うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

海外からの参戦予定馬

2009-11-10 19:43:50 | 競馬日記
BCターフ(連覇)、Kジョージ、セントレジャーを制した超大物ConduitがJCに参戦の見込みで久しぶりにJCが盛り上がりそうですが、今日、更に驚くニュースがアメリカの新聞で流れていました。
ベルモントS、トラヴァーズS、ジョッキークラブGCを制したSummer BirdがJCダートに参戦する予定とのことです(記事1記事2)。ハスケル招待ではRachel Alexandraに、BCクラシックではZenyattaにと歴史的牝馬2頭に及びませんでしたが、アメリカダート路線の大物であることは確かです。大物という意味ではリドパレス以来、アメリカクラシックホースとしては初のJCダート参戦になります。是非、実現してほしいです。

外国馬の参戦で言えば、今週末のエリザベス女王杯にシャラナヤが出走します。アガカーン殿下の所有でM.デルザングル厩舎所属。デルザングル厩舎と言えばメイショウサムソンのフランスでの受け入れ先でした(ブログ)。フランスで初めて調教師免許を取得した日本人である小林智師が調教助手をしていた厩舎でもありますし、なかなかの親日家ぶりです。Shalanayaは前走のオペラ賞を勝ち、119というメンバー中最高のレーティングを持っています。近親にはShergarがおり、さかのぼればMumtaz Mahalに行き着くアガカーン殿下伝統の牝系です。父はドイツで成功しているLomitas。この種牡馬をアガカーン殿下が使うとは知りませんでしたが、この貴重なNijinsky系の生き残りに目を付けるのはさすがです。Lomitasの牝系はアガカーン殿下の基礎繁殖牝馬の1頭Astanaと同じですから(Amora x Astana)、なじみのあるものだったかもしれません。
Niniskiの系統では過去にはカイタノがJCで4着に入りました。Niniskiは愛セントレジャー、ロワイヤルオーク賞を勝ったステイヤーで、父のイメージではCaitanoは日本には合わなさそうですが、Caitanoの配合では母父Foolish Pleasureのスピードが生きていて、日本に適応できる可能性が十分にありました。MenowやNasrullahのスピードを生かしている点ではヤエノムテキなんかと共通するものがありました。それに対してShalanayaはNasrullah 7 x 5 . 7が主導を作り、Menowも6 x 6でクロスし、Caitanoと共通する部分はあるものの、Crepello 5 x 6、Arbar 7 x 6とヘビー級の重さのクロスがあります。他にはPrincequillo - Prince Roseもクロスしていますし、すばらしい配合ですが日本で走るにはこんなスタミナは要らないという感じがあります。

来週末のマイルCSにはEva's RequestSahpresaが登録しています。Eva's Requestは前走イタリアのリディアテシオ賞で初GI勝利。イギリス調教馬ですが、英愛トルコでも重賞勝利があり、遠征にも慣れています。Nureyevのスピードを生かした配合で、日本で走れてもおかしくないように思います。ただしあまり速い時計は持っていません。Sahpresaは前走サンチャリオットSでGhanaatiを破る金星を挙げました。サンチャリオットSを勝ったときの調教師のコメントでは「良馬場(good ground)と直線コースを好む」とのことでした。泥んこ馬場は嫌いなのでしょうが、ヨーロッパ的良馬場よりも日本の馬場は堅いですし(サンチャリオットSのときの馬場状態はGood To Firmで、堅い馬場もある程度大丈夫ではあるはずですが)、淀のコースを回れるかも未知な面があります。配合はRound Table 5 x 4がリードする形態。日本ではあまり見ないですねえ。Lalun - Djeddah - Djebelを生かした日本での実績のない形態であることも気になります。ただし持ち時計的にはEva's Requestよりいいです。

ブリーダーズカップ続き

2009-11-09 19:39:50 | 競馬日記
ダートマイルはSmart Strike産駒Furthest Landが勝ちました。コースロスなくきれいに回ってうまく抜け出しました。復活した昨年のジュヴェナイル馬Midshipmanは3着、エイダンのMastercraftsmanは4着でした。

フィリー&メアターフはOasis Dream産駒Middayが勝ちました。見事に内をすくいました。小回りで直線が短いのでうまく内を突けると鮮やかに勝てますね。直線が短いのを見越して仕掛けながらカーブを回るので、外に振られて内が開くのが多く見られました。

フィリー&メアスプリントはMonarchos産駒Informed Decisionが勝ちました。過去にダートとポリトラックのGIを制しており、サンタアニタのプロライドもこなしました。

ジュヴェナイルターフ(GII)はRahy産駒Pouncedが勝ちました。祖母Eurobirdは愛セントレジャー馬。その半兄に仏ダービー、ガネー賞のBikala、愛仏ダービー馬Assertがいます。

ジュヴェナイルフィリーズターフ(格付けなし)はTapit産駒Tapitsflyが勝ちました。曾祖母の仔にJC、アーリントンミリオンを勝ち、日本でも供用されたゴールデンフェザントがいます。

マラソン(格付けなし)はGiant's Causeway産駒Man of Ironが勝ちました。母がBetter Than HonourということはJazil、Rags to Riches、カジノドライヴの半弟です。異なる父でこれだけ走る仔を出すのですから、Better Than Honourはすばらしい繁殖牝馬ですね。カジノドライヴもアメリカで走っていたら今頃何個かGIを勝てていたかもしれません。前面にBlushing GroomとNorthern Dancerのクロスがありますが、それ以外に目立ったクロスはなく、シンプルだと思います。カジノドライヴを獲得し損ねたCoolmoreの所有で管理するのはエイダンです。

ターフスプリント(格付けなし)はAvenue of Flags産駒California Flagが逃げ切りました。全姉Cambiocorsaも芝の重賞勝ち馬です。母父はアフリート。優秀な種牡馬だと思います。

昨日、Rachel Alexandraの年度代表馬が微妙になったと書きましたが、Zenyattaとの同時受賞も有力かもしれません(記事)。どちらか一方にしかあげられないのであればZenyattaで仕方がないと思いましたが、通常の年ならどちらも年度代表馬に選ばれるはずですから、同時でもいいように思います。

ブリーダーズカップ

2009-11-08 23:29:01 | 競馬日記
今週末はBCでした。Sea the StarsRachel Alexandraは回避しましたが、そこそこのメンバーが集まったんじゃないでしょうか。

Zenyattaが連勝を伸ばすか注目されたクラシックは最後方追走から直線でZenyattaが外に持ち出し、豪快に差しきりました。オールウェザーのレースをじっくりと見るのは実は初めてだったのですが、がんがん行ってそのまま決まるダートとは違い、溜めて差すことができ、言われるように芝のレースと似ていますね。2着に入ったのはGio Ponti。もう一頭の注目馬だったエイダンのRip Van Winkleはだらしなく失速し、10着でした。脚に不安があったようで、それの影響もあったかもしれません(記事)。昨年は欧州馬のワンツーでしたが、同じサンタアニタで開催されたものの今年はアメリカの二頭で決まりました。
Sea the Starsが出ていたらどうだったのでしょう。ダートのレースよりは適応できたでしょうが、確実に勝ったとは言いにくく、リスクのある遠征になったでしょう。Rachel Alexandraはオールウェザーだったこともあり回避しましたが、Zenyattaの完勝によって年度代表馬に選ばれるか微妙になったように思います。

ターフはConduitが連覇しました。本質は馬力型のステイヤーだと思っているのですが、ここも2分23秒台の好時計でした。これで勲章を引っさげてまずはJCにやってくるのでしょう。東京の馬場では凱旋門賞のときのように溜めて追い込んだのでは届かないように思います。今回のように早めに行けるかどうかが勝ち負けする上ではポイントのように思います。

マイルもGoldikovaが連覇しました。ヘッド師がMiesqueより強いと豪語する馬です。前走のフォレ賞を取りこぼしましたが、本番とも言える今回はきっちり勝ち、力を証明しました。

スプリントはBlack Minnaloushe産駒Dancing in Silksが勝ちました。父はナスルエルアラブPennekampの半弟の愛2000ギニー馬。この兄弟の中で一番種牡馬として成功しています。祖母のExciting Devorceeの部分は世代的にちょっと古めである上に特殊なアルゼンチンの血Nigromanteまで持っており、フィットさせるのは難しいように思いますが、St. Simonがクロス馬になれている点は世代が古くて良かったかもしれません。半兄レムハイハートは日本で走っていますね。

Zenyatta、Rachel Alexandraの北米牝馬2強がいないレディーズクラシックはStorm Cat産駒Life Is Sweetが勝ちました。2歳牝馬チャンピオンSweet Catomineの全妹。姉妹でBC制覇です。

ジュヴェナイルはGodolphinのVale of Yorkが勝ちました。Invincible Spirit産駒で母父Halling、Kris = Diesisの全兄弟クロスがあります。5代母A.1.は日本ではスティールハートの母として有名であり、その子孫にはVale of Yorkの祖母の全兄でロジャーズGCなどを勝っているBatshoof、その同配合の2000ギニー馬キングオブキングスがいます。

ジュヴェナイルフィリーズはOfflee Wild産駒She Be Wildが勝ちました。第1回BCクラシック馬Wild Again内Nearco、Native Dancer、Hyperionがクロスし、Wild Againが強調されるこの父系特有の形です。

残り半分のレースは後ほど。

ジャポニズムについて

2009-11-02 20:11:46 | 競馬日記
ネオユニヴァース産駒の血統表を見るのが面白いと書きましたが、ジャポニズムにも注目しています。

ジャポニズムはドリームジャーニー半弟で、父ネオユニヴァース×母父メジロマックイーン×祖母父ノーザンテーストです。父ネオユニヴァース×母父トニービン×祖母父ノーザンテーストのトーセンファントムとは母父の部分が異なっているとざっくり言っていいかもしれません。その1/4の違いで何が起きているかと言えば、Shantungの父母がクロスされていることです。父ネオユニヴァース、母オリエンタルアートともにHyperion主体ですし、このShantung以外、大きく気になる点はありません。
で、Shantungを生かしていることで何を懸念したのかと言えば、
・Shantungのスタミナを押し出して今の日本で大丈夫なのか?(ShantungだけでなくDonatelloまで生かしている。)
・気性に問題を抱えないか?
の二つです。Shantungが悪いと言うより、いい方に出るか悪い方に出るか分からないというところです。トニービン内で血をまとめたトーセンファントムの方が走ると分かりやすいように思います。日本向きとは思えないローズキングダムが初戦で簡単に勝ち上がったことですし、ジャポニズムも気性の問題を克服して活躍してほしいです。ちなみに新馬戦で勝ち上がったアドマイヤプリンスの方はアグネスタキオン産駒らしい日本向きの良配合です。

Conduit輸入

2009-11-02 00:24:58 | 競馬日記
Kジョージ、BCターフ、セントレジャーを勝った一流馬Conduitが日本で種牡馬入りするそうです(記事1記事2記事3)。

コンデュイとか、コンデュイトとか、呼び方がいろいろありましたが、コンデュイットと促音が入るので行くみたいですね。それはそうと、購入したのはビッグレッドファームの岡田氏です。岡田氏は自信満々のようです。

配合は見ての通り、Never Bend系×母父Sadler's Wellsのニックスです。返しニックスの父Sadler's Wells系×母父Never Bend系の方は世界中で成功例が多数ですが、日本では全くふるいません(ニホンピロジュピタが交流GIを勝ったぐらいでしょうか)。同配合の種牡馬も何頭か導入されましたが(カーネギーサフロンウォルデンハンティングホークビーフロストの4頭だけでしょうか)、いずれもリーディング級とまでは行きませんでした。一方のNever Bend系の方は日本では以前はミルジョージが大成功したのですが、その仔達はいずれも失敗。他にはマグニテュードの仔のミホノブルボンも失敗、マサラッキユウトウセイなんかは相手にされず。母Dahliaの良血リヴリアは久々にNever Bend系の当たりでしたが、残念ながら早世し、代表産駒のナリタタイシンは失敗。BCターフを勝ち、父系がDarshaanで共通するコタシャーンも失敗。Conduitは基本的に日本には向かない配合だと思います。

軽いスピード、瞬発力に偏りすぎた日本の血統にスタミナ、持続力、パワーを注入する貴重な種牡馬になってくれることを期待しています。大成功しなくてもいいので、見限られない程度に活躍馬を出し続けて、長く活躍してほしいです。

ローズキングダム

2009-11-01 17:43:03 | 競馬日記
キングカメハメハは奥のない産駒が多く、父の名前を見ただけで敬遠してしまうのですが、そのおかげでローズキングダムという馬を完全に見逃していました。父キングカメハメハ、母ローズバド、母父サンデーサイレンスというベタな配合で、こんな配合ばっかりだなあ、と全く気にも留めていませんでした。

が、ちゃんと見てみると、こんな配合ばっかりなんてものじゃなくて迫力のある配合で、よく見ずに先入観で判断したのが間違いでした。Princequillo、Djebelを無視して素軽くまとめていたのが母ローズバドの特徴ですが、ローズキングダムはMill ReefのクロスでPrincequillo - Prince Rose、Djebel、Nasrullah、Red Ray (=Khaled)といったスタミナ、スピードがまとまっています。Blakeney内のDjebel、Charlottesvilleの母Noorani、Shirley Heights内Umidwar、Coronach - Hurry Onと、日本で成功例を探すことがちょっと難しいような重厚なスタミナを生かしていて、この配合で抜群の瞬発力で勝ち上がったというのが信じられないくらいです。ヨーロッパで走ってくれていた方がクラシック候補として推奨しやすいぐらいです。

愛オークス、ヴェルメイユ賞のShawandaの配合が参考になりそうです。