遠足前夜におなじみの寝付かれないまどろみを布団の中で過ごし、午前4時00分起床、同25分に自宅を出発。
東京では秋口のこの時期に、やっと遅い夏休みをもらったのさ、るるん。
この日から四日間を南の島で過ごすべく、オレとツマとはチャリにふたり乗りで駅へと向かったのだった。
西武鉄道はこんな早朝から動いてるんだね、ご苦労さん。
さて旅の出で立ちは、Tシャツ、短パン、ビーチサンダル。
初秋の夜風(朝風か?)が少々肌寒い。
荷物は、いつも背負ってる街リュックに、いつものプール通い用の肩下げ、以上。
旅だからと大げさな装いをしないのがわが家流なのだ。
薄闇のプラットホームは森のように静寂。
ようやく空も白みはじめる。
そこへ池袋行き鈍行がつつつと滑り込んでくる。
ゆっくりとスピードを落としつつ過ぎ行く車両に人影はまばらで、みんな無口に視線を落とすか、目を閉じるかしてる。
しかし目の前に停まったその車両に、見知った顔を発見。
工房の月イチ会員・河村嬢だ。
彼女は病院の給食をつくる仕事をしてる勤労ガールなのだ。
こんな時間から働いてたとは!
お行儀よくまっすぐに座り、静かに眠り込んでる。
これからはじまる激しい肉体労働のために力を蓄え中、の図。
可憐な寝姿をナナメ前方に見る位置に座り、声をかけるが反応無し。
よろしいよろしい、寝かせといてあげよう、朝はやくからご苦労さま。
はしゃぎ顔でいそいそと遊びにいく自分たちの姿を申し訳なく思ってみたり。
終着の池袋でやっと目を覚ました河村嬢とひと言ふた言交わしてから別れ、旅人ふたりは羽田へ向かう。
飛行機は苦手。
離陸すると急激に血圧が低下して、よく視野狭窄に襲われる。
全身から発汗して、目の前がまっ白になり、からだの機能が停止に向かって沈下していく感覚。
オレだけなのかなあ、体内にこんな現象かかえてるのって。
だけどこの日は何も起こらず。
小さめの飛行機だったのが幸いして、今回は問題なかったみたい。
顧みて分析してみるに、過去にはジャンボジェットに乗るときにかぎってこの現象が起きてる。
緊張によるストレスはあるとしても、ジャンボ機のなんらかのメカニズムとの間に共鳴現象のような症状の増幅効果が生じ、肉体に顕著な影響を及ぼすらしい。
今後も実験を重ねて、謎の解明、克服に努めようと思う。
ま、小さな飛行機に乗れば安心、つーことだけはわかった。
でまあ、なんやかんやあって三時間弱のフライトを終え、沖縄本島をさらに南西に下った離れ小島・宮古に無事タッチダウン。
10月とはいえ、さすがに南の島は気温が高い。
だけど灼熱というわけでもなく、秋に入りたての乾いた風が心地いい。
太陽から降りそそぐのは、盛夏の直火とは質のちがう、透明で軽い肌触りの日差し。
この時期の沖縄は、台風さえ来なければ最高のコンディションなのだ(お金もかかんないし)。
さて午前も早いうちに空港に降ろされた(お金かかんないツアー)せいでホテルにチェックインもできず、途方に暮れる旅人ふたり。
そこで、空港構内をウロウロしてたレンタカー会社のお兄ちゃんを呼び止め、軽を一台借りてみる。
4日間乗り放題で1万円ちょっとは安い!
車種は型落ちワゴンR、キーはガチャガチャの旧式、車体のあちこちにキズあり、ナビは故障中。
しかしオレたちにはガイドブックも地図もある。
ペイパードライバーのヨロヨロ運転にはちょうどよろしい。
抜けるような青空の下、さっそく海を求めて走りだした。
つづきます
東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園