TBSドラマ「半沢直樹」の記録的な成功以来、池井戸潤はすっかり人気作家になった。
その池井戸潤の代表作が「下町ロケット」である。
2011年にWOWOWでテレビドラマ化された。
主演は三上博史、共演には渡辺篤郎、寺島しのぶ、池内博之、綾野剛など芸達者ばかり。
佐藤次郎(ナカシマ精機)の過剰な演技と水野真紀(元妻)のヘボ演技が鼻につくが、それ以外はとても良質な作品である。
原作は読んでいないが、原作に忠実にドラマ化すれば、こんなかんじになるのだろう。
その「下町ロケット」が阿部寛主演でリメイクされた。
三上博史の「下町ロケット」とは違い、全くリアリティのないふざけた内容だ。
キャスティングも悪い。
第4話はとりわけ不快だった。
それは帝国重工の企業審査担当者・田村(戸次重幸)の態度だ。
まだ取引もしていない相手に対して、すべてタメ口。
「お前、誰に向かって言っているんだ」
「おいお前ら、下請けの立場で何を言っているのか分かっているんだろうな」
一流企業の一流購買担当に、こんな奴はいない。
「半沢直樹」の成功以来、TBSは勧善懲悪の過剰な演出が受けると思い込んでいるらしい。
驚いたことに、視聴率はよいという。
篠原良子主演の「ハケンの品格」には、派遣労働者に対する蔑視的な表現があった。
阿部寛の「下町ロケット」にも、中小企業労働者に対する卑屈な表現が目に付く。
面白ければ何でもOKで、著しく配慮に欠ける。
高視聴率を背景に、当分、不愉快なドラマ作りは続きそうだ。 お気に入り名盤! マイルス・デイヴィス:Round About Midnight
彼らは百戦錬磨の下づかいで下請けを乗せ、いい気持ちで仕事に臨んでもらい、鬼のような値引き要求でクロージングするプロたちですから