鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

端正な演出『人形の家』②

2008-09-22 19:43:38 | Weblog
明け方、土砂降り・・・。

昨日の『人形の家』の続き。

イプセンの戯曲は、もう随分と昔に読んだので、大筋では覚えていたものの、改めて、舞台で、観ると、ああ・・・そう言えば、こんなストーリーだったな・・・などと思いながら、観ておりました。

主役・ノラ役の宮沢りえさん。
脅迫されて、思い悩む世間知らずの奥さんの役を痛々しいまでに演じられていて、この女優さんのもつ可愛らしさが、悲劇的(・・・なのか・・・違うのか・・・???)な破局を予感させる・・・ヴィジュアルな勝利でしょうか。
美しく可愛らしく従順な妻が、多分、もうすぐ訪れる破局を予感し、ヒステリックに踊るシーンは、身につまされる・・・。
他のどんな女優さんと比べても、何の遜色もなく、抜きん出て、いい女優さんなのに、どうも、この女優さんとモトお相撲さんのプライベートな破局を、どうしても引き算して観ることが、ワタシには、できないのだけれど。
それが、この女優さんの財産となる日がくるのでしょうか(それとも、もう充分、財産になり得ているんだろうか・・・?)。

潔癖で、醜いもの、汚いものを許せない夫・ヘルメル役の堤真一さん。
従順な妻の秘密を全て知ったときの怒りの表情・・・流石の演技力。
他人の醜さを許せないヘルメルが、汚辱にまみれるかどうかの瀬戸際の心境を迫真の演技で、みせてくれました。
この方は、宮沢さんと反対で、プライベートな恋愛を全て、演技に生かしていくタイプの役者さん。だから何時見ても、男性の色っぽさ・・・というか、そんな雰囲気のある役者さんですな。

・・・プライベートでは、対極にあるような恋愛をバックボーンに、もつふたりが主演だからこそ、この舞台は、こんなにも静謐な中に、痛いような緊張感が生まれるんですね。

クロクスタ役の山崎一さん。
その優しげな風貌とは、ちょっと想像もつかない役でしたが、この人も凄く上手な役者さんです。
二枚目だし、知的で、上品で、ソフトな雰囲気だし、その線の細い神経質そうなところが、好きな役者さんのひとりなんです。ノヴァの鈴木さんだったな・・・むかし・・・。ほんとのサラリーマンみたいで・・・。

古典もいいもんです。
しかも、外国の方の演出もなかなか新鮮で・・・。
また、やってくれないだろうか・・・ルヴォーの演出で、『テレーズ・ラカン』。
今思い出したけれど、美輪明宏さんの方じゃなくて、麻実れいさんと堤真一さんの『双頭の鷲』もルヴォーだったよな・・・。あれも良かったな。また、観たいな・・・。
宮沢りえさんの王妃役でもいいかもしれない・・・でも、もっと御歳を召されてからの方が、いいか・・・なんて勝手に想像しております。