師走に入り、12月22日に京都市で開催される全国高校女子駅伝大会も近づいてきました。
まず岡山県興譲館高校をデータにより分析してみたいと思います。例によって敬称略、過去の駅伝記事は、カテゴリーから“駅伝”をご覧ください。
井原運動公園陸上競技場
全国高校女子駅伝の予選を兼ねた岡山県高校駅伝が11月3日、井原市の井原運動公園陸上競技場発着の女子5区間21.0975㌔(井原マラソンコース・11時10分スタート)で行われました。
昨年の大会で興譲館は、倉敷に4区まで45秒差で先行を許し最終区でなんとか逆転するというぎりぎりの試合運びとなりました。
実力を付けつつある倉敷高校に、今年こそ、創部以来の21年連続21回目の出場も危ういのでは、と心配の声も周囲から聞こえてきます。
しかし、結果は予想に反して?興譲館高校が5区間オール区間賞、1分10秒の差をつけての完全勝利となりました。
私は、1区の中盤に近い七日市町付近で待機していました。スタートしてから7分過ぎ、白バイ2台の先導で、最初に並走してやってきたのは、興譲館の森陽向(もりひなた)と倉敷の萩原柚乃(はぎわらゆの)の両選手です。まさにデッドヒート、一騎打ちの様相です。
過去、何度も応援に行っていますが、このような展開は記憶にありません。
全選手が通過したあと、5区の選手が帰ってくるまで、一旦自宅に戻って待機し、頃合いを見て再び向かいましたが、空はいまにも雨が降ってきそうな天気でした。
白バイに先導されてトップ選手がやってきました。1区中盤・七日市町付近
興譲館の森陽向と倉敷の萩原柚乃とが並走
後続の選手たち(7位~11位付近) 倉敷南/堀家、倉敷中央/平田、岡山一宮/迫田、岡山南/梅里
出直し、同じ場所で待機していると、最初にやってきたのが、興譲館の留学生ワンブイです。
早い、まさに疾風のように走り去っていきました。
50秒後にやってきたのが、倉敷の留学生アグネスムカリでした。留学生同士最終5区の戦いでしたが、スピードは明らかに違っており、今日の勝敗は見えた感じがしました。
疾風の如く走り去る興譲館 W・ワンブイ、これにはお年寄りもビックリ
次にやってきたのが倉敷 アグネス・ムカリ
興譲館と倉敷のタイム差
それでは、興譲館と倉敷のタイム差を区間ごとに見ていきましょう。(興譲館⇔倉敷)
1区 森 陽向19:43 ⇔ 萩原 柚乃19:53 -10秒
2区 山下 穂香13:23 ⇔ 山本晏佳吏13:27 -04秒 計-14秒
3区 土屋 舞琴10:03 ⇔ 高橋 実夢10:05 -02秒 計-16秒
4区 谷口 萌優10:13 ⇔ 藤田 彩希10:17 -04秒 計-20秒
5区 W・ワンブイ 15:19 ⇔ A・ムカリ 16:09 -50秒 計-1分10秒
藤井監督は1区で区間賞を取れたたことが、勝敗を分けたと言っていますが、4区までのタイム差はわずか20秒。5区の留学生の調子次第では、順位が入れ替わることも十分あり得ました。
何といっても圧巻は、ワンブイです。15分19秒は監督も驚く区間新記録でした。
3000mの自己記録は8月10日に出した8.57.56、全国上位には神村学園のシンシア(8.49.72)、世羅のムッソーニ(8.51.77)がいます。しかし彼女は、1年生、まだ未知の力を秘めています。記録はもっと伸びるでしょう。
他には、3年生になったレベッカがいます。自己記録は、8.59.95で5位です。先輩の意地を見せて、最後の都大路を走りたいことでしょう。留学生同士の戦い、どちらが選ばれるか興味あるところです。
また、1年生、森 陽向(もり ひなた)の今後の活躍も期待されます。3000mで9.20.76の記録(全国30位)を持つ萩原 柚乃(はぎわら ゆの)を抑えての区間賞は本当に見事でした。
倉敷高校は、昨年より1分47秒も早いタイムでしたが、優勝はなりませんでした。後述の都道府県ランキングでも、7位に相当する好タイムでした。県の大会で2位が9分台というのは初めてのことだそうです。
興譲館 昨年との比較
次に昨年の各区間と比較し、現在の実力を見てみましょう。
本年1時間8分41秒/昨年1時間10分55秒
1区 森 陽向(1)19:43 ⇔ 酒井 想(3)20:09 -26秒
2区 山下 穂香(3)13:23 ⇔ 落合莉子(2)13:47 -24秒 計-50秒
3区 土屋 舞琴(1)10:03 ⇔ 舛田 華(3)10:21 -18秒 計1分08秒
4区 谷口 萌優(2)10:13 ⇔ 金澤彩希(2)10:23 -10秒 計1分18秒
5区 W・ワンブイ(1)15:19 ⇔ M・レベッカ(2)16:15 -56秒 計2分14秒
全員が、昨年よりも10秒以上タイムを短縮し、最終2分14秒もタイムをアップしました。
今年は、近年にない6人の新入生が入ってきました。そこに競争の原理が働き全体の底上げが一気に進んだということでしょう。
層の厚い、力をつけた往年の興譲館が戻ってきた感じです。
また、監督のオーダーが見事に功を奏しました。倉敷を意識した布陣、各選手の調子とそれぞれの能力を見極め適材適所に配置する、見事でした。
興譲館 県予選総合タイム 近年の比較と全国大会/タイムと順位
次に過去5年間の予選会のタイムと全国大会のタイム・順位をみていきましょう。
2019 第35回 1:08:41
2018 第34回 1:10:55 → 1:08:20 第8位入賞 ムワンギ・レベッカ区間賞
2017 第33回 1:10:47 → 1:08:55 第7位入賞
2016 第32回 1:11:14 → 1:10:01 第16位
2015 第31回 1:08:52 → 1:09:14 第6位入賞
2014 第30回 1:10:19 → 1:10:33 第15位
ここ3年間、全国大会では、予選のタイムを大きく上まわっています。藤井監督は、6分台で走らないと優勝争いには加われないと見込んでいます。
2019年 都道府県ランキング10傑
2019順位 校名(県名) タイム 2018タイム(順位)全国大会タイム・順位
1位 神村学園(鹿児島) 1.06.32 1.08.40( 3位) 1.07.25 優勝
2位 仙台育英(宮 城) 1.07.38 1.08.23( 2位) 1.07.51 3位表彰台
3位 興 譲 館(岡 山) 1.08.41 1.10.55(13位) 1.08.32 8位入賞
4位 諫 早(長 崎) 1.09.05 *
5位 須磨学園(兵 庫) 1.09.16 1.08.04( 1位) 1.08.15 5位入賞
6位 筑紫女学園(福岡) 1.09.35 1.11.08(16位) 1.09.33 15位
7位 成 田(千 葉) 1.10.18 1.10.18(12位) 1.08.34 9位
8位 豊 川(愛 知) 1.10.26 1.09.34( 7位) 1.08.16 6位
9位 世 羅(広 島) 1.10.47 1.09.29( 6位) 1.09.52 17位
10位 常 盤(群 馬) 1.10.52 1.09.16(18位) 1.11.33 13位
11位 大分東名(大 分) 1.11.04 1.08.53( 4位) 1.08.04 4位
14位 立命館宇治(京都) 1.11.18 1.11.36(20位) 1.08.20 7位
この都道府県ランキングは、各予選会でコース形状が異なることから参考でしかありません。
前評判では、タイム1位で最強の留学生シンシアを擁する神村学園、留学生抜きで1時間7分台を出したランキング2位の仙台育英が抜きんでています。
仙台育英は、留学生ムソニを含め、3人が3000mランキング30位以内に名前を連ねています。
また10傑には入っていませんが、立命館宇治も3000mランキング30位に3人が入っている実力校です。昨年は、全国大会では予選大会よりも3分16秒も早いタイムでした。
また、2年ぶり出場の長崎の諫早、そして兵庫の須磨学園、福岡の筑紫女学園も実力のチームで上位入賞を狙います。
興譲館、昨年は、落合莉子が最終5区で感動的な粘りを見せ、成田に打ち勝って入賞をものにしました。この粘りが興譲館の信条ではないかと思います。
留学生を除いて特に早い選手がいない興譲館、優勝は難しいでしょうが、何とか表彰台を目標に頑張ってもらいたいと思います。
大会まで、ケガには十分気を付け、本番でとにかく力を出し切って悔いのない走りをしてもらいたいと思うのが、地元ファンの願いです。
まず岡山県興譲館高校をデータにより分析してみたいと思います。例によって敬称略、過去の駅伝記事は、カテゴリーから“駅伝”をご覧ください。
井原運動公園陸上競技場
全国高校女子駅伝の予選を兼ねた岡山県高校駅伝が11月3日、井原市の井原運動公園陸上競技場発着の女子5区間21.0975㌔(井原マラソンコース・11時10分スタート)で行われました。
昨年の大会で興譲館は、倉敷に4区まで45秒差で先行を許し最終区でなんとか逆転するというぎりぎりの試合運びとなりました。
実力を付けつつある倉敷高校に、今年こそ、創部以来の21年連続21回目の出場も危ういのでは、と心配の声も周囲から聞こえてきます。
しかし、結果は予想に反して?興譲館高校が5区間オール区間賞、1分10秒の差をつけての完全勝利となりました。
私は、1区の中盤に近い七日市町付近で待機していました。スタートしてから7分過ぎ、白バイ2台の先導で、最初に並走してやってきたのは、興譲館の森陽向(もりひなた)と倉敷の萩原柚乃(はぎわらゆの)の両選手です。まさにデッドヒート、一騎打ちの様相です。
過去、何度も応援に行っていますが、このような展開は記憶にありません。
全選手が通過したあと、5区の選手が帰ってくるまで、一旦自宅に戻って待機し、頃合いを見て再び向かいましたが、空はいまにも雨が降ってきそうな天気でした。
白バイに先導されてトップ選手がやってきました。1区中盤・七日市町付近
興譲館の森陽向と倉敷の萩原柚乃とが並走
後続の選手たち(7位~11位付近) 倉敷南/堀家、倉敷中央/平田、岡山一宮/迫田、岡山南/梅里
出直し、同じ場所で待機していると、最初にやってきたのが、興譲館の留学生ワンブイです。
早い、まさに疾風のように走り去っていきました。
50秒後にやってきたのが、倉敷の留学生アグネスムカリでした。留学生同士最終5区の戦いでしたが、スピードは明らかに違っており、今日の勝敗は見えた感じがしました。
疾風の如く走り去る興譲館 W・ワンブイ、これにはお年寄りもビックリ
次にやってきたのが倉敷 アグネス・ムカリ
興譲館と倉敷のタイム差
それでは、興譲館と倉敷のタイム差を区間ごとに見ていきましょう。(興譲館⇔倉敷)
1区 森 陽向19:43 ⇔ 萩原 柚乃19:53 -10秒
2区 山下 穂香13:23 ⇔ 山本晏佳吏13:27 -04秒 計-14秒
3区 土屋 舞琴10:03 ⇔ 高橋 実夢10:05 -02秒 計-16秒
4区 谷口 萌優10:13 ⇔ 藤田 彩希10:17 -04秒 計-20秒
5区 W・ワンブイ 15:19 ⇔ A・ムカリ 16:09 -50秒 計-1分10秒
藤井監督は1区で区間賞を取れたたことが、勝敗を分けたと言っていますが、4区までのタイム差はわずか20秒。5区の留学生の調子次第では、順位が入れ替わることも十分あり得ました。
何といっても圧巻は、ワンブイです。15分19秒は監督も驚く区間新記録でした。
3000mの自己記録は8月10日に出した8.57.56、全国上位には神村学園のシンシア(8.49.72)、世羅のムッソーニ(8.51.77)がいます。しかし彼女は、1年生、まだ未知の力を秘めています。記録はもっと伸びるでしょう。
他には、3年生になったレベッカがいます。自己記録は、8.59.95で5位です。先輩の意地を見せて、最後の都大路を走りたいことでしょう。留学生同士の戦い、どちらが選ばれるか興味あるところです。
また、1年生、森 陽向(もり ひなた)の今後の活躍も期待されます。3000mで9.20.76の記録(全国30位)を持つ萩原 柚乃(はぎわら ゆの)を抑えての区間賞は本当に見事でした。
倉敷高校は、昨年より1分47秒も早いタイムでしたが、優勝はなりませんでした。後述の都道府県ランキングでも、7位に相当する好タイムでした。県の大会で2位が9分台というのは初めてのことだそうです。
興譲館 昨年との比較
次に昨年の各区間と比較し、現在の実力を見てみましょう。
本年1時間8分41秒/昨年1時間10分55秒
1区 森 陽向(1)19:43 ⇔ 酒井 想(3)20:09 -26秒
2区 山下 穂香(3)13:23 ⇔ 落合莉子(2)13:47 -24秒 計-50秒
3区 土屋 舞琴(1)10:03 ⇔ 舛田 華(3)10:21 -18秒 計1分08秒
4区 谷口 萌優(2)10:13 ⇔ 金澤彩希(2)10:23 -10秒 計1分18秒
5区 W・ワンブイ(1)15:19 ⇔ M・レベッカ(2)16:15 -56秒 計2分14秒
全員が、昨年よりも10秒以上タイムを短縮し、最終2分14秒もタイムをアップしました。
今年は、近年にない6人の新入生が入ってきました。そこに競争の原理が働き全体の底上げが一気に進んだということでしょう。
層の厚い、力をつけた往年の興譲館が戻ってきた感じです。
また、監督のオーダーが見事に功を奏しました。倉敷を意識した布陣、各選手の調子とそれぞれの能力を見極め適材適所に配置する、見事でした。
興譲館 県予選総合タイム 近年の比較と全国大会/タイムと順位
次に過去5年間の予選会のタイムと全国大会のタイム・順位をみていきましょう。
2019 第35回 1:08:41
2018 第34回 1:10:55 → 1:08:20 第8位入賞 ムワンギ・レベッカ区間賞
2017 第33回 1:10:47 → 1:08:55 第7位入賞
2016 第32回 1:11:14 → 1:10:01 第16位
2015 第31回 1:08:52 → 1:09:14 第6位入賞
2014 第30回 1:10:19 → 1:10:33 第15位
ここ3年間、全国大会では、予選のタイムを大きく上まわっています。藤井監督は、6分台で走らないと優勝争いには加われないと見込んでいます。
2019年 都道府県ランキング10傑
2019順位 校名(県名) タイム 2018タイム(順位)全国大会タイム・順位
1位 神村学園(鹿児島) 1.06.32 1.08.40( 3位) 1.07.25 優勝
2位 仙台育英(宮 城) 1.07.38 1.08.23( 2位) 1.07.51 3位表彰台
3位 興 譲 館(岡 山) 1.08.41 1.10.55(13位) 1.08.32 8位入賞
4位 諫 早(長 崎) 1.09.05 *
5位 須磨学園(兵 庫) 1.09.16 1.08.04( 1位) 1.08.15 5位入賞
6位 筑紫女学園(福岡) 1.09.35 1.11.08(16位) 1.09.33 15位
7位 成 田(千 葉) 1.10.18 1.10.18(12位) 1.08.34 9位
8位 豊 川(愛 知) 1.10.26 1.09.34( 7位) 1.08.16 6位
9位 世 羅(広 島) 1.10.47 1.09.29( 6位) 1.09.52 17位
10位 常 盤(群 馬) 1.10.52 1.09.16(18位) 1.11.33 13位
11位 大分東名(大 分) 1.11.04 1.08.53( 4位) 1.08.04 4位
14位 立命館宇治(京都) 1.11.18 1.11.36(20位) 1.08.20 7位
この都道府県ランキングは、各予選会でコース形状が異なることから参考でしかありません。
前評判では、タイム1位で最強の留学生シンシアを擁する神村学園、留学生抜きで1時間7分台を出したランキング2位の仙台育英が抜きんでています。
仙台育英は、留学生ムソニを含め、3人が3000mランキング30位以内に名前を連ねています。
また10傑には入っていませんが、立命館宇治も3000mランキング30位に3人が入っている実力校です。昨年は、全国大会では予選大会よりも3分16秒も早いタイムでした。
また、2年ぶり出場の長崎の諫早、そして兵庫の須磨学園、福岡の筑紫女学園も実力のチームで上位入賞を狙います。
興譲館、昨年は、落合莉子が最終5区で感動的な粘りを見せ、成田に打ち勝って入賞をものにしました。この粘りが興譲館の信条ではないかと思います。
留学生を除いて特に早い選手がいない興譲館、優勝は難しいでしょうが、何とか表彰台を目標に頑張ってもらいたいと思います。
大会まで、ケガには十分気を付け、本番でとにかく力を出し切って悔いのない走りをしてもらいたいと思うのが、地元ファンの願いです。