裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

となりのトトロ

2008年07月18日 23時18分26秒 | Weblog
また観てしまった、「となりのトトロ」。
やさしい映画だなー・・・
うっとりとおだやかな気持ちになれる。
この宮崎駿って監督は、さして面白いストーリーをつくらないんだけど、その奥を流れる世界観を描き出すのが抜群にうまいね。
世界観だけを徹底的に煮詰めて描き込んで、そこを舞台に、登場人物たちが勝手に動いてくれてる感じ。
ストーリーを組み立てる必要なんかないんだろう。
タテヨコの広さを限定されたスクリーンでは奥行きで世界を見せなきゃいけない、と開高さんが言ってるけど、その深さの使い方を知ってるんだよなー。
すごい芸術家です。
ところで「子供にしか見えないトトロの世界」をながめてるうちに、水木しげるさんの言葉を思い出した。
彼も妖怪が見えるのだ。
とても印象に残ってる言葉なんで、思い出して書いてみるね。
「いろんな民族学者や妖怪を知ってるひとと話をしたけれど、彼らの説はぼくの考えと違っているので、ぼくはいつも自分の意見を言わなかった。ぼくはもっと別の妖怪を考えている。すなわち、それは『いる』のだ。妖怪の姿を思いながら幼い頃からの自分の頭の中を観察してみると、やはりぼくは20回ちかく妖怪に出会っている。シッポはつかんでいる。いつかぼくは妖怪をタイホするときがくると思っている」
彼は妖怪を信じてるんではなく、実際に妖怪のいる世界に身を置いてるわけ。
それが彼にとっての自然なのでした。
そんな純心が、オレにもかつてあったのかなー・・・

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園
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タスポ

2008年07月02日 01時01分31秒 | Weblog
タバコの自動販売機では、タスポなるカードがないと売ってくれなくなったらしい。
このくだらなすぎる装置のために800億円がかかったそうだ、ご苦労さん。
それにしても日本人の自動販売機好きなことよ。
タバコ屋の前にすら、タバコの自動販売機って、あるね。
意味がわからない。
そんなもん、おばちゃんから買えや。
どうもわが同胞は、コミュニケーションを避けよう避けようとする国民性があるのだった。
寿司屋でカウンター越しに「トロ」と注文するのがわずらわしくて、この国には自動的に寿司が流れるメカニズムの店ができた。
あれは寿司の自動販売と言える。
最近はラーメン屋でも、両サイドがつい立ての一人用ボックス席に目の前はカーテン、みたいなつくりの店ができてて、店員と会話の必要もなく事がすませるようになってる。
注文は、用紙に「しょうゆラーメン、固めん、煮卵付き」などと書き込み、無言でカーテン越しに渡す。
数分後に所望の品がカーテンの下から出てきて、誰にも顔を見られずに密やかにラーメンを味わえる。
密売かよ。
うまくもなんともなかったし、心があまりに渇ききってしまったので、酒場でも荒らしにいきたい気分になった。
最近は、積極的なコミュニケーションよりも、接触を極力回避するようなサービスが巷の人々になじんでるらしい。
ところで、会社の「えらいひと」という立場にいる友だちいわく、最近の若い部下は酒盛りになっても自分からまったく口をきこうとしなくて、こちらからせっせと話を振ってやらないと会話にならないのだそうな。
その友だちは、まあいいんだけど、としながらも、その部下たちが上の立場になったときに彼らの部下たちとどうつき合っていくのか楽しみだ、と意地の悪い笑顔を浮かべる。
だけど彼らは結局、周囲となんのコミュニケーションをとらなくてもまったく平気な人種であるので、ただただ会話のない社会を淡々と(寒々と)生きることになんの疑問も見いださないだろう。
だけどねえみなさん、ひとはひとりじゃ生きていけないよ。
周囲と関わり合いにならない人生は安全だろうけど、はたしてそれは楽しくて幸福な人生とよべるんだろうか?
関わり合いというのは、コミュニケーションのことであって、コミュニケーションというのは、要するに相手に働きかけること、かいつまんでいえば、相手のために一生懸命しゃべろうとするおもんぱかりのことだと思う。
素知らぬ振りもいいけど、それじゃほんとにあんたの人生が、件のラーメン屋みたいな荒野になっちまうぜ。
「タスポ」というタイトルにしたけど、いつの間にかここまで考え詰めてたよ。
さびしいんだろうね、オレも、ふっ・・・

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園
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