普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

最近の原発報道の不思議(1)

2011-09-20 11:37:29 | 電力、原発

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[大江健三郎さんの反原発集会]
 昨日の「さようなら原発集会」に関する朝日新聞の報道です。
 脱原発を訴える「さようなら原発集会」が19日、東京・明治公園で開かれた。ノーベル賞作家の大江健三郎さんらが呼びかけた。全国から約6万人が参加し、東京電力福島第一原発の事故に関連した集会では、最大規模になったという。
 集会では大江さんのほか、経済評論家の内橋克人さんらが登壇。大江さんは「原子力は荒廃と犠牲を伴う。私らは原発に抵抗する意志を持っているということを政党の幹部に知らせる必要がある」と呼びかけた。
 集会は脱原発への政策転換を求める署名運動「さようなら原発1000万人アクション」の一環。原水爆禁止日本国民会議(原水禁)などが支え、これまでに100万人を超える署名を集めたという。

昨日のTwitterでは反原発デモの参加者の多さに、異様の高揚感で「これをもしマスコミが取り上げないとしたら責任の放棄だ」との書き込みまで見られました。
 私は世論調査などの数字から見て参加者の多くは堅実な考えの原発漸減論を支持していると思っています。
 然し問題は集会の中心となる
・大江さんは「沖縄ノート」で曽野綾子さんから「現地取材もせず間違った記述が多いと」と視野の狭さを指摘され、Wikipediaでは池田信夫さんから「社会主義に寄生していた精神的幼児」と酷評されるなど多くの評論家から批判されている問題児であること。
・同じく内橋克人さんはNHK(正確に言えば左派が支配する政治部門)のお気に入りで、他社から殆どお呼びのかからない経済評論家であることから
 今回の6万人の大半を占めると思われる日本経済で大きな影響を与えない様な原発の縮小、いずれかは停止と思っている人達の行動が、大江さんの「原発に抵抗する意志」詰まり会合で俳優の山本太郎さんが言っていたように「原発即時停止」の彼らの主張の根拠として使われる可能性が多いと思います。
 増して朝日新聞が教えてくれたように、原水爆と原発を同列に扱う原水爆禁止日本国民会議が今回の動きを支えているなど、私の心配を加速させるものです。
 原水禁は国民の支持率が僅か1%にも満たない社民党がリードしているのです。
 大江さんなどの平和主義者の特徴は、「たかじんのTVタックル」で活躍する田嶋陽子さんと同様に、自分の都合の良い事ばかり主張して、都合の悪いことには目をつぶることです。
 原発の化石燃料発電所の転換に伴う電気料金の値上げ、それに伴いただでさええ厳しい経済情勢の中で企業の海外流出、雇用の減少、温室効果ガスの増加など、絶対に口に出しません。
 そして残念なのは日本の国政はしばしば少数派により造られたムードに動かされる傾向があります。
 大江さんの「沖縄ノート」に象徴されるように自虐史観がいつまでも日本に残っているのは、国民の数%にすぎない教員の、そしてその加入率が30%前後の日教組の教育委員会への圧力お蔭です。
 そして実質的に彼らの選択した教科書で大多数の児童、生徒が教育されているのです。
 そして少数派の意向がまた今後の日本のエネルギー政策に大きな影響を与えるかもしれません。
[日本原子力学会に出た意見]
 日本原子力学会が19日北九州市で開かれましたがそのシンポジュウムでで私の関心を引いた意見です。 西日本新聞より)
・二ノ方寿・東京工業大大学院教授は「徹底的な原因追究と自己批判を重ねて教訓を共有すべきだ」
・岡本孝司・東京大大学院教授「自動車業界のような『カイゼン』を止めたことを反省すべき」

 元保全技術・管理者として私は最初からこの問題を取り上げて来ましたが、今までこの種の意見は全くマスコミに取り上げられませんでした。
 読売新聞の解説によると、今回言われていたように今回の事故が想定外の津波でなくて、事故の前から東電側の研究の結果として15mの津波の予測が出たと保安院に報告があったが、土木学会の報告を待つとして立ち消えになったそうです。
 時間的に一致するかどうか判りませんが、福島第二では今回の事故の直接の原因となった緊急電源装置を原子炉建屋に入れました。
 そのとき日本最古に近い原子炉と緊急電源装置をタービン建屋に持つ福島第一の人は15mの津波の可能性や、第二の改善点の情報を聞いて黙っていたのでしょうか。
 核と言う超危険物を扱う人達が黙っているわけはありませんが、何らかの対策はなく、岡本さんの言うように「カイゼン」は見送られたのです。
 第一の吉田所長は事故後の対策で忙しい中、青山繁晴さんをを福島第一に入れ、防潮堤が欲しいと言ったそうです。
 これなど考え併せると私は利益優先の東電幹部の意向が働いたと思うのですが。
 福島第一を視察したIAEAの報告書も耐えざる検査方法とその対策のアップデイトが必要と指摘しているそうです。
 然しタービン建屋の強化策も第二のように緊急電源装置の原子炉建屋への移転もなく、女川や第二が無事停止したのに、第一だけが大事故を起こして仕舞いました。
 誰が考えてもこの事実から今回の事故は福島第一特有のものであることを疑うべきです。
 なおおかしいのは政府が決めた事故調査委員会が福島第一の事故発生の原因調査を10月以降にどうするか決めるそうです。
 これから考えると
・今回の事故が福島第一特有なものであっては困る。
・人知を超えた想定外の津波が起こらなければ困る
人がいるとしか思えません。

 先ず第一は東電の経営者、そしてその監督責任を持つ経済産業省の官僚です。
 そして原水禁のような核爆弾と原発を一緒くたに考えている人達です。
 しかも問題をややこしくしたのが、そう言う官僚に引きずられた民主党政権が今回の事故は政府、事実上は(自党の責任でないとして軽々と)自民党政府の責任があるとして、東電の責任の軽減を図ったことです。 (私は事故そのものの責任は民主党政府にないと思いますが、事故後の対応は勿論、事故を政府責任とした責任は民主党政権が負うべきです。)
 政府のやらねばならないのは、徹底的なそして早急な事故原因の追求とそれの元となった東電の体質の追求と、その次に政府の責任です。
 それが今止まっている原発をどうするか、今後の原発を含むエネルギー政策をどうするかという早急なそして基本的な問題解決やその意志の決定に繋がっていると思うのですが。(以下次のエントリーに続く)

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