旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

陽だまりの老人

2008年07月17日 00時15分35秒 | Weblog


筆者紹介では「1924年東京生まれ。常に現実の問題と向き合い、文学・思想・政治・思想・宗教など広範な批評活動を展開した思想界の巨人。」と記されている。おん歳83~4の老人が「真贋」という著作をものにしている。

「誰もが生死をかけて自分の人生を生きている。当たり前のようで、誰も当たり前には思っていないのかもしれない。」「今の世の中は、あまりにも常識的な「問い」と「答え」にあふれ、実は本当に考えるべきことを考えずに、考えなくてもいいことを考えているのではないか。滑稽ですらある。」というキレの悪いまえがきの後から日本の文化批評が始まる。

「才能とコンプレックス」では三島由紀夫を論じている。国語の教科書にでも採用されそうな枯れた評論である。ほかに「善悪二元論の限界」「批評眼」「本物と贋物」「生き方は顔に出る」「今の見方、未来の見方」という項目を構えて含んで言い聞かせるような説法が続く。口調がまるで今はやりの人生相談調であるのが情けない。この種の著作は暇な時に読むに限る。老人の名を吉本隆明という。

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