裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

生命の誕生、その思考実験・2

2020年10月08日 17時54分01秒 | 生命の誕生
あぶくの中で、アミノ酸という一単位が偶然にできたとしても、そいつがいくつかつながり合わなければタンパク質にはならない。
各種アミノ酸が何個も何個もくっついて、タンパク質はようやく構築され、生命のパーツとして有用になる。
そして、生命活動に使えるというだけあって、それは非常に大きく、複雑な構造なのだ。
アミノ酸をピーマンに例えるなら、タンパク質は「チンジャオロースー」みたいなものだ。
まったく偶然に、あぶくの中でそんな生成が起きるものだろうか?
何個かがぶつかりざまにくっつく・・・という程度の合体なら可能かもしれない。
ただ、数知れないそんな偶然が積み重なって、アミノ酸が延々と連なって(タンパク質という)求める形に行き着き、機能をしはじめる・・・なんて確率はそうそうなく、現実的とは思えない。
やはり、タンパク質の生成が自然に起きたと考えるのは難しそうだ。
この世界の掟に「エントロピーの法則」というのがあって、自然界はこれに従わなきゃならない。
ものの本によると、科学界で、原理、法則、理論・・・数あれど、本当に真理と確認されてるのは、このエントロピーの法則ただひとつ!ということらしい。
法則の内容はシンプルで、要約すると「世界は整然とした状態から雑然と散らかる方向へと不可逆的に進む」というものだ。
部屋の中を散らかしたら、自然現象(例えば、重力や磁力)のみで元に戻ることはあり得ない。
家が倒壊したら、ひとりでに(例えば、嵐や竜巻で)元通りに建ち直ることもあり得ない。
例えばそこに人間の意思が介入し、建て直そうという意図と、自発的な運動を加えないことには、再び家が建設されることはない。
別の言い方をすれば、自然に反した秩序をつくり出すのが、生命の意思の働きなんであって、それなしには、自然界は秩序立ったものの破壊のみを行う(素粒子の量子的振る舞いや、圧力、熱、電磁気力などで、天体を形づくったり、鉱物の中に美しい結晶を生むようなことはあっても)。
整ったものを崩していく自然のこの振る舞いの過程を、「エントロピーの増大」と言い、エントロピーが最大値になると、宇宙はまったくなにもない、エネルギーすらゼロという、沈黙の世界に丸められる。
でこぼこが一切ない真っ平らにならされる、というか。
散らかり方も極まると、整頓と清潔の境地に至るわけだ。
だとしたら、生命活動が構築するこのきれいに整った、いやらしい言い方をすれば「人工的」で「作為的」な僕らの世界とは、エントロピーに抵抗しようという試みなのだろうか?
いやいや、エントロピーの法則は絶対的なもののはず。
シュレディンガーが「負のエントロピー」と呼んだ生命活動だけど、その因果応報はエネルギーの保存則に反せず、概念上の根本世界はちゃんと乱雑に荒らされてカオスに向かうため、エントロピーは無事着々と増大していく、ということのようだ。
・・・説明が長くなったが、つまりなにが言いたいのかというと、アミノ酸が集まって、自然にタンパク質ができるものなのか?ということだった。
仮に、驚くべき確率の話だが、各種のタンパク質ができたとして、そいつが偶然にも「われわれが求める機能」に必要な部品としてすべてそろったとして、それが「われわれが求める形」に正確に並んだとして、そいつを自然の現象のみで稼働させることができるものだろうか?
つまり、「生命による意思」抜きで。
素晴らしい奇跡が続きに続き、無事に機械(久しく触れなかったが、自己複製の話をしていることを思い出してほしい)が組み上がったとして、一体誰がスタートボタンを押すというのか?
そこだけは、自然の力ではできそうにないのだ・・・

つづく

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園
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