普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

東北3原発のうち何故福島第一だけが事故を起こしたか

2011-09-30 10:54:37 | 電力、原発

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福島原発事故調査委員会、自民党、読売新聞へ
 読売新聞がその社説で今日成立する「福島原発事故調査委員会」の国会設置法案に就いて概要次のように書いています。
・東京電力福島第一原子力発電所事故の原因などを、国会が独自に調査することになった。政府とは違う観点から事実を究明し、教訓を引き出すことができるか。国会の調査能力が試される。
・メンバーには、与野党の推薦により、民間の有識者10人が充てられる。
・政府も畑村洋太郎東大名誉教授を長とする事故調査・検証委員会を設け、調査を進めているが、その調査権限は明確ではないが、国会の調査委の場合は、必要に応じ、上部機関の「両院合同協議会」が議院証言法に基づいて書類の提出を求めることができる。
・解明すべき点
 事故直後、原子炉からの排気(ベント)が遅れたのはなぜか。菅前首相の原発視察が、東電の事故対応に影響したかどうか。菅氏による判断や東電や経済産業省への指示の是非 菅氏の事故の早期収束に失敗した理由
 放射能拡散の情報開示が遅れた経緯
 事故を防止できなかった東電や経産省、原子力安全委員会の責任
・与野党は法案提出に当たって、「調査委を政治的に利用し、これに政治的影響を与えてはならない」などと申し合わせた。「政治ショー」に陥らないよう、客観的な調査・検証であるべきだ。

[私の意見]
*先ず解明すべき点
・何故福島第一だけが事故を起こしたか?

 読売新聞が例として上げた点は総て福島第一の事故発生後の対策ばかりです。
 私は元保全技術・管理者として高圧ガス関係の設備保全に関わった経験から言えば、原発や石油化学の危険物を扱うプラントでは事故が起きたらお終いだと言うことを知っています。
 だから事故を起こさぬよう万全の処置を取り、同種のプラントを管理する経済通算省も、厚生労働省もその為の指導をしています。
 だから先ず調べねばならぬのは、事故発生の直接原因となった緊急時非常電源が何故起動しなかったかと言う理由を調べることです。
 その解決の糸口は東北で同じ災害を受けた女川と福島第二が無事停止したのに、福島第二だけが事故を起こしたかの解明です。
 福島第二が助かったの理由の一つは、緊急電源装置が防水能力が高い原子炉建屋にあったからと言われています。
・福島第一と本店のコミュニケーション
 それに対して、同装置をタービン建屋にある福島第一の運転や保全担当者はそれを黙って見ていたのでしょうか。
 読売の解説では東電から津波の高さに就いて15mの可能性があると言うレポートを一時原子力保安院に提出したがそのままになっていたそうです。
 福島第一の人々はこの話を知らなかったのでしょうか。
 普通に考えれば、原子力と言う長危険物を扱う現場の人達が黙ってみている筈はないと思うのですが。
 もしそうなれば現場の人達と本店の間でやりとりがあり、本店側のなんらかの意向、例えば当面の利益優先などの理由で現場が押し切られたと思うのが当然と思うのですが。
・福島第一の絶えざる改善がなされてきたか
 福島第一の1号機は日本最古の原発と言われており、総ては米国のGEに教えられながらの建設だと言われています。
 そこ日本独自の細やかな配慮は入っていません。
 IAEAの福島第一の調査報告では絶えざる調査方法とその結果のアップデイトが必要と報告されているようです。
 日本でも古い福島第一はその後の技術の進歩に対応して来たのでしょうか。
 例えば原発の汎用材料であるステンレス鋼で言えば当初のSUS304からSUS316→二相合金→チタンと進化を遂げています。
 ここでも福島第一と本店のコミュニケーションの問題が絡んできます。
・東電の体質
 福島第一の事故以後 Wikipedia の記述も変わりましたが、東電関係の原発の事故とその隠蔽の記述が他社の原発と飛び離れて多く記録されていました。
それと事故発生後と東電のやり方を見ても、原発と言う超危険物を扱う会社として問題があるような気がします。
*政府の事故調査・検証委員会との関係
 元保全技術・管理者の私として一番引っ掛かったのは、上記委員会の第二回の会合の報道でした。
 同委員会は読売が指摘したような、事故後の対策の究明に力を入れて、肝心の事故原因等調査チーム」は事故後の対応に主眼を置き、原発のベント(排気)作業などの対処や意思決定の実態解明に乗り出す。次回会合は9月27日を予定している。そうです。
 然し、今日28日朝のネット上で調べましたがその後の方向はいまだ判りません。
 私は、読売が心配するように、政局の話しに移りやすく、「政治ショー」と批判されないためにも、当面は政府の委員会が手を抜いている、事故の直接原因の調査に集中すべきだと思います。
*事故の直接原因追求の必要性
 野田さんは今後の原発の運転再開、原発の輸出は事故原因の調査により慎重に検討したいと反対派からみれば前向きの発言をしています。
 少なくとも自民党や読売新聞、産経新聞は経済に大きな影響による原発漸減と言う確実でしかも多くの国民が支持している考え方をしているようです。
 その為にも女川、福島第二が助かったのに、福島第一だけが事故を起こしたのかの調査が今後の原発政策の決定に大きな影響を与えることになると思います。
 詰まり反原発派の人が福島第一の事故と言う一事が総ての原発の事故と言う万事に繋がると思わせたいのに、私の意見では福島第一固有の事故であることがはっきりするからです。
 そして反原発派の言うように無闇に原発を停止すれば綱渡りの今の日本経済に大きな影響を与えかねないからで。
*調査委員会のメンバーに必ず保全の有識者をいれること
 前に書いたように、設備の運転、保全や改善などは、より現場的な問題です。
 だから学者も大切ですが、日本プラントメンテナンス協会に相談して、保全の技術・管理者の適任者を是非いれて頂きたと思います。

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