産経の【正論】に青山学院大学教授の榊原英資さんが、 「高福祉・高負担」国家を目標に と言う論文(青字)を出しています。 (なお黒字は私の意見です。)
≪何が変わるかが見えない≫
民主党政権になって子ども手当の支給、高校授業料の無償化、高速道路無料化の実験などの政策が実行されたが、どうももう一つ姿勢がはっきり見えない。子ども手当も当面半額、あとは財源問題も勘案しながら、保育園などの現物支給に変えることも考慮されている。高速道路の無料化も今後どうなるかははっきりしない。
参院選の争点として消費税の10%への増税が浮上してきている。世論を見ながら菅総理の発言は揺れている。ギリシャ危機に端を発した財政再建は世界各国の主要な政策課題となり、日本もそこに加わった感じである。
自民党政権の時は小泉さんの米国の年次改革要望書に従ったと言われる米国追随路線に沿った国家運営をしており、その当否は別としてある程度日本の方向は判りましたが、民主党に近いと言われる榊原さんさえ疑問を呈するように、民主党政権はダッチロール状態で国民を惑わしています。
≪世界同時不況の兆しも≫
たしかに、国債などの発行残高がGDPの200%に近づいている日本にとって財政再建は重要な政策課題だ。ただ、日本の場合、ギリシャなどと違って家計の貯蓄残高がグロスではGDPの300%弱、ネットでも220%と、当面、危機的状況になっているわけではない。日本の国債の95%は日本人によって所有されており、国際的には日本は世界最大の債権国でもある。ただ、家計の貯蓄率はこのところ大きく減少し、財政赤字をかなり下回っている。このままの状況が続けば、5年から10年先くらいに財政が危機的状況に陥る可能性はある。
しかし、数年の余裕はある。景気が大きく後退するようなことがあれば、躊躇なく財政出動をすべきだろう。今のところ日本の景気回復は順調だが、夏以降は不透明。世界同時不況の兆しが次第に強くなる中で、日本だけが堅調というわけにもいかないだろう。
膨大な国債などの発行残高に伴い国債費は国の財政支出の4分の1を占めており、政府が何をしようとしていも何も出来ない状態です。
これが大問題だと皆が判っても、何事によらず、票にならない面倒なことを先送りしたツケが榊原さんの説に従えばここ5~10年後の危機的状況まで差し迫っています。
≪「少子化」の解消も視野に≫
将来の消費税増税は必要だろう。しかし、その時は政権政党たる民主党は歳出面を含む全体としての政府のあり方を国民に示す必要がある。ただ歳入が足りないから増税だといっても、多くの国民は納得しないだろう。
榊原さんは「政府の在り方」と書いていますが、この後の文章に在るように政府は「国の在り方」を国民に示すべきです。
今迄のように米国流の小さい政府、自由主義的市場経済か、榊原さんの言う高福祉高負担の大きな政府を目指すのか民主党政府誕生を機会に、見直す時が来ているような気がします。
さまざまなビジョンを描くことが可能だろうが、筆者はヨーロッパ型、特にフランス型の福祉国家の建設を目標にすべきだと考えている。高福祉高負担である。現状日本の国民負担率(税プラス社会保障料)は39%、負担率35%のアメリカとともに経済協力開発機構(OECD)諸国の中では小さな政府グループに入る。
消費税増税反対論者は消費税と言うが国民負担率のことを忘れていると言っていますが、米国を除く文明国の負担率が日本より高いと言うことを忘れているようです。
他方、フランスは61%、ドイツ、イギリスはそれぞれ52%と48%。ヨーロッパ諸国は大きな政府を維持している。なかでもフランスはスウェーデンの65%には及ばないが、西ヨーロッパの中では最も大きな政府を持っている。
日本の社会福祉は基本的には年金と医療。対象者の多くは高齢者だが、フランス等ヨーロッパ諸国の福祉は出産、育児、教育などに手厚く、若年層にむけたものが多い。
当事者の高齢の私としては、医療・介護の費用とはケタ違いに費用も掛からず効果の大きい、高齢者とその予備軍の健康管理に力を入れるべきだと思います。
その中で一番問題でそして重要なのは、今の企業の成果主義とかで、現役世代の高齢者予備軍を使い捨て状態の酷使の問題です。
私は残業はせいぜい1~2時間程度の余裕のある管理が、中期的に見ても、長い眼で見ても企業や日本に役立つと思います。
そして高齢者への福祉の費用の浮いた分をもっと出産、育児、教育給付など前向きのな方向に投資すべきだと思います。
勿論、健康な高齢者の企業やコミュニテイへの積極的な活用で経済的効果も期待できる筈です。
ちなみに、出産、育児、教育給付に一般的家族手当を加えた家族関係の支援はフランスでGDPの3・00%、日本は0・81%である。また、フランスでは保育園から大学まで公立学校は無料。グラン・ゼコールというエリート教育のための大学では公務員なみの給与を支払っている。
ここで注目すべき点はフランスは教育の給付の重点を公立の学校とエリート校に中心を置いていることです。
榊原さんの意見に、私の意見を付け加えれば、全国一律の学力テストで一定の成績を納めた人を公立の入試条件にし、フランスのように公立学校に重点投資をするべきだと思うのですが。
民主党も基本的にはやる気のある生徒もない生徒にも、一律の高校無料化をしていますが、(背番号無しの問題もあったようですが)子ども手当ての所得制限なしのように、支持母体の日教組並みの悪平等政策を取っているような気がするのですが。
こうした政策の結果、フランスの出生率はついに2・0を超えた。先進国では、2・0を上回るのはアメリカとフランスのみ。人口の増加は最大の成長要因でもある。少子化に悩む日本はフランスに学ぶべき点が多々あるのではないだろうか。
先日も少し触れましたが、少子化も経済の成長から言っても、重大と皆判っていても面倒で票にならぬと放って置かれてきました。
榊原さんの言うように、与野党とも「これからの日本の形はどうあるべきか」と言う基本的な問題に立ち返って消費税増税を始めとする諸施策を今一度議論すると共に、いずれの方向に行くとも必ず通らねばならぬ道、国会議員定数の削減、国民総背番号制度の導入などやれる範囲からやって置くべきだと思うのですが。
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