結婚式の打ち合わせで行田に行く。車で1時間余り、帰りに渡良瀬、わたしの聖地に向う。関所を越え、川を渡り、草原へ。 十数本の立ち木が風に梢を鳴らしている。見上げれば、梢の彼方 澄んだ青い空には染みひとつ雲ひとつない。寒くて凝っとしていられないので歩きながら歌ってみる。ふかふかした腐葉土のそこここに深緑の葉がまだいじけたように地面にはりついている。
ここは風の果つるところ、音をたてて吹きすさぶ風にカラコロと乾いた音が混じる、ふと見ると 梢にひもで結われたペットボトルがふたつ、風に弄られて幹にぶつかっているのだ。木肌は白くなっている。はずしてあげたかったが手が届かない。風のなかで雪女を語ってみる。雪のしまく音 叩きつける吹雪 小屋のなかに立ちのぼる蒼白の炎 真白な細い指....
切り取られた炉辺 燠が灰のなかで赤く燃えている。それは、わたし....今までに無いアグレシッヴなお雪だった。悲しみより滾る怒りがあった。約束を違えた男への怒り 子どもを棄ていかねばならない悲しみ ついとそれは魔性に変わってゆき歓喜とともに 吹雪とひとつになり 吼え疾駆し 野山を天をかけめぐり 消えてゆくのだった。
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