鼎子堂(Teishi-Do)

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『シレンとラギ』~太平記を換骨奪胎したのだろうか・・・?

2012-05-27 22:36:25 | Weblog
乾いた夏日。


昨日は、青山劇場に『シレンとラギ』を観劇に。久々の劇評です。
青山劇場は、2年ぶり。

南の国を支配する教祖・ゴダイ(高橋克実さん)を、シレン(永作博美さん)が、暗殺したのが、20年前。しかし、ゴダイは、生きていた。
ゴダイは、北の国を脅かす存在。
暗殺に失敗したシレンは、キョウゴク(古田新太さん)の命により、キョウゴクの息子・ラギ(藤原竜也さん)を伴い、再び、南の国へ潜入するが・・・。

ゴダイの愛人となり、毒殺を果たしたシレンは、さしずめ、『ユーディット』なのだろうか?
そして、『愛=殺す』という宗教テーマを、打出すラギは、坂口安吾の『夜長姫と耳男』を連想させる。
シレンの生い立ちである、殺人の技術を生業としているローラン族は、『蛮幽鬼』のサジ(堺雅人さん)からの流れ。
物語は、敵味方入れ替わり、立ち代わりしながら、混迷を極めていく。
収拾がつかなくなりそうだ。

そして、ラギの出生の秘密は、現実に、藤原さんと永作さんが、似た顔をしている・・・というキャスティングにあったようだ。
サジ、シレン、ラギ・・・と、殺人を生業とするローラン一族は、爽やかな風貌の一族という設定らしい。
(役名は、失念したが、『蛮幽鬼』に出演していた[早乙女太一さん]が演じた役もローラン一族だったような気がする:ローランに関しては、これから、続編の予感がしておりますが・・・。あくまでも、私見です)

こういう物語は、取扱いが難しい。
もっとも・・・藤原竜也さんは、こういう役が、多いようだ。『身毒丸』とか、次回作の『日の浦姫物語』だとか・・・。

キョウゴク=足利尊氏、ゴダイ=後醍醐天皇、ダイナン(橋本じゅんさん)=楠正成、ナオモロ(粟根まことさん)=高師直、モンレイ(高田聖子さん)=阿野廉子、シンデン(北村有起哉さん)=新田義貞・・・といった歴史上の人物を置き換えているのだろうと思いながら、観ていた。

今回は、9列目のセンターでの観劇となった。舞台全体を見渡せて、近すぎず、遠からずの良席だった。
それで、始めて、気が付いたのだけれど、開演のオープニングテーマが流れている間、客席に向かって、光のウエイブが、投影されて、劇場全体が、光の波に包まれる。
本来なら、舞台用なのだけれども、これは、観客も舞台の一部であるという演出家・いのうえひでのり氏のメッセージなのだろうか・・・?と思う。

このところ、低迷ぎみな『劇団☆新幹線』。
換骨奪胎で、成功した例は、『朧の森に棲む鬼(リチャードⅢ世)』、失敗した例が、今回の『太平記???』なのかどうか・・・。

随分と長いマンネリのトンネルに入ってしまったようだ・・・以前(2006年から数年間)のような感動できる舞台は、今度は、いつになるのだろうか?

それでもこの劇団は、普通の商業演劇をみるより、面白い。
(それだけ、他がつまらない・・・ということも言えるかも知れない)


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