読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

新・森崎書店の日々 八木沢里志 小学館文庫

2012-02-08 22:22:19 | 読んだ
「森崎書店の日々」の続きである。

森崎書店の日々には、「桃子さんの帰還」が収められていたので、このシリーズとしては3番目の物語である。

主人公の貴子は、森崎書店で叔父サトルと暮らしたことでいわゆる「復活」をした。
また、叔父サトルも妻桃子が帰ってきて、落ち着いた生活をしている。

今回の物語は、これまでのことを振り返りながら、少しづつ前に進む。

貴子は、恋人の和田との仲がなかなか進まないことについて、考えている。
そのことについて、貴子の周りの人たち、特に桃子が適切な助言をする。
それは、貴子自身が自分にブレーキをかけていることではないか、ということ。

淡々とゆっくりと物語が進むのは、貴子の内省が描かれるからだ。

しかし、後半に物語は劇的に大きく動く。

傷つきやすい人たちは、やさしい人たちである。
他人にやさしいのは自分が傷つきたくないからなのだろうか。

この物語に登場する人たちに悪人はいない。
悪人はいないが、人は傷つく。

また、物語のなかで、近代文学について語られるのもいい。
私は、あまり近代文学を読まないので「そうそう」と思うことができないが、興味が湧く。

ラストは新幹線の中で読んでいたのだが、涙があふれてきて困ってしまった。

ところで「森崎書店の日々」は映画化されているが、DVDはでていない。何とかDVD化してほしいものだ。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする