと思います。
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