読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

大研究 昭和の陸軍 なぜ国家を破滅させたのか -文藝春秋6月号-

2007-05-10 22:09:24 | 読んだ
文藝春秋6月号の目玉である。
サブタイトルの「何故国家を破滅させたのか」は表紙に書いてあるもので、本文には「日本型組織の失敗」
とある。

半藤一利、保坂正康、福田和也、戸部良一、黒野耐の5人が座談会をして論じている、という形である。

大きく7つに分けてある。
1 派閥抗争が改革をつぶした 宇垣一成と荒木貞夫
2 エリート教育システムの欠陥 東条英機と永田鉄山
3 天才戦略家の光と影 石原莞爾と武藤章
4 良識派は出世できない 栗林忠道、今村均、本間雅晴
5 暴走する参謀コンビの無責任 服部卓四郎と辻政信
6 凡庸なリーダーと下克上の論理 杉山元と瀬島龍三
7 「空気」に支配された集団 阿南惟幾と梅津美治朗
となっている。

面白くて一気に読んでしまった。

そして思ったのである。
「陸軍の悪い部分について反省しそれを教訓にしてはいないではないか」
今もって、日本の多くの組織には、1から7の弊害がはびこっているではないか。

ということは、この7つのことは日本人の体質、DNAなのではないのか。

島国で長い間鎖国をしてきた弊害が表れているような気がするのである。
ひとつには、大きな評価ができないこと。
評価ができないということは、評価する側と評価を受ける側の双方に「平等」とか「公平」という観念がないからだと思う。

人と人とのつながりを大事にする、あるいは義理と人情に生きる、といえば聞こえはいいが、実は自分の考えというか根本とか幹がないので、大きなものにすがってしまうだけなのではないのか、なんて思ったりもするのである。

「組織」が良識と組織以外のことに目を向けて健全な活動を行い続ける、ということは難しいんだろう。

トップに良識がある者がいて、リーダーシップを限りなく発揮しても、次の世代には引き継がれないし、健全な組織を作り上げると組織内の権力争い(派閥抗争)がおきるし・・・

つまりは、健全な組織とか良識がある組織というのは、見果てぬ夢、なのかもしれないなあ、と思うのである。

ともかく、この文藝春秋6月号の特集は久々に読み応えがあったのである。

追伸
 なぜか「ハンカチ王子両親手記」というのも、今月号の「ウリ」である。
 せっかくの目玉記事が、ハンカチ王子と一緒なのである。
 これは文藝春秋の懐の深さなのか、無節操なのか、悩むところである。

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コメント
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