江戸時代後期の詩人、館 柳湾の「秋尽く」の転句です。83歳で亡くなったといいます。80歳ころの感慨だと思います。
私も4月2日に90歳となる。この詩の起句は「静裏空しく驚く歳月の流るるに」とあります。現役でその仕事に熱中しているときは、歳月の流れなど気にならない。時々もうこんな歳になったかと思ってもそれが愁いとはならない。私も85歳を過ぎるころまでは老いの寂しさを知らなかった。
何もすることもなくなっている自分と向き合い、かつて時間を惜しんで打ち込んだ頃のことを思いだしても、それは帰らぬ過去のことです。今何もすることのない辛さ、「ああ老いたり」と己を見つめる日々。多忙な若いころは、休みはうれしい時間だった。それがあり余る時間をもて余している。本当に学があり、老いてなおなすべきことに没頭できている方には老愁なんて関係ないのかもしれないが、凡人の私には何もすることのない日々は得体の知れない圧力で押しつぶされるような毎日になる。過ぎ去りし過去の中には後ろ髪引くいろいろの思出もある。過去を振り返っても、それは老いを癒すものにはならないのです。まだ詩吟の教室を一つ抱えている。これが最後の生き甲斐です。これに集中することが、愁いを押しのけるただ一つの道だと思う。
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