「男女の性差についていうと、男と女といった上位の区別よりももっと下位の区別にさかのぼって、「しゆう」のレベルから掘りおこしたほうがよいのじゃないか。」と言ったら怪訝そうな顔をされた。
言った本人も「雌雄を決する」という言い回しなら読み聞きしたことがある。ところが「メスとオス」「雌と雄」のことを単純に「しゆう」と表現されたことも、したこともないように思う。少々あわてて「オスとメスのことだよ。」と言いかえた。
使ったことも読み聞きしたこともない「雌雄」という名詞の漢字と読みが突然閃いたとしか思えない。「雌」を「し」と読むことは事後に辞書を引いて確認した。キツネにつままれたような気分というのは、たぶんこういうのをいうのだろう。