旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

「日本人は思想したか」

2008年02月15日 01時53分26秒 | Weblog
吉本隆明は「共同幻想論」で一世を風靡した。理系に固有の確かさをもっているが、文系の想像力を欠いている。梅原猛は、マニアックに語るが、想像力が過ぎて歴史を情念の住み家にしてしまっている。とんでもない話だ。中沢新一は難解である。自分が言っていることを、読者の解釈に委ねるような無責任と軽薄さが認められる。

この3人が「日本の思想」について語る。客観性もへったくれもあったものではない。本帯では「現代代表する三大知性が日本思想の意義を総括する」とまで持ち上げているのでついつい手にしたのが、そもそものこの本とのご縁だ。

ところが・・・、活字が著しく小さい。この種の本に興味を示すのが、かなりいい歳をした読者であろうことを察したなら、編集者は、この本を、もっと大きな活字で印刷にかけるべきでだった。この3人とて売文で飯を食っているからには、読む身になった本づくりに注意を払うべきであろう。要は、業界の皆さんには読者というものが見えていないのだ。

かなり版を重ねているようである。立ち読みをしたのは重版であった。正直、このメンバーの対談で1900円は高いと思う。さっそくamazonで検索をかけてみた。中古本が300円で売りに出ていた。市場価格はこの程度であろう。送料込みでも知れているので迷わず注文した。この中古本が週明けに届いた。初版本である。

だがしかし、立ち読みをした範囲で想像したよりは、はるかに興味深い内容である。3人は博識であるし、思想というものに対する切り口を多々持っている。目をしょぼしょぼさせながら読み進んでいる。やはり先入観はいけないと、少々の反省。