環境省は全国各地で1,000 か所程度のサイトを設定し、長期間に渡ってシギチドリの渡来数をモニタリングしています。2004年秋と2019年秋の調査記録から、大阪の干潟に渡来する可能性のあるシギチドリの中から希少種が15年間にどう変遷したか、大阪市内の干潟に渡来してきたアオアシシギの飛び出しと一緒に紹介しましょう。
全国のモニタリングサイトで2004年秋に最も渡来数が少なかったのはコシャクシギ0、次がカラフトアオアシシギ2、三番目がヘラシギ14です。この3種の15年後(2019年秋)の渡来数は、コシャクシギ、ヘラシギが共に0、カラフトアオアシが5。
コシャクシギ、ヘラシギの大阪市内への渡来はもはや絶望的ですが、カラフトアオアシだけがかろうじて増えていて、去年も1羽が大阪市内で観察されています。
2004年秋に渡来数が少なかったのはサルハマシギ14、オオハシシギ18、ツルシギ29の順でした。その15年後の渡来数は、サルハマシギ9、オオハシシギ3、ツルシギ21。
サルハマが減少し、オオハシシギは激減、ツルシギを含めた3種を大阪で観察できる機会は殆ど絶望的な状況です。
2004年秋に全国のモニタリングサイトで渡来数が少なかった次はウズラシギ34、クサシギ59、エリマキシギ78、アカアシシギ85、この4種の15年後渡来数は、ウズラシギ59、クサシギ66、エリマキシギ63、アカアシシギ126です。
エリマキ以外は少し増加傾向にあるようなので、大阪市内でも観察できるチャンスが残っていそうです。
その次はコアオアシシギ91、コオバシギ103とダイシャクシギ103、キリアイ188で、この4種の15年後渡来数は、コアオアシシギ58、コオバシギ43、ダイシャクシギ62、キリアイ29でした。
中でもキリアイは激減していて大阪市内でオオハシシギ、サルハマシギ、ツルシギ、キリアイを観察できるのはかなり難しい状況です。これから15年後(2035年)にはヘラシギ同様に絶望的となっている可能性があります。