たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

秋野の花を巡りて、くるめる想いに電話する

2017-09-30 14:00:06 | 花とつぶやき

いつもの道、徘徊の道野辺を歩きます。
長月秋霖、秋雨前線、日々に冷気も増す。
秋彼岸過ぎ北の山には降雪のニュース。



秋の道際には夏の名残り花がわびしい。
小花はススキの陰にくるまれて優しい。



NHKBs火野正平の「日本こころ旅」長野県が終了した。
この日、たにしの爺は、記憶がくるむ想いに駆られ、
その人に電話をしました。



呼び出し音が長く鳴っています。
ようやく若い女性の声で応答があり、
名乗った後。◎◎さま居られますか。
ハイ、再び長い待ち受けメロディーが鳴り続ける。



電話に出られない事情があるのだろうかと、
電話をしてしまったことに後悔する。



「あ~、××ちゃん」と元気な声が受話器に響いた。
「あっ、ごめん××ちゃんなんて言ってしまった」
50年を超す歳月を経て聞くその人の声です。



こっちの想いなど関係ない「元気な声でした」
10代のころの声を聞いた記憶があまりない。
「××ちゃんも、元気そうな声ですね」その人は言う。



上京する以前、たにしの爺の出自の屋敷の脇道を、
その人が、赤いスカートをひるがえしながら、
通勤する姿を眩しく見送っていたものです。
今も鮮やかに記憶がよみがえる。
その人はいま、お茶のお師匠をしているという。



あれから50年、その人の茶を点てる姿を見たいと思った。
「記憶にくるまれた想い」をお茶席で共有したい。



秋草の道を歩めば、遠い人の許に近付けるようだ。