裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

定額給付金

2008年11月30日 08時28分04秒 | Weblog
定額給付金について、朝日新聞が知識人100人にアンケートをとってます。
「もらってうれしいか?」の問いに、63人のひとが「いいえ」と答えてます。
知識人ってくらいだから、みんな国からのお駄賃が必要なほど暮らしに困ってるわけではないに違いないし、大喜びするほどの大金がいただけるわけでもない。
ってのもあるんだろうけど、それを差っ引いても、63%は大きな数字です。
中身を読んでみると、「高飛車で下品だ」とか、「貯金を取り崩させて無理やりに使わせるようなものだ」とか、「やるなら自腹を切ってやれ」とか、「自分で自分に小遣いを与えたところで効果があるか」とか、知識人ならではの論法が結構おもしろい。
そこでぼくなりに、なんでこの政策は人気がないのか、を考えてみたのです。
それはなんつってもね、「金をやる」という麻生さんの態度そのものが不愉快だからです。
ひとはね、投げ銭・放り銭は自尊心に懸けても拾わないものですよ。
くれてやらあ、と言われたら、いらねえやそんなはした金、と返すのが江戸前の常識というもの。
そういう、いわば「生理的反射」が国民全体に起こってますね。
深く考える必要もなく、ただ感覚的に気持ちの悪いお金に嫌悪感を感じてるわけです。
そのあたりの感受性は、「恥の文化」(罪の論理でなく、誇り高いかどうかで行動の善し悪しを判断する文化)を尊ぶわが国民は優れたもの。
人々はこの政策を「いやしいもの」と嗅ぎ取ってるわけです。
あっぱれ、国民。
・・・ただ、まあ、もらうんだけどね、全員。

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深夜に見た光景

2008年11月28日 09時59分33秒 | Weblog
「こんな話ってありかよ?」という痛々しい実話をフリー区的に放映するのが、深夜のドキュメンタリー。
ありゃなんだろうね?なるべく人目につかないように、って配慮(というより政治力)が働いてるとしか思えません。
身体障害者とか知的障害者とか、ドラマでは好んで素材にするくせに、本物はこの時間帯に隔離かよ、と言いたいです。
ま実際、見なくていいものなら見たくないというのが視聴者の本音かもしれません。
だけどね、あの制作者サイドの着眼、手法、そして熱意たるや、すごいもんですよ。
こういう社会のマイナー要素から目をそらしてるから、現代人は心がくもってくんじゃないかな。
今まで観たドキュメンタリーの中でいちばん心に残ってるのがね、知的障害をかかえる女の子が新体操で世界大会に出るお話。
また内容ばらしちゃうね、知ってほしいから。
その子は内気で、物事の判断ができなくて、物覚えも悪いんだけど、熱血コーチのもとで猛特訓して、ついに新体操のパラリンピック(かな?)に出場することになるのです。
ヨーロッパのどこかの国で行われたその本番の会場でですよ、さて彼女が踊るわけです。
とてつもなく大きな室内競技場に、立錐の余地もない満場の観衆。
そのすり鉢の底に、訳もわからずひとりぽつんと立たされる幼い少女。
いよいよ音楽が鳴りだし、演技スタートです。
おいおい、どうなるんだよ、大丈夫かよ~・・・と、親心にも似た感情で見守ってしまいます。
ところが彼女は、今この場の状況が理解できず、床の中央でおびえてしまって、どうすることもできないわけ。
コーチが「さあ、はじめて、さあ」と声をかけても、立ちすくんで泣くばかり。
ぐあー、観てるのしんどいー、チャンネルかえたいー・・・と、思ったそのときですよ、彼女が踊りはじめたのは。
音楽はすっかり鳴り終わり、演技時間も終了してるはずのそのとき、やっと何事かを思い出したらしく、手足を動かしはじめたのです、わーい。
それはラジオ体操みたいなぎくしゃくした新体操なんだけど、彼女は一生懸命。
会場は水を打ったように静まり返り、大観衆は息を呑んでその演技を見つめるわけ。
何千という視線を一身に浴びつつ、かっこいいポーズをキメて、ついに演技終了。
その瞬間、地響きのような万雷の拍手がわき起こるのです。
オリンピックで世界最高記録が出たときにも、Wカップ決勝でミラクルシュートが決まったときにも聞けないような、すさまじい拍手。
その子もコーチに抱きしめられて涙をこぼすが、会場にいる誰も彼もが涙、涙、ただただ涙・・・
小さな生涯でいちばんの勇気を振り絞った彼女の姿に、動かされない者はいません。
んでですね、次のシーンですよ。
彼女は、なんと表彰台の上にいたのです!
銀メダルをもらったのですよ。
いやー、主催者側もえらい。
ありえます?こんなドラマ。
いやー、おもしろい!
みんなも観なよ、ドキュメンタリー。
真実の力ってのはすごいもんですよ。

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ドキュメンタリー

2008年11月27日 10時11分53秒 | Weblog
深夜にチャンネル回しててドキュメンタリーなんかにぶつかると、つい観てしまいます。
オレは、新聞とドキュメンタリーが好きなのです。
新聞は「現在進行中の歴史」、ドキュメンタリーは「確定した歴史」。
生の人間を理解したい、という気持ちなのかも。
昨夜やってたのは、ベトナムで枯れ葉剤の被害に遭って片足奇形で生まれてきた児童の話。
プロデューサーはこんな深刻な素材を、まるで青春映画みたいに明るく軽快に描き出してて、やっぱNHKはどんなに批判されても底力があるなー、とついつい見入らされました。
で、話はね、片足の男の子(10歳くらい)が、自立するためにパソコンを学びたい、というもの。
それを聞いたおかーちゃんは、ボロボロ原付の荷台に我が子をのっけて、いそいそと遠くの村のパソコン教室に連れていくのです。
おかーちゃんの満面の笑みと、日差しを浴びて農道を疾駆するカブの颯爽とした光景が、実にまた美しい。
着いた教室は、野っぱらのまん中の掘っ建て小屋。
そこには、これまた両手を枯れ葉剤で奇形にされた先生がいて(失礼な言い方だが、カニの足のようになっている)、ヒジでキーボードを操り、スクリーンに文字を打ち込む。
「ようこそ。同じ障害を持つもの同士、がんばろう」とかなんとか。
仏頂面なのに、熱くていい先生なのよ。
さて少年は、片道27キロの道のりをチャリで通おうと決意するのだが(片足なのに!)、チャリが壊れてるので、その部品を買うため、まずアルバイトをはじめる。
これがまたなんの仕事なんだか、つべたい水の中に腰まで浸かってザルで何物かを濾し取るという過酷なもの。
そこで半日働いて200円もらえるのだが、部品は一週間働かないと買えない。
がんばってやっと部品を手に入れて、チャリを修理して、ついにパソコン教室に向かって走りだす。
ところがこれがまた過酷・・・
片足でチャリを漕ぐしかないもんだから、ちょっと走るだけでもうへとへと。
猛暑の中、休み休みに走りつづけること、片道二時間半。
ようやく到着すると、カニ先生が、不自由な手でハシを操り、弁当を分けてくれる。
「先生、ぼくがやりますよ」
「いや、ぼくがハシを使うところを見ててほしいんだ」
少年は尊敬のまなざし、先生は誇らしげ。
ついに男の子はパソコンに向かい、初めて文字を打ち込む。
時間をかけていっこいっこキーをさがし、間違い間違い、書きつ消しつ、たどたどしい文字列をつづる。
やっと打ち終え、文章を見てもらうために先生を呼ぶ。
じんとくるようなセリフが、そこには書かれてます。
最後はキャッチボールのシーン。
手の不自由な先生は足で、足の不自由な少年は手で、ボールを相手に投げよこす。
こんなお話、どんな創作もかないませんよ。
深夜にため息ついてしまいましたわ。
まあなんというか・・・そんな今日この頃でした。

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大麻をせん

2008年11月18日 00時30分09秒 | Weblog
大麻で、バカ学生がまた捕まってますが。
しかしですね、まったく素直に感想を述べさせてもらえるなら、「彼らはそれほどの罪悪を犯したのか?」ということになります。
麻薬を吸引して肉体を精神を滅形させるのは自分自身に他ならないのですから、外部の人間にとってはどうでもいいことなのでは?と。
歯ぐきがやせてツバがだらだらと止まらなくなり、幻覚に悩まされておしっこ・うんこを垂れ流すようになり、ヤク切れした後の次の一撃が欲しくて欲しくて欲しくてたまらなくて親の金に手を出してどやしつけられて、血肉・骨まで蝕まれて人間性崩壊の一途をたどるとしても、ですよ、それは自己責任として処理すればいいのではないか?と考えるのです。
ひとりのバカの所行に、国家の司法が介入する必要性にも、マスコミュニケーションが総移動する必要性にも、ぼくは納得することができません。
彼らは、自分を滅ぼしてるだけなのであって、それは「自由」に属すること。
バカはほっとけ、の一言で片付けたいところであります。
時間の無駄。
比較して言うのもあれなんですけど、ぼくは「タバコを道端に捨てる人間」の方を、大麻吸引者よりも十倍深く軽蔑してます。
のどかな(言いかえれば愚昧な)心で大麻を吸う人々と違い、タバコを平気でポイ捨てする彼らは完全な確信犯であって、その行為は悪意に満ちてます。
ぼくが、タバコの吸い殻をひろう人間であり、大麻を吸わない人間であるという事実が、この論を強く推してるわけでありますが、言いかえれば↓こういうことです。
すなわち、ひとに迷惑をかける人間は「罰せられるべきひと」、自分に迷惑をかける人間は「罰するにすら値しないひと」、と。
でもまあ、大麻を吸うような人間は、道端にタバコも捨てんだろうなあ、とも思いますが。
はあ・・・

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合衆国大統領

2008年11月06日 01時02分53秒 | Weblog
今、マケインさんの敗北宣言を聴いたとこなんだけど、なんて聡明で配慮に満ちた演説なんでしょう。
こんな大ゲンカした後でも国民全員をまとめてしまう、アメリカの底力はやっぱすごい。(日本のバラバラっぷりがひどすぎるだけなんだが)
顧みてこれまでのブッシュさんの8年間、アメリカ合衆国という国家は世界にとってクソのような存在でした。
これは失礼な言い方かもしれないけど、誰もが少なからずそう感じてましたよ。
思えば、この世界を決定的に悲観的なものに変貌させてしまったのが、8年前のアルバート・ゴア対ジョージ・ブッシュの大統領選だったのですよ。
あのとき「わずか数枚」という票差で(票操作の疑いも残るけど)現ブッシュ政権が生まれ、人間味を忘れた政治観・経済観がのさばる奇妙にゆがんだ世界が出現したのです。
そのビッグ・ミステイクにようやく気付いてくれたアメリカ国民。
今回の結果はあっぱれと言うしかありません。
以後の回復力に期待しましょう。
それにしても、とふと感じるのは、今回の経済破綻のタイミングの絶妙さ。
あれは何者かによって画策されたものだったんじゃないですかね?
何者か、ってのは、例えば「神様」とか。
このクライシスは、いろんな意味で、ブッシュ政権の唯一の果実です。
あと少しバブル破裂のタイミングが遅れてたら、ブッシュさんは至上的繁栄の中でのうのうとその地位を去り、次代のオバマさんがズタズタ経済の責任を負わされてたかも。(まあ結局、後処理は背負わされるんだけど)
もう少し考えれば、この新たに生じたクライシス(別の言い方をすれば、失政の表面化)に目が向けられることがなければ、戦争大好きなアメリカ国民はイラク一辺倒のマケインさんをチョイスしてたかもしれないし、世界中から「史上最悪の大統領」として太鼓判を押されることが確定的なブッシュさんを「英雄」としたまま歴史上に残してしまう失態を犯したかもしれません。
神様は、傲慢な者に相応の報いを与えつつ、誠実であろうとする者にチャンスを与えたのでしょうか。
つわけで、自分たちのわがままし放題がどれだけ地球上に悪影響をおよぼしてるか、ようやく気付いたアメリカの市井の人々が、自浄のために、変革を歌い上げるオバマさんを選んだわけです。
全米におけるオバマさんの獲得州は、東・西海岸の大西洋・太平洋に向けて開いた地域に偏ってますが、これは、国境(海)に面した州は世界を見、内陸の州は未だ内向きな「アメリカ万能」を望んでる証左です。
手前勝手な価格操作で穀物の高騰にありついて大喜びしてる場合じゃねーぞ、中西部・南部のテンガロンハット野郎ども。
世界に目を向けてそこでなにが起こってるか、ちゃんと見て、感じて、切実に痛みを覚えてみゃーがれ。
・・・と言いたい。
だけどそれはそれとして、ちゃんと自国のトップにマイノリティ人種を選ぶことができたアメリカは、やっぱしえらい!
「映画やテレビドラマに出てくる大統領はみんな黒人俳優さんが演じてるんで、その覚悟はできてたのだ」というひともいるけど、それもまた変化というものでしょう。
肌の色や出自の問題じゃなく、クレバーで、清潔で、世界と未来をちゃんと見ることのできるひとが、在るべき場所に就くことができた。
それが新しいアメリカの姿勢なのだ、と解釈しましょう。
没落したとはいえ、内政における一挙手一投足までもが世界の大きな浮沈に関わってくる、地上で唯一の超大国。
これからは常識的に動いて、地球上の大きな潮流と共鳴してもらいたいものです。
ひとの迷惑も顧みず、ひとりぼっちで贅沢を謳歌する彼らの振る舞いっぷりは、外から見てて実に珍妙な光景でした。
その外からの目線に気付いて、心にわびしさを覚えられるような大人物に成長してちょうだい。
この選挙で、フェアさをようやく示すことができたアメリカ合衆国なのですから、外に対してもこれからはフェアであってほしいものです。

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