徒然なるままに 

BGMはモダンジャズ、暇つぶしの自分史

日本最東端の旅 納沙布岬

2016年07月06日 | 旅行記

根室は、町のいたるところに、「返せ北方領土」の看板が掲げられている。
ロシアに対する怨嗟に近いような感情に満ち溢れており、納沙布岬は北方領土返還運動の聖地みたいな場所である。

根室ゴルフクラブのプレー後、納沙布岬を目指した。
最初に向かったのは納沙布岬灯台である。
霧に加え雨まで降ってきて、かなり寒くなった。
時間は17時を過ぎていたので、周囲に観光客はいなかった。
ここは歯舞群島貝殻島まではわずか3.7kmしか離れておらず、ロシアの巡視艇が海上に頻繁に姿を現すという。
しかし、濃い霧のため、その姿はまったく確認できなかった。
納沙布岬
夕食は日本最東端の食堂、鈴木食堂で取る予定だったが、もう閉まっていた。
営業時間は18時までのはずだが、人がいないので早仕舞いしたらしい。
しかたがないので、望郷の岬公園に向かったが、こちらにも人影はなかった。
どうやら17時ですべてが閉まるらしい。
北方館、望郷の家、望郷の塔、いずれも開館していた。
「四島のかけはし」という大きなモニュメントの下には「祈りの火」と呼ばれる点火灯台がある。
ここの火も、すでに落とされていた。

翌日も朝から雨模様。
東根室駅に立ち寄った後、根室を離れ、阿寒湖を目指す予定だった。
ところが、東根室駅に着いた頃から天気が回復し、日も差してきた。
こうなると、どうしてももう一度、納沙布岬に行ってみたくなった。
「北方領土が見れるかもしれない」、そんな期待を持って車を走らせたが、納沙布岬に近づくにつれ、絶望的な気持ちになった。
市街地は晴れても、ここは相変わらず濃い霧に覆われていた。
望郷の岬公園に着いたのは8時半、朝早い時間にもかかわらず、観光客が来ていた。
四島のかけ橋
しばらくすると、「祈りの火」が点火され、「島を返せ」と書かれた旗も掲揚された。
そんな願いも空しく、島の姿はこの日も見ることができなかった。

4年前の夏、知床を旅したとき、羅臼の国後展望塔に立ち寄った。
塔の中は、ロシアに実行支配されている口惜しさに満ち溢れていたが、濃い霧に覆われ、国後島の姿は全く見ることができなかった。
このあと野付半島に回ると、かすかに国後島の島影が確認できた。
それは、写真にも写らないほどのかすかな島影であった。

文字通り、近くと遠い北方領土である。
見えない島に、「返せ」の声が届くとも思えない。
あらためて、あの戦争でこの国が失ったものの大きさを感じないわけにはいかない。


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