読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

豊国神宝 中路啓太 小説新潮7月号~11月号

2009-10-31 22:08:47 | 読んだ
小説新潮に「集中連載」されていた、豊国神宝が11月号で完結となった。
例によって、連載終了後一気に読んだのである。

作者は中路啓太(なかじけいた)で、多分はじめて読んだ。

物語は、徳川2代将軍・秀忠が隠居して大御所となり、家光に将軍職を譲ったのだが、依然として秀忠も権力を握っている、更に家光の弟である駿河大納言忠長も将軍職を狙っている、という徳川幕府の基盤がまだ磐石でなかった頃を背景としている。

南光坊天海と金地院崇伝が徳川家康の神号をめぐって争い、結局は天海が推す山王一実神道の「権現」が崇伝が推す吉田神道の「明神」に勝ったのであるが、それがこの物語の軸となっている。

何故、天海は徳川幕府で重用されたのか、天海を失脚させることができる「豊国神宝」とは何か?

主人公は、豊臣秀吉の妻・寧々・高台院の甥にあたる木下右近である。
右近は、高貴の生まれながら剣の達人である。その師は宮本武蔵の養父である新免無二斎。

天海は自らが率いる山王御供衆を使って豊国神宝を奪いとろうとしているが、そのことに右近は深くかかわってしまい、豊国神宝の謎を追いつつ、天海と対決することとなる。

後水之尾天皇、八条宮智仁親王(秀吉の猶子で後水之尾天皇の叔父)、天秀尼(秀頼の娘)、徳川秀忠、家光をはじめとして宮本武蔵、柳生宗矩など実在の人物もおおく登場し、それぞれの立場で豊国神宝にかかわってくる。

天海が豊国神宝の謎を明らかにされると失脚するという、物語の核となる部分は、なんというか説得性が低いように思われたが、権力争いの中で木下右近が愛するものたちを守るために戦うという基本線が確立されており、勧善懲悪であることから構図もわかりやすい。

おもしろい物語であった。

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