普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

参院選結果が教えるもの(2)みんなの党

2010-07-13 11:14:04 | 政策、社会情勢

 みんなの党は元の1議席から11議席に大躍進しました。
 そんな同党に関して読売新聞は昨日の社説
で次のように書いています。
 みんなの党は、公務員の大幅削減や天下り根絶などを唱えて、2大政党にあきたらない人々の票を吸い上げ、躍進した。
 しかし、今後は、その議席数にふさわしい責任を果たさねばならない。ポピュリズム(大衆迎合主義)的な政策や言動は、改めざるを得ないだろう。
 キャスチングボートを握ることを目指していた渡辺代表は、今回の獲得議席を基に、政局を混乱させることがあってはなるまい。
 渡辺さんは昨日のテレビでも言って居ましたが、今回の躍進で予算を含まない法案の提出権と党首討論の権利を得たそうです。
 それに伴ってみんなの党の発言の重みを増すとともに、その政策に就いての批判も当然に起こってきます。
 すでに読売は「ポピュリズムな政策は改めざるを得ないだろう」と指摘しています。
みんなの党の公約
 それでみんなの党の公約
に添って素人の私が見ても首を捻る点の幾つかを上げてみました。
  先ずその公約は判りやすくて、威勢が良いところは感心しました。
 民主党のマニフェストのようにその裏を読まねばならぬとか、ひょっとしたら何か隠している政策がありはしないかと疑いの眼で読まねばならないのとは大違いです。
 思うことをズバズバ書けるところが少数政党の特権です。

増税の前にやるべきことがある?

 みんなの党は「増税の前にやるべきことがある」として議員定数の削減、公務員人件費の削減を訴えています。
 私は議員定数の削減に就いては民主・自民党も賛成しているので、次期国会開催の冒頭から提案すれば良いと思っています。
 然しみんなの党は地方出先機関の廃止などで10万人削減と言って居ますが、今の長引く不景気の時に、本人に特に瑕疵がないのに10万人を一挙に削減できるでしょうか。
 普通のやり方なら自然減を待つか、一般企業への転職ですが、それを妨げる天下り禁止の公約があります。
 やはり10万人をリストラして経費を捻り出すにはここ数年から十数年かかると思いますが、その間増税無しで日本の財政が持ちこたえるのでしょうか。
 道州制導入による経費削減は、公務員を地方分権により地方に派遣、その経費は政府が地方交付金で持ち、国全体の経費は変わらないことになりはしないでしょうか。
 これでは民主党の何だかインチキ臭い公務員経費2割削減の公約と全く同じです。
・公務員制度改革
 みんなの党の表看板の公務員制度改革に就いては民主党も似たような政策を取り実施仕掛けて居ますが、人事の停滞に伴う経費増などの問題が起こっています。
 民主党は自治労を支持母体に持っているので、リストラが殆ど進まない問題もありますが、いざ実施をしてみると色々な問題が出て来ているようです。
 みんなの党はそんなしがらみがないので思い切ったことがやれると思いますが、実施に当たっては程度こそ違え民主党政権の抱えている問題に遭遇すると思います。
 その中で私が特に気付いたのは公務員の士気の維持の問題です。
 それが普天間基地問題や口蹄疫の問題で微妙に現れているような気がします。
 詰まり締めつけられてばかりいる官僚の全て受け身の指示待ちの姿勢です。
 みんなの党の公約では、民主党のそれと全く同じに公務員制度改革の対象者の公務員の気持ちなど全く考えていないような気がします。
 みんなの党は民主党の公務員制度改革や、政治主導の行政改革の問題点をしっかり調べてより現実的な政策とその実施方法を考えて置くべきと思います。

・名目4%以上の成長で10年間で所得を5割アップ?
 渡辺さんの説明に依れば、日本銀行の円の発行をEUや米国並みに増やせば、「名目4%以上の成長で10年間で所得を5割アップ」出来るとしています。
 円の発行の方法としては、
・国債の購入→今でも膨大な国債残高の増大と長期金利の上昇
・金融機会への資金提供→金繰りに困っている一般企業に廻るかと言う問題があるそうです。
 このメリットは円安→輸出増大ですが、上記のデメリットより遥かに大きいことを説明する必要があると思います。
 みんなの党の言う新しい産業分野としては、バイオ、エレクトロニクス、新素材、環境、エネルギー、内需の拡大など、どの党でも言い尽くされている政策です。
 これで所得5割アッブ出来るでしょうか。
 与謝野さんは今のデフレは中国などの台頭により起こったもので、その深刻な事実を直視すべきだと言っています。
 そして私の持論ですがグローバル化という名の、各国の平均給与のバランス化による日本の平均給与の減の問題をみんなの党の公約で解決できるでしょうか。
 この様な深刻な経済環境で10年後の所得5割アップの公約は調子よすぎると思います。

みんなの党へ
 みんなの党は公明党と同様に国会での発言が重みを増したのは、党として喜ばしいことですが、党の重みを増すとともに、その政策に就いての批判も当然に起こってきます。
 自民・民主などからの批判に耐えるようにその公約の現実的な見地からの見直しをしておく必要があると思います。
 菅首相、公明・みんなに連携打診へ
の動きがあるそうです。
 一方渡辺さんは自党のアゼンダに反することは一切協力しないと言って居ますが、相手党のみんなの党への妥協に対して自党のある程度の妥協が無ければ、自党の政策は天下を取るまで何も出来ないことになります。
   もしみんなの党が(良い意味で自党の公約にこだわって)駄々っ子のように振る舞って、読売の言うように今回の獲得議席を基に、政局を混乱させるだけに終わらせれば今回の選挙で得た存在価値を薄れさすことになるかも知れません。
 これからがみんなの党の政治力を発揮する時です、みんなの党の参議院の第3極としての活躍を期待しています。

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