6月3日のサンデー・プロゼクトで国民新党の亀井静香さんが、安倍さんは小泉政治との決別を宣言すべきだと言っていた。
これは私の兼ねてからの主張と同じだ。
違うのは、多分、亀井さんは彼の情報網から得た情報と、彼独特の政治感覚からの発言だろうと思うが、全くの普通人の私の主張の根拠は彼の所信表明演説の分析 から出たものだ。
<<安倍政治と小泉政治>>
1.安倍:「美しい国」の実現
小泉:米国型社会指向
2.安倍:国民負担の最小化を第一の目標に歳出削減、再チャレンジ
小泉:低所得層の国民負担の増加、格差社会の発生
3.安倍:消費税は「逃げず、逃げ込まず」という姿勢
小泉:消費税増税はやらないと宣言
4.安倍:教育再生
小泉:教育問題は完全に無視
(就任演説の米百俵の話はどこに行ったのか)
5.安倍:主張する外交の推進、情報機関の設立
小泉:米国一辺倒
(今までの日本は米国以外へは言うべき事を言っていた。何故安倍さんが今更「主張する外交」と言うのかと考えると安倍さんの言う主張する相手は米国を含む他の国だ。)
以上比較してみると、安倍さんの施政方針は小泉さんのそれと全く異なっている。
然し、安倍さんは、小泉さんのやり方と違った方針を出す一方で、小泉路線の継承を宣言した。(それが彼の人の良いところだろうが)
もし彼が亀井さんのように小泉政治との決別をはっきりと宣言していたら、安倍さんの言動はもっと国民の理解を得やすかったかも知れなかっただろう。
彼への支持率を下げる原因となった、例の復党問題でも、小泉さんと違うのだと言って希望者全員を復党させれば却って彼への支持率が上がったかもしれない。
そして次に述べる現実の多くは小泉さんの治世時代から起こったものが多い。
小泉政治の決別を宣言していたら、下記の問題が起こっても、自民党の支持率はともかく、彼への支持率には余り影響しなかったかも知れない。
<<安倍さんの理想と現実>>
1.美しい国の実現
社会格差の拡大。
日本古来の従業員を大切にする会社から株主重視の会社への転換
2.活力に満ちたオープンな経済社会の構築、再チャレンジ可能な社会
働くより失業保険を貰った方が収入が多い制度
勝ち組負け組の固定化
3.頑張る地方応援プログラム
過疎化した市町村の増加
首都圏への一極集中
地方交付税の廃止に伴う地方財政の逼迫化
4.国民負担の最小化を第一の目標に歳出削減
低所得層へ集中した国民負担の増加
株主所得などの不労所得への優遇税制の堅持
(そう言えば昨日の会合で知人が住民税が2倍になったと嘆いていました。)
5.消費税は「逃げず、逃げ込まず」という姿勢で対応
全くの手つかず。
6.健全で安心できる社会の実現
(1)年金制度を確立。社会保険庁は解体的な出直しを行う。
今なお混乱状態が続き、年金への信頼がますます薄れている。
(2)医療や介護は重点を予防へ移す。
全く手つかず。
(3)少子化対策に取り組む。
殆ど手つかず。
7.教育再生
(1)教育基本法改正案の早期成立
成立済み。
(2)教育再生会議の設立
答申はその殆どが学校、教員の管理強化にかんするものばかり。
教育費増額など、学校、教員への支援策は殆どなし。
今一番問題となっている家庭教育は、殆ど手つかず。
6.主張する外交への転換、日本独自の情報の蒐集機関を作る。
慰安婦問題発言で余計な謝罪。
情報機関の設置の動きまったくなし。
慰安婦問題でもこれがあればまた違った対応ができたと思うのだが。
<<安倍さんの政治センス>>
1.内閣の閣僚には「美しい国」の大臣には相応しくない人達が混じっていた。
その内の何人かは辞任や自殺に追い込まれた。
それでもまだ問題発言を繰り返す柳沢さんなどを残し、年金問題で自民党にとって不利な発言をさせている。
2.慰安婦問題で、一旦謝罪したものはあっさり認め、それ以上つべこべ言わないと言う(少なくとも他国の)外交上の常識を破って事態を悪化させた。
3.松岡さんを異状に弁護し、安倍政権のクリーンなイメージを悪くした。
彼の自殺の原因は、水光熱費問題ではないとしても、早く切っておれば、安倍政権への打撃はより少なくて済んで筈だ。
4.憲法改正を参院選の争点にするのは良いが、一方では集団的自衛権の憲法解釈の諮問機関を立ち上げ、野党から安倍さんは戦争するための憲法改正を考えているとの攻撃材料を与えた。
5.安倍さんの建てた各種諮問機関からは、「美しい国」に相応しくない管理強化の提言ばかり。
これで安倍内閣の支持率が上がるわけはない。
6.小手先、見え透いたそして問題の多い施策
新人材バンク制度
ふるさと納税制度
7.強引さの目立つ国会運営
国民投票法案
これで憲法改正に必要な、民主党の協力が得られるのか。
年金関連法案の強行採決
これで国民の年金不信がなくなるのか。
以上の2項目にわたって書いた安倍内閣の問題点の殆どは、安倍さんの言う「美しい国」への基本理念をしっかり護っていれば、防げたはずなものだ。
亀井さんの言うように、参院選の前に一度立ち止まって、足元を見直して貰いたいものだ。
さて参院選の結果だが、幸か不幸か当面の敵の民主党も もたもたしているのどどちらか勝つことになるのだろうか。
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