裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

重力波

2016年02月23日 09時01分26秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
「重力波」なるものがよくわかんないから説明してくれ、というお便りが多いから(うそ)、ここで解説。
まず、重力というものについて知っておかないといけない。
質量を持つものの周囲の時空は、ゆがんでるんだ。
例えば、天体なんて大きな物体の周りでは、空間(と時間)が著しくゆがんでる。
そのギャップ間を・・・つまり、あるべき正常な位置からゆがみの底への最短距離を加速しつづける現象が、重力の正体というわけ。
これが一般相対性理論の「重力理論」だよ。
ニュートンさんは万有引力の理論の中で、「質量を持つもの同士は引き合う」と現象をデッサンしたけど、アインシュタインさんはさらに精密に、「どうして、どのように引き合うのか」という現象の構造を解体して見せたわけだ。
さて、ブラックホールってものが宇宙のそこここに存在する。
ブラックホールってのは、重すぎる天体が、内部からの核融合による膨張と、縮まらん(中心部に向かって落っこちん)とする大質量とのバランスを失って、重力崩壊した・・・つまり、自分の重さで潰れてしまった超巨大天体の成れの果てだ。
天体の全質量が、芯の一点にギュギュッと凝縮して、結晶化しちゃった状態ね。
無限に小さな一点に、恐るべき質量が集中してるんで、そこではものすごい重力が働いてるわけ。
なんでも吸い込んでしまう・・・というよりは、ぼくら人類の感覚からいくと、なんでもそこに向かって落っこちてしまう、って感じ。
つまり、えげつない大質量が、周囲の時空をおぞましいまでにゆがめてる状態だ。
そんなブラックホールが二つ合体した(お互いに「落ち合った」わけだ)事件が、宇宙の彼方で起こった。
そうしてひとつのブラックホールにまとまるわけだけど、当然こんな場所では、とてつもない時空のゆがみが発生する。
質量による時空のゆがみは、実はその周辺だけじゃなく、どこまでもいつまでもひろがりつづける。
これが重力波だよ。
何億光年も先で起こったブラックホール同士の衝突の際の重力の揺らぎ・・・つまり平たく言えば、時空のゆがみの余波が、地球上の時空をもゆがめてたわけだ。
そいつを観測した、ってニュースが、新聞の一面を飾ったんだった。
宇宙空間をじわじわと伝わってきた(光の速さでだが)時空のわずかなズレを、地上で感知した、ってことなんだ。
この精度たるや、すごいよねえ。
重力波は、アインシュタインさんが相対性理論の中で100年も前に予言してたやつで、最近の科学界では、「そろそろ技術的に観測できそうだ」ってんで、最も関係者の興味を集めてたトピックだった。
それがついに実現したんだよ。
じゃ、なぜその重力波を観測することがそれほど重要なのか?
それはまた次回、気が向いたときに解説しようかな。

つづくかも。

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園
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