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雲南の病院8

2012-09-01 09:32:47 | Weblog
写真は昆明にあった漢方薬局+診察室の一つ。左から薬房、皮膚科、化(学)検(査)室と並んでいる。このような簡単な場所で輸血や栄養剤の点滴まで行うところも。朝、白衣をたなびかせて煙草を吸う漢方先生方の力の抜け具合はなかなかのものだった(2006年夏撮影。)2010年に昆明を訪れた時も、あらゆる場所で漢方先生の白衣風景は健在だった。

【町医者風】
身近な診療所として親しまれていた町医者風の一間長屋のような漢方薬局も、病院とならぶ重要な医療機関でした。

 昆明の西山地区にはビルの一階を通りに面して小さく区切った漢方薬局がずらりと並ぶ通りがあり、毎朝、薄く汚れた白衣を着た薬剤師先生方が通りでたばこを吸って、さりげなくアピールや呼び込みをしていました。日本では見たことのない光景に、当初、強烈な印象を受けたのですが、次第に当たり前と思うようになっていきました。慣れ、とは恐ろしいものです。人気のある薬局には、お年寄りの患者がずいぶんと通っていましたが、子どもの姿はありませんでした。

その漢方先生は、午前が過ぎると、お昼の時間から夕方までは他の昆明市民と同様、昼寝をしたり、トランプをしたりして過ごします。それも白衣のまま。だから白衣はなんとなく、薄汚れていました。

娘が病気だと、迷わず大病院に駆け込む私ですが、自分が冬に、湿った重い咳が抜けなかったときは、まずは大病院ではなく、近くの漢方薬局に行きました。

敷居をくぐると、すぐに煙草のヤニで黒くなった指をした、ヒゲを生やした老先生が問診。つまり、立ったままカウンターで私の症状を書き取り、私の爪と舌を見た後、五種類ぐらいの漢方系の薬草とグラム数を書いた紙を渡してくれました。

それを持って、同じ敷地内にある細かな薬棚が並んだところに行くと、その通りに処方して渡してくれるのです。

診察代が薬代に含まれているのか、娘の行った病院のように大げさな検査をしないためなのか、ともかく割安な値段でした。

この処方された薬は、ツムラの漢方薬のように粉状で湯に入れて飲むだけのものでしたが、乾燥させた根などをそのまま、ごそっと束にされて厚紙にくるんで、渡されている人もいました。私には扱えそうもありませんが、煎じて飲むと、人によっては、とても効用があるそうです。

また、その場合の水は浄水ではなく、なるべく天然のもの、最低でも水道水がよいとのこと。ミネラル分などの雑味があるほうが体により効くのだそうです。

現在、日本ではツムラのように有効成分を純粋に抽出した漢方薬が主流ですが、水にしろ、煎じ薬にしろ、少し、余分なものが混ざっているほうが、じつはよく効くのだ、という日本の漢方学者の研究書もあります。(大塚敬節『東洋医学とともに』創元社、1960年)  奥が深いです。 (つづく)

*夏休みに、初めてアメリカに行ってきました。日中、40度を軽く超えるロサンゼルスのチャイナタウンにも雑貨店に混じって小さくて倉庫のような漢方薬局は健在。独特の漢方の草いきれのような香りのなかで、常連のおばあさん方は、生薬である木の根などのかさばるものをごそっと黄色い分厚い紙に包んでもらっていました。
 お店をのぞいたら「何がほしいの?」と広東語と中国語で聞かれました。やはり買いにくるのはロサンゼルスでも中国語を操る人たちなのでしょう。
コメント
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