さて、4月1日には毎年ブログでウソをついてるわけだけど、今年もみなさんに脱力してもらおうかな。
これからのたまうことは、全部ウソだと思ってほしい。
本気に受け取ってもらっては困るので、そこんところをよろしくお願いしたい。
うちのよめはんは、ほんとにいいひとなんだ。
オレがこの現世で引けたいちばんの当たりクジと言える。
かれこれ20年もつき合ってるけど、飽きがくるということがない。
いついてもたのしいし、どれだけ話しつづけても話題が尽きるということがない。
よめはんは無口に見えるけど(見えないか)、とてつもなくよくしゃべるひとだ。
「なんか面白い話しして」とムチャを振っても、ネタを無尽蔵に持ってるので、すぐさま用意して、そして「やめてよし」というまで話しつづけてくれる。
話法の天才だと思う。
内容はたわいのないものだけど、毒気がなく、トーンが丸いので、うっとりと聴き入らされる。
そんな彼女は、終電まで働きづめに働いて、へとへとのからだで毎夜、午前1時半近くに帰ってくる。
ところが帰り着くと、「ごめんね、おそくなって」などと殊勝なことを言う。
ひとのことばかりを考えてる。
粗末なメシを与えても、つねに「ありがとう」「おいしい」と言ってくれる。
よめはんは小食で、たちまち食事をすませてしまうのだが、オレは酒を飲みながらだらだらと長々と食べつづける。
その間、それが作法だとでも思ってるのか、読みたい本も新聞も開かず、横で「今日の出来事」を聞かせてくれる。
で、オレがついに食べ終わると、後片付けをし、新聞を読みはじめる。
そうして読みつつ、ことりと眠りこけてしまう。
あぐらをかいて座ったままの姿で。
いつも限界まで疲れ果て、いつもゴリゴリに凝り固まった肩を背負ってる。
このひとの眠りは、気絶に近い。
気を失ったときだけが、気の張りから解かれた状態になるのかもしれない。
ポカポカカーペットに横にしてやると「しあわせだ」などと口ごもって言う。
なのに頭の中は仕事のことでいっぱいになってるので、寝言で「かいぎ、うちあわせ・・・」とか「昨対比120・・・」とか「カップ&ソーサ-1600円で・・・」などとつぶやいてる。
たまに、どういうわけか「特約マックスつけてください・・・」などとも言う。
どんな夢を見てるのか。
オレは根っからのエピキュリアンなのだが、よめはんは禁欲的哲学によって自分の人生を導こうとする。
それでも両者にまったく対立という事態が起きないのは、すべてよめはんの聡明さのなせるワザだと思う。
ダンナが、マンガを描く、と言いだそうが、陶芸家になる、と言いだそうが、小説家になる、と言いだそうが、「そうですか」と相づちを打ち、一切を吸収してしまう。
「宇宙飛行士になりたい」と言いだしても、同じ反応をするにちがいない。
相手のことを信じきってる。
驚くべき自然体。
ひとの悪口は決して言わないが、社会の理不尽に対しては堅固な意志を持ち、信ずるところに忠実に行動する。
葬式に遅刻してきた坊さんを親戚一同の前で一喝するし、集団で痴漢行為をはたらく卑劣漢を見つければ、相手が何人であろうと食ってかかっていく。
電車内でエロ画像を見てるオヤジの携帯を叩き落としもするし、寿司屋でタバコの煙が漂ってくれば、メニューをあおいで煙を押し返しもする。
自分の倫理観に照らした「悪」を絶対に許さない。
なのに万人に対して寛容で、自己犠牲のもとに博愛を振りまき、惜しむことを知らない。
野心のない純粋な情熱をみなぎらせつつ、水に花を流すように気負いなく振る舞う姿には、つくづくと感心させられる。
顔の造作は特別に整ってるとは思えないが、その豊かな表情はしみじみと味わい深い。
風呂にはふたり一緒に入るわけだが、鶏ガラのような肢体についたおっぱいの形の美しいことこの上ない。
今年40になったが、肉体も精神もまったく老いることを知らないのは、みずみずしい感性のおかげにちがいない。
素直さは才人の第一の要素だが、それが生まれつきに備わってる。
こんなにも無垢に笑うひとを見たことがない。
それが清潔な心の現れであることは疑いがない。
この世の中で、最も美しいひとだと思う。
小さくてか細いのに、しなやかで、強い。
よくこんな拾い物を見つけたものだと、ほとほと自分の眼力に恐れ入る。
よめはん、万歳。
さて、思いつくままにウソをついてみたが、こんなところか。
4月1日だからと思って、調子にのって長々と書き連ねてしまった。
ウソをつきすぎだろうか?
ま、一年に一度のことだから、これくらいやってもバチはあたるまい。
とにかく、ここに書き出したすべてがウソなので、うっかりと本気に取らないように。
4月1日の、なんと便利な日であることか。
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画面左がよめはんです(ウソ)。
東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園