読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

杵蔵の涙-あくじゃれ瓢六- 諸田玲子 オール読物2月号

2009-01-26 23:09:21 | 読んだ
近頃はワタクシ的なイベントが続いていて、本を読む、ということがなかなかできない状態であった。

新しいものや長いものを読むということが手につかないので、週刊誌とか漫画本とかで代用をしていたのである。

ということで、本日やっと今月発売の「オール読物」と「小説新潮」を購入したのである。

オール読物に間隔をあけて連載されていた「あくじゃれ瓢六」シリーズが2月号でとりあえず完結をした。

短篇連作という形であるので、その都度その物語を読んでも一応は「わかる」格好になっているが、やっぱり連作ということで大きな流れがわかっていたほうが、なお一層の面白さがある。

今回の連作は主人公「瓢六」が何かと頼りにしてきた居酒屋「きねへい」の親父:杵蔵が人殺しの罪でとらわれたことが発端である。
杵蔵は「はめられた」のであるが、誰にはめられたのか、心当たりはない。

杵蔵の過去は暗く厳しいものがあったらしいというのはわかるが、それがどのようにこの事件に絡んでいるのか、皆目検討がつかない瓢六は、杵蔵と同じ牢にはいり、捜査を開始するのである。

今回の物語は、杵蔵の暗い過去が要因で、やっと謎を解いたとおもったら、悲惨な或いはそれが最善でなのか、そういう結末が待っていた。

人の心のあり方の複雑なこと、或いはちょっとした行き違いが増幅されて行き違いだけですまないことになったりする。
どこかで、許すとか詫びるとかしたらよかったのにとか、自分の心をまっすぐ人に伝えられないもどかしさとか、そういうものが感じられた物語であった。

何年かして文庫本で一気に通して読んでみると、この感想がどう変わるのか或いは変わらないのか楽しみである。

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