読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

謀将 石川数正 南原幹夫 新潮文庫

2006-07-18 21:28:22 | 読んだ
南原幹夫の小説ってずいぶん読んでいると思っていたら、これがはじめて買った本であった。
たぶん、南條範夫と間違っていたんだろう。

この本は「謀将シリーズ」の完結編らしい。
「名将 大谷刑部」「信長を撃(はじ)いた男」と続いて本書らしい。

さて、なぜ私がこの本を読もうという気になったかというと「石川数正」に興味があったのである。

山岡壮八の「徳川家康」全26巻を高校時代に2回読んで、その後文庫本を購入して2回くらい読んだ。
その、徳川家康の物語のいわゆる中盤の大盛り上がりの部分は、石川数正の徳川家出奔、豊臣秀吉の家臣になる、というところなのである。

ところが、盛り上げるだけ盛り上げておいて、その後石川数正はあまり登場しなくなる。
で、その後石川数正はどうなったのであろうか、というのは長い間の疑問だったのである。

そこへこの本である。何で買わずに、あるいは読まずにいられようか!

ところで、ちなみに・・・山岡壮八の徳川家康は、家康が主人公ではあるが、中盤以降、家康以外の人たちが話しの中心になったりする。
たとえば、本書の石川数正、それから本田作左衛門重次、大久保長安、片桐且元など、割と有名ではなかった人たちを描いて、そこから家康を描いている。(ぜひ、この26巻を読んでいただきたい)

というわけで、石川数正は徳川家を出奔しライバルである豊臣秀吉の家臣となり信州松本10万石の大名となる。
そして・・・・おっとこれはいってはならぬこと。

それから、石川数正が亡くなってその長男の康長の時代も描いてある。
なので、数奇な運命をたどった徳川の譜代「石川家」についても知ることができ、石川数正が描き謀略を重ねて築いた天下がどうなったのか、そして天下を築くのに努めたその子孫はどうなったのかもわかり、フームとうなることができるのである。

ちょっとマニアックな石川数正を本書を通じて知ると、もっと大きな歴史の中ではどう描かれているのかを知りたくなるのではないだろうか。今まで描かれたことのなかった人ではあるが、物語の主人公たる人であることがわかった。

南條範夫を間違わずに南原幹夫を注目していこうと思う。
コメント
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