──G・ベイトソン「形式、実体、差異」(『精神の生態学』佐藤・高橋訳)
十八世紀の末に登場したラマルクの進化論は、生物変異(トランスフォーミズム)の考えに立つ
組織だった進化理論として最初のものでありますが、……。
ラマルク以前には生命の世界は神に属する至高の〈精神〉(大文字の〝Mind〟)を頂点に、
ヒエラルキー構造をなすと考えられていました。
連鎖は天使、人間、サルと下って原生動物に至り、その下に植物から石にまで続いておりました。
ラマルクは、この梯の天地をひっくり返すということをやってのけました。
動物たちが、環境からの圧力のもとで変化することを見て取った彼は、
これらの変化を証拠として、進化の事実を主張したのです。
ともかくここで、事態にそれまでとは逆向きの順位づけがなされたというところが肝要であります。
梯が逆さまになれば、それまで説明であったもの、
すなわち頂点にあった〈精神〉が、一転して説明されるべきものに変わります。
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