裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

アイデンティティの獲得

2021年12月09日 11時41分26秒 | サイエンス・ガクジュツ的な

有機体における最初の「入魂」って部分を知りたい!
その作業を経たものが、すなわち生命体となるわけなんだけど、なかなか取っ掛かりが見つからない。
つわけで、ついにわが探求の旅は、脳神経科学方面にまで踏み込んだんだった(この分野では、劇的な相転移ののちの進化展開しか教えてはくれまいが)。
ものの本によれば、原形質的な最初期の有機体は、体外近傍からの刺激に対する機械的な反応をまず覚えた。
酸に触れたら吐き出す、糖に触れたら取り込む、など、自分の構成成分を保持するための、これは意識なしの化学反応と言える。
ところがこの単純な自動的対応(反射)が進化し、ある時期にシンギュラリティを起こすわけだ。
外界のあれやこれやへの正確な対処のために、刺激受容体の感度を発達させたうえに、システムを一元化しはじめたのだ。
装置が緻密になり、大掛かりになり、洗練されると、やがて神経系を束ねた奥に中枢部(単純脳)をつくって、情報を統括するものが現れる。
体の外縁に触れるものの印象情報を総合すれば、周囲の状況や置かれた環境をおぼろにイメージできる。
すると今度は、イメージされた事物に働きかけようという機能が発達する。
神経束は、インプットされた刺激の統合→反射(忌避する、親和する)という原始的対応から、ついに能動的なアウトプット、つまり「活動」(追う、逃げる、戦う)を行うところまでを担いはじめた。
この操縦者こそが、原初の魂なのではあるまいか?
情報の収集と整理のみを行なっていた統括部に、目的という概念が発生し、それにともなう積極的な営みが開始されたわけだ。
原初意識は、ついに意思へと到達する。
さらに重要なのが、光受容装置を発達させた視覚の獲得だ。
受容体に飛び込んでくる光子に科学的に反応して光と影をオンオフで判断していた分子が、磨かれ、集まって画素数を増やし、神経のメカニズムを発展させて、外界の細密な姿を認識しはじめたのだ。
こうなると、周囲の狭いエリアを探るのみだった外意識が、遥か遠距離にまで拡大される。
近接物との直な触れ合いで肉体内のやりくりに終始していた閉鎖世界とは別ものの、「外界の中に位置するわたくし」というひらかれた認識と感覚は、進化のリミッターを完全に取っ払う。
生命は、世界の構造を理解するとともに、自分の立場や社会との関わり合いという難しい概念に到達し、ついに「食う」「食われる」の場における適者生存の競争を本格的に開始するわけだ。
こうして、情報解析と対処に莫大なエネルギーを投資したものが、世界を支配することになる。
・・・と、今んところはこんなまとめ方。
だけど、どの局面で入魂がなされたかは、まだ謎のまま。
つか、最初の時点で、すでに作業はすまされてたような気が・・・
究明にはまだまだ遠い。

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めぐる

2021年10月07日 11時09分36秒 | サイエンス・ガクジュツ的な

太古の昔、地球の大気中に、酸素はほとんど存在しなかった。
この星は、二酸化炭素に満たされてたんだ。
そこに、葉緑体系の生物が発生した。
つまり、植物が。
植物は、二酸化炭素と水とで炭水化物をつくり、エネルギーとした。
これを化学式にかけると、酸素が余る。
要するに植物は、二酸化炭素を吸い、必要のない酸素を大気中に吐き出しまくった。
酸素は、森を発火させ、土を錆びさせ、細胞を老いさせる、危険な毒だ。
緑が大地を覆い、酸素に満たされた地球上で、最初の破滅的絶滅が起きた。
そこに、そっとミトコンドリア系の生物が誕生した。
つまり、大ざっぱに言って、動物が。
動物は、酸素と炭水化物とでエネルギーを発生させ、二酸化炭素を余らせる。
要するに、酸素を吸って、植物を食べ、二酸化炭素を吐く(ぼくらがしてる行為だ)。
こうして大気中に、今度は二酸化炭素が満ちた。
二酸化炭素を吸って酸素を吐く植物たちは息を吹き返し、するとさらに、酸素を吸って二酸化炭素を吐く動物が繁栄し、奇跡のような円周回がはじまった。
地球上ではこうして、反タイプの生物がお互いを支え合いながら、循環環境を維持しつづける。
考えれば考えるほど、うまくできたパズルだ

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mRNAワクチンとは?

2021年09月12日 08時56分27秒 | サイエンス・ガクジュツ的な

mRNAワクチンのメカニズムの、最も簡潔かつ基本的な知識をここに書き留める。

さて、ワクチンの前にまず、「ウィルス」について理解しておかなきゃならない。
ウィルスは、微生物である細菌などとは違って、呼吸も新陳代謝も自己複製(自発的に子孫をつくること)もしない、生物と無生物の中間にある物体なんだ。
その構造はシンプルかつ無機的で、ほぼDNA(自分のコピーをつくるための設計図)の入ったカプセルと言っていい。
能動的に動けないので、空中を浮遊して移動するしかない(生物というよりも、鉱物に近い)。
ところが、これが生物の体内に入り込むや、寄生先の細胞のDNAに働きかけて自分のコピーをつくらせ、増殖して(させて)いく。
増えに増える。
やがておびただしいウィルスにおかされた寄生先の生物は、せきやくしゃみをさせられる。
あるいはうんちや、さいあく死んで腐って体液を垂れ流すことで、体内のウィルスをさらに世界中にばらまかされることになる。
かくてウィルスは大繁栄する、というわけ。
・・・ふむー、無生物が書いたにしては、うまいプロット(台本)だ。
上記したように、ウィルスは生物とは言えないので、毒では殺せない。
蚊取り線香でも、殺虫剤でも、いわゆる「殺菌作用」のやつでも無理。
生きていないから、死なないのだ。
つまり、壊すしかない。
なので人類は、アルコールで彼らを溶かして、浸透を防御するんだね。
だけど、一度体内に入ってしまったものはどうすることもできないので(お酒を飲んでもだめなようだ)、ワクチンを、というわけなんだった。

RNAの前に、まずはDNAのシステムをおさらいしておこう。
DNAは、四つの文字(塩基)によってその生命体の遺伝情報が書き込まれた二本のひも状分子で、おなじみの二重らせん構造に絡み合っている。
片方のひもに書かれた文字列は、もう片方のひもの対面の文字列と対になっているので、二本をほどき、それぞれに対応する塩基を新しくパズルのように当てはめていけば、文字列を新たに複製することができる。
そうしてコピーをつくることで情報を保存し、自らを収蔵して便利に動きまわれる生命体そのものを組み立て、維持し、子孫(遺伝実体のコピー)にまで情報を連綿と受け継がせていこうというのが、DNAの企てなんだった
生物は、DNAの指令によって行動し、遺伝情報を伝えるために次の世代をつくらされているに過ぎない存在なのだよ、ちょっとこわいね・・・
ま、それはさておき、肝心のRNAだ。
RNAは、DNAの文字情報を「実体」としてつくり上げるために働く、コピペ係と言っていい。
まずこいつは、DNAの二重らせんの一部をほどいて、二本の対となっていた文字列をむき出しにする。
さらにその片側にくっつき、欲しい情報(わりと短文であることが多い)を読み取って、対となる文字起こしをする。
この文字は記号ではなく、塩基という物質でできているので、塩基の配列を新たにつくれば、情報のコピーの持ち出しは可能なのだ。
この短い一重らせんの形をしたコピーこそが、m(メッセンジャー)RNAだ。
mRNAは、得たコピー情報を細胞内のリボソームに持ち込み、読み取ってもらう。
すると、t(トランスファー)RNAというやつがアミノ酸をつないでいき、欲しかったタンパク質の形に編み上げてくれる。
噛み砕いて言えば、人体の仕組みを網羅したファイル(DNA)を元に、必要なパーツの設計図をmRNAがコピーして工場(リボソーム)に渡すと、作業員(tRNA)が材料を集めて組み上げてくれる、というわけなんだった。

さて、いよいよ本題のmRNAワクチンだ。
ここで重要なのが、コロナウィルスが体内に格納しているのは、DNAではなく、RNAだという点だ。
遺伝情報は、必ずしも高度なDNAではなく、RNAの一重らせんの形でも事足りるのだ。
DNAという素晴らしく完璧なアイデアが生まれる前、古代世界に生きる先達はRNAによって情報を後世に伝えていたのだよ。
そんな名残なのか、コロナウィルスは自らの情報をRNAの形で保存しているのだった。
そのゲノムを読み取った人類は、それを逆手に取って、コロナ撃滅の反撃に出たのだな。
日々、報道などで目にするコロナウィルスの姿を思い浮かべてほしい。
ころりと丸いボディに、「スパイク」というトゲトゲが飛び出している。
この突起は、コロナウィルスが生物に取り込まれようとする際に、相手の「レセプター」という受容体と噛み合わせるためのジョイント部だ。
要するに、人類の体内の細胞にコンセントがあり、ウィルスのスパイクは、それにぴったしと合うプラグの役割を果たすわけだ。
このタンパク質製の小パーツ(スパイク)の構造をコピったmRNAこそが、mRNAワクチンなのだった。
さて、「コロナウィルスのスパイクパーツの遺伝情報」を、きみの体内に注射するとどうなるか?
細胞深部に浸透したmRNAは、リボソームに働きかけ、tRNAにアミノ酸をタンパク質の形につながせて、スパイク(つまり、コロナウィルスの無毒な一部)を作成し、体内に解き放つ。
対してきみの体内の免疫機能は、この異物を排除しようと襲いかかる。
スパイク自体にはなんの害もないので、人類は罹患することもなく、この対決(練習試合)にあっさりと勝利できるのだった。

人類の体内に侵入してきた異物を「抗原」といい、特定の抗原に対応する専門の迎撃隊を「抗体」という。
件の模擬戦での勝利によって、きみの体内には、コロナウィルスのスパイクに対応する抗体ができたわけだ。
この一回目の戦闘後、コロナスパイクにぴたりと接合するレセプターを獲得したきみの免疫系は、戦った相手の面構えを知る「記憶細胞」として眠りに就く。
さらにきみは何週間か後、二回目のワクチンを打つわけだが、このときの体内の反応がすごい。
「こないだのあいつがまたきゃーがった!」とばかりに、記憶細胞が一斉に目を覚まし、抗体として爆発的に増殖して迎え撃つのだ。
こうして二度の注射を終えたきみは、コロナウィルスに対するおびただしい防衛部隊をからだ中に展開し、隅々にまで警戒のセンサー網を張り巡らせて、さらなる襲来に備える態勢を整える。
そしてついに、すわ本番!となる。
きみは実際に感染して、いよいよコロナウィルスという本物の害毒が入ってくる。
ところがそのときには準備万端、アリ一匹通さぬ(アリの方がウィルスよりもはるかに大きいが)免疫センサーがウィルスのスパイク部分に反応し、素早く、かつおびただしいキラー細胞たちを前線に差し向けるわけだ。
きみは、二度のワクチンという「罹患の疑似体験」をすることによって、堅固な防衛態勢を敷き得たのだった。
まったく、うまく考えられたもんだよ、mRNAワクチン。

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無限級数の発散

2019年10月02日 00時54分38秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
1+2+3+4+5+6・・・という無限につづく計算をしてみる。
その解は、無限、となる。
こんなふうに無限級数の足し算の結果が無限になることを、「発散する」と表現する。
無限に足し合わせるんだから、無限って答えが出ることは、あたりまえに思える。
だけど、次の計算はどうだろう?
1+1/2+1/3+1/4+1/5+1/6・・・
数字がだんだんと減っていく。
最初のふたつを足して1.5、みっつを足して1.8くらい、よっつを足して2.1くらい・・・
遅々として進まないどころか、歩みを進めるごとにますます遅くなっていく。
10の46乗個を足し合わせても、100まで到達できない。
そりゃそうだよ、1/(10の46乗)なんて砂つぶよりも小さな数字をどれだけ積み上げたところで、たいして大きな数になるはずがない。
・・・と思うでしょ。
ところが、こちらの無限級数の足し算も、発散するのだ。
小っちゃな小っちゃな数字が、もっともっと小さくなっていって、限りなく0に近づいていくにも関わらず、それを無限に足し合わせると、無限になる。
なんだか不思議・・・
不思議だけど、あたりまえ・・・
あたりまえだけど、やっぱり不思議・・・

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地球上から主観的に考える宇宙の構造・万有引力の法則・2

2019年08月29日 08時46分12秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
ニュートンさんに先駆けて、「ケプラーさん」がいた。
彼は、火星の位置の膨大なデータを解析して、その軌道をはじき出したひとだ。
それによって、惑星は正円じゃなく、楕円軌道で運行してるってことがわかったんだ。
しかもそのスピードは、太陽に近づくほど速くなり、遠ざかるに従って減速していく。
面白いのは、太陽を頂点に、惑星が一定時間で移動した二点間を底辺に取る三角形を作図すると、どの部分を抽出しても同面積!だというんだ。
つまり、惑星が速く進む太陽の近くで計っても(太陽に接する頂角は鈍角になる)、遠い場所にあるときに計っても(ゆっくり運行だから、シャープな鋭角三角形になる)、おんなじなの。
まてよ・・・これって、ボールを上空に向けて投げたときと同じ現象だよね。
放物線、というやつだ。
投げ上げたボールは、地上から遠ざかるにつれてスピードが落ち、頂点でついに最減速、やがて曲線を描いてUターン、落下がはじまり、加速しながら地上にもどってくる。
そこでニュートンさんは、「惑星の運行とは、つまり太陽に向けて落ちていくことなんだ」と解釈したのさ。
ガリレオさんが砲弾の軌道を研究してて思いついた「慣性の法則」=動きはじめたものは抵抗がないかぎり動きつづけ、引力などが働いた場合は楕円軌道になる、という約束事をあてはめると、惑星の動きはなるほどピタリと説明できる。
天体の運行に神様の力は必要なくて、実は地上界と同じルールが天界にも採用されてた、とわかった瞬間さ。
それが前回に出てきた「人間界と神様の世界を統合した」の意味だよ。
これでまた、ヒトビトの目に映る夜空の印象が劇的に変わったわけさ。
真実を理解すると、なんてスッキリと視界がひらけることだろう。
ついでだけど、ニュートンさんは、太陽と任意の惑星間だけじゃなく、惑星同士がお互いにおよぼしあう引力についても研究したんだ。
つまり、惑星同士が近づくと少しだけ軌道が揺らぐことを観測して、それも万有引力の法則で矛盾なく説明してみせた。(法則に矛盾がないことを証明してみせた)
例えば火星と木星が近づくと、予想された軌道よりも少し外れて、ゆらゆら、となる。
この現象を応用して、ニュートンさんはふたつの新惑星(冥王星と海王星)の存在を予言したんだよ。

おしまい

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地球上から主観的に考える宇宙の構造・万有引力の法則・1

2019年08月28日 09時57分49秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
クリスチャンのひとには申し訳ないけど、科学をこうまで遅らせたのは、キリスト教のせいだ。
数学も、物理学も、科学全般を論じるところの哲学も、ギリシャ時代にはすでにほとんど体系ができて、理解も深まってた。
ところが、ローマが勃興してキリスト教会が権力を持つと、「科学なんか信じたらダメ!」「神様の言うことがすべてなの!」と、論理的な思考を停止しちゃった。
こうして科学は、長い長い停滞の時期を耐えるしかなかったのだ。
しかし、ついにその闇が明け、「ルネッサ〜ンス!」となったわけ。
「コペルニクスさん」と「ガリレオさん」が地道な論拠を積み重ね、教会とやり合って、地球自体が動いて太陽を周回してることを周知のものとしたのもこの時期さ。
そして、いよいよ「ニュートンさん」の登場だ。
この大人物は、人間界と神様の世界を統合したひと、とされてるよ。
つまりそれ以前は、人間の住むこの地上界と、神様のおわす天界とは、まったく別のルールで動いてるという認識だったんだ。
そりゃそうだよね、地上では、どんな物質も安定を求めて地面に張り付いて不動なわけで、星のように空中にぷかぷか浮かんで、しかも自力で運行するなんてことはあり得ない。
あの大天空のレール上を太陽が運ばれていくのは、神様の特殊な力が作用してることは疑いがない・・・それ以前は、それが一般認識だった。
ところがある日、庭でうたた寝をしてたニュートンさんの目の前で、リンゴが樹からぽとりと落ちたわけ。
横から見てたらそれは、地球とリンゴがおたがいに引き合ってくっついたように見えた。
そこから、「地球もまた、リンゴに向かって落ちたのでは?」という、天才的なひらめきが生まれたんだ。
万有引力、すなわち質量のあるものはお互いに引き合ってんじゃねーの?という着想だ。
そこで終わらないのが、このひねくれた科学者のすごいとこだ。
この現象を天空に応用してみる。
つまり、「星ぼしはお互いに引き合って、落ち合い、その釣り合いで宙空を行き交ってんじゃね?」ってこと。
そうして計算すると、どうもしっくりときそうだぞ。

つづく

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地球上から主観的に考える宇宙の構造・地動説

2019年08月27日 08時30分56秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
宇宙は思ってたよりも広そうだ。
となると、空の天体配置モデルに修正を加える必要がある。
根本から宇宙の構造を見直そう、って話だ。
そこで、さらに夜空を注意深く観察してみる。
東から西へと一様にめぐる星々の中で、惑うようにうろちょろと動く数個の「惑星」にヒントがあるはずだ。
水星と金星、と呼ばれる星が、太陽の周囲を回っていることはよくわかる。
現在の太陽系モデルを知ってるぼくらからすれば当然のことなんだが、この二つの星は、地球よりも太陽に近いところを回ってるんで、その周回が観測しやすいんだ。
ところが、火星や木星の運動の解釈はむずかしい。
なにしろ、地球よりも離れたところを周回するこれらの星々は、きみが南にのぼった太陽を正面に見るとして、太陽の裏側をぐるっと巡った後、さらに地球の背面にまで回り込む軌道を取ってるんで、これまでの天体運行モデルを完全に捨てて思考を跳躍させないと、その動きの意味がわからないんだ。
しかし、今や人類は知り得た!
惑星たちが太陽の周りを回っていることを。
もはや地球が、宇宙の中心ではないことを。
ここで、さらなる思考の跳躍が起こる。
つまり、「いっそ、この地球も太陽のまわりを回ってるのでは?」という、驚天動地の考え方だ。
ところが、これがしっくりとくる。
この大地がそっくりそのまま、あの太陽を中心に周回してると仮定すれば、これまでのモデルで問題となってた惑星の運行の矛盾点すべてに説明がつく。
地球は転がるように回ってる。
これは、全天の風景がいっせいに上空を巡ることから見ても明らかだ。
しかし、その地球は、他の惑星とともに、太陽の周りを周回してる。
ヒトビトが見上げる夜空の光景が一変した瞬間だ。
このコペルニクス的転換によって、人類は外からの視線で「真の」自分たちを見ることができるようになった。
宇宙における大空間の中の自分たちの立ち位置。
それは、多くの天体の中の、いっこ。
たくさんある中の、たまたまぼくらが住んでるこの星。
ちっぽけなちっぽけなそこに自分を置くことで、ジンルイは巨大な視野を手に入れたんだった。

つづく

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地球上から主観的に考える宇宙の構造・天動説

2019年08月25日 08時58分52秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
文明が生まれてからちょっとたって、文化が成熟しはじめた頃。
東からのぼった太陽が南へ進み、西に沈んでくという同じリズムに、人類は気がついた。
そこで、太陽の通り道には「黄道」というレールが敷かれてて、あの大きな燃える球体はそこを運ばれてく、と彼らは考えた。
地上はどこまでも平らで、不動だ。
その上を、星が貼りついたドーム屋根が覆ってることに疑いはない。
その全天が、東から西に転がりめぐりつつ、太陽と月だけは太いレール上を運行してるわけだ。
だけど時代が下るにつれ、かしこくなった人類は、どうやらこの地上は丸くて、俯瞰すると大きな球なんだ、と理解しはじめた。
それでもなお、彼らの中で、地球=巨大すぎるこの大地は、全天を含むこの世界の中心だった。
なるほど、夜空のたくさんの星ぼしは、いっせいに、一様に、東から西に向かって動いてる。
その点で、頭上に天蓋をかぶせた天動説は、世界のメカニズムをうまく説明できてて、揺るぎない。
・・・ように見える。
が、夜空をよくよく観察すると、それと逆行するような動きを見せる、つまり集団から独立して行動する星が何個かある。
説明のつかない、やんちゃな「例外」が存在することに、人類は頭を悩ませた。
金星などは極端で、明け方か暮れ方のいっときにしか姿を現さない。
それどころか、その動きを数日単位で観測すると、夜空をUターンしたり、ループしたりしてるようだ。
そこで熟考してみる。
すると、「あの星ってひょっとして、いつも太陽の側にいるんじゃね?」ってことがわかる。
考えてみれば、「暁の明星」「宵の明星」と呼ばれるその星は、裏を返せば、太陽が姿を消した深夜には決して見ることができない。
これは、太陽が地球の裏側にいる時間帯に、一緒にくっついて地球の裏側にいる、ってことだ。
太陽にお供して、地球の裏側にいっちゃってるわけだ。
あの星は間違いなく、太陽の周りを回っている!
この地球じゃなく!
かくて、地球の裏側には大きな空間がひろがってる上に、太陽の裏側にまで広い空間があるぞ!とわかったわけ。

つづく

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整頓中・ラスト

2019年07月26日 21時24分34秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
さんざん書いてきたように、φは、x2=x+1(左辺のx2は、xの二乗)なのだ。
ということは、φを二乗したものは必然的に、φに1を足したものに等しい、ということだ。
おいおいおい、さらっと聞いてるようだが、これって実はすごいことなのでは?
なぜなら、1.618・・・を二乗すると、2.618・・・になるってことなんだから。
んー、これではまだこの不思議さがわかるまいから、こう書く。
1.61803398874989484820458683436563811772030917980576・・・
の二乗は、
2.61803398874989484820458683436563811772030917980576・・・
・・・この深遠さが理解できてる?
同じ数字ふたつを掛け合わせても、小数点以下がどこまでいってもそろうのだ。
こんな数字は、人間には創造し得ない。
それが自然界から発掘された、ってとこがまた不思議だ。
さて、話はここにとどまらない。
φの逆数・・・つまり、1/φ(φ分の1)の解もすごい。
1/1.61803398874989484820458683436563811772030917980576・・・
は、
0.61803398874989484820458683436563811772030917980576・・・
・・・また小数点以下が一致した。
これも証明できる。
x2=x+1、であることから、両辺をxで割って、x=1+1/x、ってことになり、1を移行すると、x−1=1/x、なわけで、これを言語化すると、「x分の1は、xから1引いたものである」となる。
この場合、1.618・・・分の1は、1.618・・・引く1、つまり0.618・・・なのだ。
わかってくれてる?
いやー、不思議だね。
しかしそもそも不思議なのは、最初に戻るけど、一本の直線ABをCって点で分けたとして、その点の位置が無限小数になる、ってことかもしれないよ。
これは逆に言えば、無限小数と無限小数を足し合わせると、整数になる、ってことなんだから。
こんなシンプルな深遠さも、わかってほしいんだよね〜。

おしまい

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整頓中・4

2019年07月25日 18時26分50秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
世の中には奇妙な計算式というのがあって、ルート(√)という平方根の中に√を囲い込んでしまう、ということができる。
「1+√1」の平方根は「√(1+√1)」ってわけ。
√1+√1って横並びの話じゃないよ。
√の軒下に√がおさまってるの。
これを延々と繰り返すこともできる。
√の軒下におさまった1+√1のさらにその軒下に、+√1をおさめる、ってわけ。
言葉で説明すれば、1+√1という平方根の平方根、の平方根を求めよ、となる。
これを永遠に繰り返す。
この解が、なんと1.618・・・という、どこかで聞いたことがある数字になるのだ。
この計算は、実は中学生にもできるものなので、やってみてもいい。
x=全体式とし、両辺を二乗したのち、右辺をxに還元するだけで、「x2=x+1」が導き出せるのだ。
これは、前回に計算してもらったφ(ファイ)の計算式ではないの。
お、キョトンとしてる・・・?
もういっこ、いい?
1+1/1、という分数の分母に、これまた小さな分数を組み込むことができる。
読み上げれば、1足す1分の1足す1分の1・・・となる。
分母の下へ下へと、さらなる分母を組み込んで、積み木細工にしていくわけ。
その連分数を、無限に積み上げてみる。
つまり、1足す1分の1足す1分の1足す1分の1足す1分の1足す1分の1+・・・だ。
この数式も、中学生の数学力で解ける。
x=全体式とすると、右辺の分母はxそのものなので、x=1+1/ xとなる。
両辺にxを掛ければ、「x2=x+1」だ。
x=1.618・・・
またφが現れた。
きみはいったい何者なんだい〜?

つづく

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