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美青年のいる文学史⑧~天上の二人③『オンディーヌ』*2023.05.23画像追加

2012-06-01 23:04:51 | 演劇・映画

6月の始まりは、雨の音で、目が覚めて・・・。そろそろ雨期。


少し、迷いました。

コレは、『天上の二人』というタイトルのキーワードにどうも当てはまらないような物語だからです。

水の妖精・オンディーヌと騎士・ハンスの・・・魔と人との恋なのですが・・・。

水の妖精が、人間の男と添い遂げるには、条件があるようでして、相手の男が、水の精を裏切るようなことあらば、命を奪われて、水の精も、彼を愛した記憶の一切を奪われてしまう・・・というものです。人魚姫のパターンですかね?人間の命を代償するのは・・・。

森の中で出会い、お互いに惹かれあうオンディーヌとハンスですが、天衣無縫にふるまう(・・・妖精だから何の規制もないのが当然ですが・・・)オンディーヌは、人間界の宮廷生活では、礼儀作法を知らぬ田舎娘・・・というレッテルを貼られてしまいます。
これほど、純粋で、美しいものはないと思っていたハンスも、シチュエーションが変わると、愛したものを愛せなくなり、元の婚約者・ベルタの奸計により、オンディーヌを、捨てます。

さて、最初のお約束。
『人間の男が、水の精を裏切るようなことがあらば、命を奪われる』
オンディーヌは、それでも、ハンスの命を助けたいと思い、私が裏切ったのだと・・・嘘をつきますが、所詮、嘘は、嘘。
水界の王は、ハンスの命を奪い、オンディーヌの記憶を消してしまいます。

ハンスの遺体を目にした記憶を消されたオンディーヌは、
『なんて、美しいひとでしょう。生きていたら絶対好きになるのに・・・。』
と言います。
ハンスは、美貌の騎士なのです(・・・だから、このカテゴリー[美青年のいる文学史]でもいいかなぁ・・・)。

水は、恐ろしいもの。
人の生活になくては、ならないものですが、形なく、あるときは、洪水となり、津波となって、ひとの生活を奪っていきます。
それを支配する水の精を、恋人にするには、余程の覚悟がいる・・・つまり、自分の命と引換できるほど、愛せる自信がなければ、『魔もの』には、手を出すなという教訓でしょうか?
一般的に水の精は、人を水底に引き込む魔力をもつようです。
ローレライもそうでしたが、美しい声で歌を歌い、人を迷わせるセイレーン(サイレン)の魔女のパターン。

フランスの劇作家・ジャン・ジロドゥによるこの『オンディーヌ』。

*追記(2023.05.23/劇団・四季上演のチラシを掲載/引越の為、身辺整理をしていて発見/上演は、1981年?)


劇団・四季で、何度も再演されておりますが、私は、榎木孝明さん・山口祐一郎さんのダブル・キャストで上演された公演が印象に残っています。特に、榎木さんの騎士・ハンス役は、美しさ際立っておりました。


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