※ 船越隆文くんが被災したアパート跡地にて一門全員が集まる。
写真はY新聞社からの取材を受けるN。
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きょうは阪神淡路大震災から15年目の1月17日。
船越君の写真と花束を持ち、泊まりだった上田3級、平松君と一緒に9時半に家を出る。
青空が見え、穏やかないい天気だ。
駐車場で大石四段とバッタリ。
駅前で全員集合のあと、船越くんの住んでいたアパート跡地へ。
きょうはY新聞の方も同行だ。
船越くんの部屋のあった辺りへ写真を置き、持ってきた花束を供える。
そのあと写真を抱いたNを真ん中に全員そろっての記念撮影。
本当によい天気で、正面から照りつける太陽がまぶしい。
それから1人ずつ、青いダンガリーシャツを着た船越くんの写真の前で合掌する。
特に縁の深かった山崎七段が1番長く手を合わせていた。
よく考えてみると、きょう集まった25人のうち、生前の船越くんを知っているのは7人だけなのだ。
そのあと棋士以外の子ども達は自宅へ戻って研究会。
増田六段、山崎七段、安用寺六段、野間五段、川崎三段、糸谷五段、大石四段、澤田四段と私たちでタクシーに分乗し、ゆずり葉緑地公園へ向かう。
数年前、ここで献花をするときにNが3匹のラブラドールに襲われ(じゃれつかれ)、その後、一門でここへ来るようになったのだ。
きょうは日曜なので来訪者ももっと多いかと思ったが、それほどでもなくちょっと残念。
鎮魂の碑の前で献花のあと、NがA新聞の人につかまっていた。
再びタクシーでホテル若水へ。
今年の幹事は川崎三段だ。
予約していた席(今年は日曜ということもあり個室は取れなかった)でお昼のミニ会席を頂く。
途中ひとりずつ、“将棋以外の趣味” を発表。
「プロレス(観戦)」
「マラソン」
「昔のウルトラマンの動画観戦」
「食べ歩き」
「イギリス」
「カラオケ(お得意はポルノグラフィティ)」
「ロードサイクル」
「競馬」
「ネット」
「ドライブ」
「山登り」
時間とヒマのある方は、どれが誰の趣味か考えてみてください。
そのあと増田六段が帰り、残った9人で最上階の温泉へ。
風邪気味の私だけ、湯上り処で黒豆茶を飲みつつ持ってきた本を読んで過ごす。
静かなひと時を満喫していると、途中からにぎやかそうなオバアサン2人連れがやってきた。
すぐとなりのテーブルへ座り、バッグから取り出したミカンを食べながらオシャベリしていたのだが、そのうち、お金を渡した渡さないの話になる。
「いーや、アンタに渡したよ5千円」
「そんなん貰ってへんで私」
「渡した渡した。 だって私9000円持ってたんやもん」
「ホラな、千円札が4枚あるやろ? あとここに5千円札入れとって、それをアンタに渡したんやで」
しばらく「渡した」「もらってへんよ」 の言い合いが続き、双方共、バッグの中を引っかき回したりコートのポケットを引っくり返したりして探していた。
そんなことが延々と続いたあと、ようやく片方が折れる。
「渡した」と言われたほうが、「そんならワタシがどっかへ落としたんやろう」
バッグをドンと乱暴に置きながら、明らかにふて腐れた表情だ。
「ちょっと待っててな、いま計算するから」 と言って、メモ帳の端っこで昼食代(恐らく)の計算を始める。
「・・・税金いれて1人3千○百×十円やから・・・・アンタに千○百×十円渡せばいいんやわ、ハイッ」
すると今度は「渡した」と言い張った方が、「なんでアンタからこんなお金もらわなアカンねん!」とすごむ。
「そんなん当たり前やん。 アンタから5千円貰ってるんやもん」
「でもそのお金、まだ出てきてないやん」
「あー、家に帰ったらきっとどこからか出てくるやろ(めんどくさそうに)」
「んなアホな! これだけ探しても無いもんが、一体どこから出てくるっていうねん」
聞いてるうちにだんだん疲れてきて、また本を読み出す。
しばらくして顔をあげると、宝塚阪急へ一緒に買い物へ行くところだった。
「オバアゲンカは犬も食わない」
やがて全員がお湯から戻ってきて、“若水” と書かれた額の前でいつもの記念撮影。
大石四段も澤田四段も、湯上りのすがすがしい青年ぶりだ。
そのあとユリカモメや鴨を見ながらS字橋を歩いて宝塚駅へ。
ホームで野間五段、安用寺六段、川崎三段と別れる。
残りの4人は家で将棋をするのだそうだ。
1階が満員なのでレッスン室でやってもらう。
だいぶ経ってから用事があってレッスン室の前を通りかかるとシーンとしている。
(アレ?) と思い耳を澄ますと、かすかにパチン・・・パチッと静かな駒音が聞こえてきた。
ドア越しだが、恐ろしいほどの集中力と気迫が伝わってくる。
ここが奨励会員の子ども達とは大きくちがうところだなぁと思った。
6時半に4人が帰り、長引いていた階下の研究会も7時前に終了。
金太郎を出して引っくり返る。
あれから15年。
変わったこと変わらないこと色々あるが、やっぱり変わったことの方が多いのだろう。
金太郎が小さなクシャミをした。
おわり
写真はY新聞社からの取材を受けるN。
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きょうは阪神淡路大震災から15年目の1月17日。
船越君の写真と花束を持ち、泊まりだった上田3級、平松君と一緒に9時半に家を出る。
青空が見え、穏やかないい天気だ。
駐車場で大石四段とバッタリ。
駅前で全員集合のあと、船越くんの住んでいたアパート跡地へ。
きょうはY新聞の方も同行だ。
船越くんの部屋のあった辺りへ写真を置き、持ってきた花束を供える。
そのあと写真を抱いたNを真ん中に全員そろっての記念撮影。
本当によい天気で、正面から照りつける太陽がまぶしい。
それから1人ずつ、青いダンガリーシャツを着た船越くんの写真の前で合掌する。
特に縁の深かった山崎七段が1番長く手を合わせていた。
よく考えてみると、きょう集まった25人のうち、生前の船越くんを知っているのは7人だけなのだ。
そのあと棋士以外の子ども達は自宅へ戻って研究会。
増田六段、山崎七段、安用寺六段、野間五段、川崎三段、糸谷五段、大石四段、澤田四段と私たちでタクシーに分乗し、ゆずり葉緑地公園へ向かう。
数年前、ここで献花をするときにNが3匹のラブラドールに襲われ(じゃれつかれ)、その後、一門でここへ来るようになったのだ。
きょうは日曜なので来訪者ももっと多いかと思ったが、それほどでもなくちょっと残念。
鎮魂の碑の前で献花のあと、NがA新聞の人につかまっていた。
再びタクシーでホテル若水へ。
今年の幹事は川崎三段だ。
予約していた席(今年は日曜ということもあり個室は取れなかった)でお昼のミニ会席を頂く。
途中ひとりずつ、“将棋以外の趣味” を発表。
「プロレス(観戦)」
「マラソン」
「昔のウルトラマンの動画観戦」
「食べ歩き」
「イギリス」
「カラオケ(お得意はポルノグラフィティ)」
「ロードサイクル」
「競馬」
「ネット」
「ドライブ」
「山登り」
時間とヒマのある方は、どれが誰の趣味か考えてみてください。
そのあと増田六段が帰り、残った9人で最上階の温泉へ。
風邪気味の私だけ、湯上り処で黒豆茶を飲みつつ持ってきた本を読んで過ごす。
静かなひと時を満喫していると、途中からにぎやかそうなオバアサン2人連れがやってきた。
すぐとなりのテーブルへ座り、バッグから取り出したミカンを食べながらオシャベリしていたのだが、そのうち、お金を渡した渡さないの話になる。
「いーや、アンタに渡したよ5千円」
「そんなん貰ってへんで私」
「渡した渡した。 だって私9000円持ってたんやもん」
「ホラな、千円札が4枚あるやろ? あとここに5千円札入れとって、それをアンタに渡したんやで」
しばらく「渡した」「もらってへんよ」 の言い合いが続き、双方共、バッグの中を引っかき回したりコートのポケットを引っくり返したりして探していた。
そんなことが延々と続いたあと、ようやく片方が折れる。
「渡した」と言われたほうが、「そんならワタシがどっかへ落としたんやろう」
バッグをドンと乱暴に置きながら、明らかにふて腐れた表情だ。
「ちょっと待っててな、いま計算するから」 と言って、メモ帳の端っこで昼食代(恐らく)の計算を始める。
「・・・税金いれて1人3千○百×十円やから・・・・アンタに千○百×十円渡せばいいんやわ、ハイッ」
すると今度は「渡した」と言い張った方が、「なんでアンタからこんなお金もらわなアカンねん!」とすごむ。
「そんなん当たり前やん。 アンタから5千円貰ってるんやもん」
「でもそのお金、まだ出てきてないやん」
「あー、家に帰ったらきっとどこからか出てくるやろ(めんどくさそうに)」
「んなアホな! これだけ探しても無いもんが、一体どこから出てくるっていうねん」
聞いてるうちにだんだん疲れてきて、また本を読み出す。
しばらくして顔をあげると、宝塚阪急へ一緒に買い物へ行くところだった。
「オバアゲンカは犬も食わない」
やがて全員がお湯から戻ってきて、“若水” と書かれた額の前でいつもの記念撮影。
大石四段も澤田四段も、湯上りのすがすがしい青年ぶりだ。
そのあとユリカモメや鴨を見ながらS字橋を歩いて宝塚駅へ。
ホームで野間五段、安用寺六段、川崎三段と別れる。
残りの4人は家で将棋をするのだそうだ。
1階が満員なのでレッスン室でやってもらう。
だいぶ経ってから用事があってレッスン室の前を通りかかるとシーンとしている。
(アレ?) と思い耳を澄ますと、かすかにパチン・・・パチッと静かな駒音が聞こえてきた。
ドア越しだが、恐ろしいほどの集中力と気迫が伝わってくる。
ここが奨励会員の子ども達とは大きくちがうところだなぁと思った。
6時半に4人が帰り、長引いていた階下の研究会も7時前に終了。
金太郎を出して引っくり返る。
あれから15年。
変わったこと変わらないこと色々あるが、やっぱり変わったことの方が多いのだろう。
金太郎が小さなクシャミをした。
おわり