裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

世界のつくり/意識編・17

2024年05月26日 00時05分37秒 | 世界のつくり

17・ゲノムの平行移動、って

ダーウィン進化は常に偶然かつ全方位なんで、彼はいつもあっちを変異させながら、こっちの変異にも取り組み、形質改造を進めている。
各種感覚機能のコンプリートと同時進行で、彼はからだのつくりそのものを根本的に進化させた。
それは、細部構造という問題をはるかに超えた、グランドデザインにおける発想自体の大転換だ。
思えば彼は、ずっと細胞ひとつの身で活動をやりくりしてきた。
しかしこれだと、いろんな機能が徐々に備わるにしたがって、付属品の収納スペースが手狭になってくる。
彼はかねてより、からだを大きくしたかった。
だけど、大きな容積を詰め込むには、脂質の外膜は薄くて弱すぎ、無理をして拡張させると破裂してしまう。
そこで彼は、コピーをつくって増殖する・・・つまり細胞分裂の際に、新造の相方細胞を完全に分離させずに連結させ、「自分」の一部として扱ってしまうことにした。
彼が分離させるコピーもまた彼なんだから、等しいアイデンティティを持つそいつと一体化し、機能を分散して循環を連動させれば、容積が二倍の彼ができるではないか。
あるいは、二倍の彼が再び分裂し、できたコピー群をひとまとめにすれば、四倍の大きさの、八倍の大きさの・・・いや、百倍もの大きさの彼にだってなれる。
こうして、単細胞生物だった彼は、多細胞生物へと進化を果たしたんだ。
大きな個体は、強い。
他者をそのまま飲み込んでしまうことだってできる。
飲み込めば、彼を構成する多くの細胞チームが寄ってたかって分解にあたり、あるいは手分けをして消化し、取り込んで血肉としてしまえる(血も肉もまだ彼は持ってないけど)。
成長の効率が一層上がり、彼はますます大きくなっていった。
その課程で、また奇妙なことが起きた。
飲み込んだ他者の遺伝子の一部が、そのまま彼のゲノムに組み込まれる、なんてことが起きたんだ。
どうやらDNAの変異は、ゲノムの世代間継承の際のコピーミス(ダーウィン進化)という縦方向の移動の他に、補食の際の平行移動でも起きるようだ。
こうして進化の効率までが一層上がり、かつ、形質の変異は劇的で極端なものとなっていく。

つづく

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園

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