裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

地球上から主観的に考える宇宙の構造・万有引力の法則・2

2019年08月29日 08時46分12秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
ニュートンさんに先駆けて、「ケプラーさん」がいた。
彼は、火星の位置の膨大なデータを解析して、その軌道をはじき出したひとだ。
それによって、惑星は正円じゃなく、楕円軌道で運行してるってことがわかったんだ。
しかもそのスピードは、太陽に近づくほど速くなり、遠ざかるに従って減速していく。
面白いのは、太陽を頂点に、惑星が一定時間で移動した二点間を底辺に取る三角形を作図すると、どの部分を抽出しても同面積!だというんだ。
つまり、惑星が速く進む太陽の近くで計っても(太陽に接する頂角は鈍角になる)、遠い場所にあるときに計っても(ゆっくり運行だから、シャープな鋭角三角形になる)、おんなじなの。
まてよ・・・これって、ボールを上空に向けて投げたときと同じ現象だよね。
放物線、というやつだ。
投げ上げたボールは、地上から遠ざかるにつれてスピードが落ち、頂点でついに最減速、やがて曲線を描いてUターン、落下がはじまり、加速しながら地上にもどってくる。
そこでニュートンさんは、「惑星の運行とは、つまり太陽に向けて落ちていくことなんだ」と解釈したのさ。
ガリレオさんが砲弾の軌道を研究してて思いついた「慣性の法則」=動きはじめたものは抵抗がないかぎり動きつづけ、引力などが働いた場合は楕円軌道になる、という約束事をあてはめると、惑星の動きはなるほどピタリと説明できる。
天体の運行に神様の力は必要なくて、実は地上界と同じルールが天界にも採用されてた、とわかった瞬間さ。
それが前回に出てきた「人間界と神様の世界を統合した」の意味だよ。
これでまた、ヒトビトの目に映る夜空の印象が劇的に変わったわけさ。
真実を理解すると、なんてスッキリと視界がひらけることだろう。
ついでだけど、ニュートンさんは、太陽と任意の惑星間だけじゃなく、惑星同士がお互いにおよぼしあう引力についても研究したんだ。
つまり、惑星同士が近づくと少しだけ軌道が揺らぐことを観測して、それも万有引力の法則で矛盾なく説明してみせた。(法則に矛盾がないことを証明してみせた)
例えば火星と木星が近づくと、予想された軌道よりも少し外れて、ゆらゆら、となる。
この現象を応用して、ニュートンさんはふたつの新惑星(冥王星と海王星)の存在を予言したんだよ。

おしまい

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園
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地球上から主観的に考える宇宙の構造・万有引力の法則・1

2019年08月28日 09時57分49秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
クリスチャンのひとには申し訳ないけど、科学をこうまで遅らせたのは、キリスト教のせいだ。
数学も、物理学も、科学全般を論じるところの哲学も、ギリシャ時代にはすでにほとんど体系ができて、理解も深まってた。
ところが、ローマが勃興してキリスト教会が権力を持つと、「科学なんか信じたらダメ!」「神様の言うことがすべてなの!」と、論理的な思考を停止しちゃった。
こうして科学は、長い長い停滞の時期を耐えるしかなかったのだ。
しかし、ついにその闇が明け、「ルネッサ〜ンス!」となったわけ。
「コペルニクスさん」と「ガリレオさん」が地道な論拠を積み重ね、教会とやり合って、地球自体が動いて太陽を周回してることを周知のものとしたのもこの時期さ。
そして、いよいよ「ニュートンさん」の登場だ。
この大人物は、人間界と神様の世界を統合したひと、とされてるよ。
つまりそれ以前は、人間の住むこの地上界と、神様のおわす天界とは、まったく別のルールで動いてるという認識だったんだ。
そりゃそうだよね、地上では、どんな物質も安定を求めて地面に張り付いて不動なわけで、星のように空中にぷかぷか浮かんで、しかも自力で運行するなんてことはあり得ない。
あの大天空のレール上を太陽が運ばれていくのは、神様の特殊な力が作用してることは疑いがない・・・それ以前は、それが一般認識だった。
ところがある日、庭でうたた寝をしてたニュートンさんの目の前で、リンゴが樹からぽとりと落ちたわけ。
横から見てたらそれは、地球とリンゴがおたがいに引き合ってくっついたように見えた。
そこから、「地球もまた、リンゴに向かって落ちたのでは?」という、天才的なひらめきが生まれたんだ。
万有引力、すなわち質量のあるものはお互いに引き合ってんじゃねーの?という着想だ。
そこで終わらないのが、このひねくれた科学者のすごいとこだ。
この現象を天空に応用してみる。
つまり、「星ぼしはお互いに引き合って、落ち合い、その釣り合いで宙空を行き交ってんじゃね?」ってこと。
そうして計算すると、どうもしっくりときそうだぞ。

つづく

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地球上から主観的に考える宇宙の構造・地動説

2019年08月27日 08時30分56秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
宇宙は思ってたよりも広そうだ。
となると、空の天体配置モデルに修正を加える必要がある。
根本から宇宙の構造を見直そう、って話だ。
そこで、さらに夜空を注意深く観察してみる。
東から西へと一様にめぐる星々の中で、惑うようにうろちょろと動く数個の「惑星」にヒントがあるはずだ。
水星と金星、と呼ばれる星が、太陽の周囲を回っていることはよくわかる。
現在の太陽系モデルを知ってるぼくらからすれば当然のことなんだが、この二つの星は、地球よりも太陽に近いところを回ってるんで、その周回が観測しやすいんだ。
ところが、火星や木星の運動の解釈はむずかしい。
なにしろ、地球よりも離れたところを周回するこれらの星々は、きみが南にのぼった太陽を正面に見るとして、太陽の裏側をぐるっと巡った後、さらに地球の背面にまで回り込む軌道を取ってるんで、これまでの天体運行モデルを完全に捨てて思考を跳躍させないと、その動きの意味がわからないんだ。
しかし、今や人類は知り得た!
惑星たちが太陽の周りを回っていることを。
もはや地球が、宇宙の中心ではないことを。
ここで、さらなる思考の跳躍が起こる。
つまり、「いっそ、この地球も太陽のまわりを回ってるのでは?」という、驚天動地の考え方だ。
ところが、これがしっくりとくる。
この大地がそっくりそのまま、あの太陽を中心に周回してると仮定すれば、これまでのモデルで問題となってた惑星の運行の矛盾点すべてに説明がつく。
地球は転がるように回ってる。
これは、全天の風景がいっせいに上空を巡ることから見ても明らかだ。
しかし、その地球は、他の惑星とともに、太陽の周りを周回してる。
ヒトビトが見上げる夜空の光景が一変した瞬間だ。
このコペルニクス的転換によって、人類は外からの視線で「真の」自分たちを見ることができるようになった。
宇宙における大空間の中の自分たちの立ち位置。
それは、多くの天体の中の、いっこ。
たくさんある中の、たまたまぼくらが住んでるこの星。
ちっぽけなちっぽけなそこに自分を置くことで、ジンルイは巨大な視野を手に入れたんだった。

つづく

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地球上から主観的に考える宇宙の構造・天動説

2019年08月25日 08時58分52秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
文明が生まれてからちょっとたって、文化が成熟しはじめた頃。
東からのぼった太陽が南へ進み、西に沈んでくという同じリズムに、人類は気がついた。
そこで、太陽の通り道には「黄道」というレールが敷かれてて、あの大きな燃える球体はそこを運ばれてく、と彼らは考えた。
地上はどこまでも平らで、不動だ。
その上を、星が貼りついたドーム屋根が覆ってることに疑いはない。
その全天が、東から西に転がりめぐりつつ、太陽と月だけは太いレール上を運行してるわけだ。
だけど時代が下るにつれ、かしこくなった人類は、どうやらこの地上は丸くて、俯瞰すると大きな球なんだ、と理解しはじめた。
それでもなお、彼らの中で、地球=巨大すぎるこの大地は、全天を含むこの世界の中心だった。
なるほど、夜空のたくさんの星ぼしは、いっせいに、一様に、東から西に向かって動いてる。
その点で、頭上に天蓋をかぶせた天動説は、世界のメカニズムをうまく説明できてて、揺るぎない。
・・・ように見える。
が、夜空をよくよく観察すると、それと逆行するような動きを見せる、つまり集団から独立して行動する星が何個かある。
説明のつかない、やんちゃな「例外」が存在することに、人類は頭を悩ませた。
金星などは極端で、明け方か暮れ方のいっときにしか姿を現さない。
それどころか、その動きを数日単位で観測すると、夜空をUターンしたり、ループしたりしてるようだ。
そこで熟考してみる。
すると、「あの星ってひょっとして、いつも太陽の側にいるんじゃね?」ってことがわかる。
考えてみれば、「暁の明星」「宵の明星」と呼ばれるその星は、裏を返せば、太陽が姿を消した深夜には決して見ることができない。
これは、太陽が地球の裏側にいる時間帯に、一緒にくっついて地球の裏側にいる、ってことだ。
太陽にお供して、地球の裏側にいっちゃってるわけだ。
あの星は間違いなく、太陽の周りを回っている!
この地球じゃなく!
かくて、地球の裏側には大きな空間がひろがってる上に、太陽の裏側にまで広い空間があるぞ!とわかったわけ。

つづく

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