逆風に抗して Against the wind,♪ we are running against the wind.♪
ここではないどこかへ。モモンガーの旅
2018年に横浜から信州にUターン
自転車と日々の生活を
綴ります。
 



本日、映画『オッペンハイマー』を観た。若いころの正義感からの共産主義への共感と、それがもたらす彼の人生の後半での困難について色々と考えさせられた。


物語の中で描かれた人類の運命を大きく変える原爆開発という壮大なプロジェクトは、トルーマンら政治家によって刈り取られ、敗戦を目前としていた日本に対して使われ、多くの生命を奪う結果につながった。実験が苦手で理論物理学者だったオッペンハイマー、純粋科学の使徒であった彼が、反ナチスという理由はあったにせよ、別の怪物である原爆を作ることになってしまった。

翻って考えると、恥ずかしながら私も高校時代は物理学研究会に所属し、映画に出てくるアインシュタイン、ボーア、フェルミ、ローレンスなどに憧れていた。しかし、大学に入り、自分よりも遥かに優れた頭脳を持つ人々に囲まれていることに気づき、物理学者になることを諦めた。物理学者は諦めたものの、アインシュタインのE=MC^2に惹かれ、原子力産業の一端を担い始めた半世紀前、会社の原子力入門授業でこの方程式にウランもしくはプルトニウムの物性値を入れて計算すれば臨界質量(原爆を作るための量)が分かると板書された式を見た時の身震いを今もハッキリ覚えている。原子力産業の矛盾に苦しみ、たった5年で原子力にオサラバしたけれど、入社5年目での別の道の選択は今になると大正解と言えるだろう。

さて、映画について言えば、このような映画がアカデミー賞を獲得したことに、米国の変化が感じられ、感慨深いものがある。原爆投下は第二次世界大戦を終わらせる為に必要な疑いようのない正義であり、米国の力の象徴と考える層が多分まだ大多数の米国国民の内にも、広島長崎への核使用の正義や、核による平和に対し疑念を持つ人々がずいぶんと増えてきていることに、わずかな希望があるのかもしれない。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« メモ:冬用タ... ようやく春だ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。