マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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大塩観音寺大般若経転読法要

2011年08月05日 07時18分08秒 | 山添村へ
夏神楽と呼ばれる行事が行われている山添村の大塩。

かつては8月7日がその日だったが集まりやすいその日に近い日曜日になった。

午前中は公民館としても使われている観音寺。

午後は八柱神社である。

早朝に集まってきた二人の檀家総代と同じく二人のドウゲさん。

狐狸に納められた大般若経六百巻の木製箱を運び出し座敷に並べられる。

それを一つずつ順番に開けられて僧侶に差し出す。

これから始まるのは神野山にある神野寺の住職によって唱えられる大般若経の転読法要である。

本尊の観音さんの横には大日如来の掛け図が掲げられる。

祭壇には「奉轉讀大般若経息災延命所」と墨書されたお札。



これと同じお札を見かけたことがある。

それも版木だ。

それは柳生の立野(たつの)寺だ。

その版木は享保六年(1722)の記名があったことを覚えている。


(H22. 2. 7 EOS40D撮影)

断定はできないが同じ字体であると思えるぐらいそっくりである。

大塩ではその版木がないことから伝えられている見本のお札をカラーコピーされている。

また、その右手には半切りされた竹の棒がある。

それには「奉修風雲除災区内安穏五穀成就祈攸」と墨書されている。



住職が書かれた竹札である。

祭壇の蝋燭に火を点されて始まった転読法要は真言の読経から始まった。

そして檀家総代から手渡された大般若経の経典を一冊ずつ広げて「だーい はんにゃきょう はらみたきょう さんぞうほうし ・・・第1巻」と読誦(どくじゅ)されて経典をパラパラと落とすように右手へ。



そして机をバーンと叩く。

それは経典の流し読みの様のようで転読と呼ばれている法要だ。

経典は一つの木箱に段が五つ。

一つの段には経典が10冊ということは木箱には50冊が納められている。

その木箱は12箱あるから合計で600巻である。

その経典の一冊に目がとまった。

「嘉永七年(1854)」の墨書があったのだ。

また、木箱のある段には「明治九年神野寺寄進」とある。

それは少し新しいようである。

50冊を誦みあげると新しい防虫剤を詰めていく。



そう、転読法要は経典の虫干しを兼ねているのだ。

バーン、バーンと叩いたときには埃に混じって虫も飛んだのではと話す檀家総代。

600巻の転読法要を終えるにはそうとうな時間が要る。

300巻までいけば一旦は小休止。

ドウゲが差し出すお茶をいただいたあとは残りの300巻。

およそ2時間も要した転読法要は一人の住職ではそれぐらいの時間がかかる。

住職が話すには基本的な法要は一人の導師と6人の僧侶によるもので一人あたり100巻となるそうだ。

それならば短時間で終えるが一人となればこれぐらいとなる。



それはともかく法要を終えれば経典の1巻目と600巻目は折敷(おしき)に納められる。

これは午後から行われる八柱神社での夏神楽で用いられるのだ。

(H23. 7.10 EOS40D撮影)


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