東海岸旅行も2週間が過ぎ、そろそろ終盤へ。
今日は、フィラデルフィアの周縁で、それほど有名ではない観光地巡り、運河、ベスレヘムとハーシー巡りを計画した。デラウェア川を渡って、ニュージャージー州からペンシルバニア州へ。
デラウェア川の右岸脇に運河が作られ、馬引き船で、多量の物資輸送がされていた。欧州では長い期間使われていた運河も、鉄道の登場で、米国ではほんの数十年しか使われず、欧州のように観光地になることもなく放棄されている。
閘門の開け閉めは手動だったようで、まだ歯車機構が残っている。
川沿いの段丘斜面にブドウ畑、その内にワイナリーの看板。長野県のブドウにデラウェアという品種もあるので、ここは寄って行きましょう。
甘い白ワインを買って、さらに運河を辿る。やがて、運河から離れ、なだらかなリーハイバレーの丘陵地帯へ。次はクリスマスやサンタで有名なベスレヘムという町。モラビア出身者が建設した教会中心のメルヘンチックな町に行って見たいとの連れ合いのリクエスト。
で、丘を越えると突然地平線上に錆びた鉄の塊群が見えてくる。不覚にも気が付かなかったのだが、そう、ここはかっての米国第二位ベスレヘムスチールの本拠地だったんだ。
さらに近ずくと巨大な空気タンクが錆びたまま佇立している。
そして、その向こうには、鉄鉱石、コークスなどを炉頂まで運ぶローダーとさらに聳える高炉。
ロス近郊のカイザースチールの製鉄所跡は80年代に更地にされたので、見た時のインパクトはないが、ここはかって何万トンもの鉄を作っていた施設の一部がそのまま残っていて、圧倒される光景だ。
鍛造工場と思われるビルの横庭には、戦艦の大砲を作った、その当時は世界最大だったと思われる数千トン級の鍛造プレス。
かっては鍛造工場だったと思われる背の高いビル。ここで、戦艦の大砲や発電機、タービン軸が作られていたのだろうが、今はコーチの旗。
そう、工場の一部はアウトレットモールとカジノになっていて、中国人と米国人がショッピングとギャンブルを楽しんでいた。
う~ぅん、栄枯盛衰とは言え、今のベスレヘムに工場労働者の影はない。そう言えばビリージョエルが工場衰退を歌ったアレンタウンはこんな風に始まっていた。
♬ Well we’re living here in Allentown
♬ And they’re closing all the factories down Out in Bethlehem
あっ、感傷にばかり浸ってはいられない。最初の目的地、旧市街のクリスマスの町へ行かねば。でも、あるのは古い教会と、旅行者目当てのクリスマス用品のお店ばかり。
都合の良い駐車場もないので、さらに西進して、チョコレートの町、ハーシーに行きましょう。
ここも、かっての世界一のチョコレート工場は煙突が残るのみ。
ここで、チョコを作るより、より賃金の安い場所でチョコは作った方が儲かる。工場は縮小され、チョコ主題のテーマパークに変身していた。ハーシーチョコのグッズを売る売店はすごい人だかり。
工場見学はできないので、ディズニーランド風のライドで、牛乳、カカオからハーシーバーができるまでを見せてくれる。
ライドの後には、無料チョコを貰って、今日はおしまい。
しかし、もう、米国では物は作らなくなっていることを実感。これでは中産階級、工場労働者は消え行くばかりだ。ビリー・ジョエルのAllentownはこんな風に終わる。
♬ But they've taken all the coal from the ground
♬ And the union people crawled away
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
♬ And it's hard to keep a good man down.
♬ But I won't be getting up today. And we're living here in Allentown
と走ったのは、こんなコース。フィラデルフィア外縁を反時計回りに走った一日。
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