読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

マグレと紅白歌合戦<間暮警部の事件簿> 鯨統一郎 小学館文庫

2009-01-20 22:38:12 | 読んだ
「見立て殺人」のマグレ警部シリーズ第3弾である。

第1弾は「神田川」見立て殺人で、9編。いずれも70年代のヒット曲を題材としている。

第2弾は「マグレと都市伝説」。メドレー見立て殺人事件で、これは都市伝説と歌謡曲との合体であった。

(いずれもクリックすると私の感想が書いてあるページにとびます。)

で、このシリーズの面白さは、なんといっても「歌謡曲」への思いである。
イロイロな事件が起きるが、その謎解きなんかどうでもいいのである。
それよりも、登場するというか使用されているというか、その歌に対する著者の思いが私の胸を打つのである。

著者「鯨統一郎」は覆面作家ということであるが、年齢は絶対私と近いと思う。つまり今流行のコトバを使えば「アラファイブ」である。
それは「歌」が示している。

さて、今回の物語は不可思議な殺人事件が続くのである。
そして、その殺人事件はある機関(もしくは組織或いはシンジケート、ってどうでもいいんですけど)がある謀略を達成するために行っているものである。

その機関のその謀略をとめるべく間暮警部が立ち上がるのである。

で、その機関と警察組織で「紅白歌合戦」をするのだ。
もうこのあたりからドタバタですわ。

で、紅白歌合戦をした負けたほうが勝ったほうのいうことをきく、みたいな・・・

いやはやなんとも・・・・

で、その紅白歌合戦であるが、警察側は間暮警部が23曲を歌う。対する悪の組織はいったい誰が・・・これはちょいとびっくりしてしまう人です・・・

いわゆる昭和の歌謡曲が23曲×2=46曲、披露される。

そして、今までの殺人事件は全てこの歌で解き明かされる。
それはそれはとても素晴らしい「コジツケ」なのであるが・・・

この物語はその殺人事件が解決されたからめでたしめでたしではなく、また殺人事件や悪の組織の謀略がテーマもない。

ただひたすらに昭和の歌謡曲なのである。
それは、今の紅白歌合戦のあり方に疑問を投げかけているようで、或いは紅白歌合戦のパロディで笑わせてくれるようでいてい、実は、現代日本への強烈な皮肉あるいは疑問の投げかけみたいな、そんな思いにまでさせる(つまり深読みしたくなる)ような「ばかばかしさ」なのである。

深読みして深読みして更に深読みすると、ただ単に著者は自分の歌謡曲に対する思いを殺人事件とかを小道具として紅白歌合戦を舞台に述べただけに過ぎないのではないか、と思うようになった。

面白ければいいじゃない!
そこにメッセージも隠された思いも込められていなくたって・・・ただ、何かをメッセージとして受け止めたというなら、それはかまわないけど。

みたいなものを感じてしまったのである。
表層的に読んで「ああバカバカしかった」という感想が、もしかしたらいちばんなのかもしれない。

物語の終わり方をみると、このシリーズはこの後ないのかもしれない、残念である。

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