読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

小説十八史略(1) 陳舜臣 講談社文庫

2006-07-10 22:10:32 | 読んだ
もう何度読み返しただろう。
そして読み返すごとに深みにはまっていくようである。

今回はなんだか物憂げな気持ちと「ゼヒ読みたい!」という本がなかったことから、なんとなく手にとってしまった。

この物語は中国の十八の正史をまとめた「十八史略」というものを土台として書かれてある。
本来この十八史には入っていない「神話」時代から始まり、中国の歴史、といったって堅苦しい話ではなくて「小説」と名をうっているように、面白い興味深い話が書かれている。

第1巻は、いわゆる神話の時代を軽く紹介をして「殷」から始まり、「周」から春秋時代・戦国時代、そして秦の始皇帝の中国統一までが描かれている。

私は、このあたりの物語が好きである。
人間が己の欲望のためになりふり構わず行動をとる一方、孔子など儒学が起こり、人間の欲望を抑制しようとする人たちが出てくる。
そして、この時代の人間も現代の人間もそんなに変わらないことに気づく。
人間は何が進歩してきたのだろうか?

紀元前から「平和」を求めてきたのに「平和」はいつくるのだろうか。
そして「平和な世の中」というのは住みよい、暮らしやすいものなのだろうか。

また「人間は死ぬ」ということも変わっていない。
いかに死ぬかということはいかに生きるかということであり、そういうことでは、はるか古代の中国の人たちのほうが今よりも覚悟よく生きていたのではないか。

いかに生きるか、ということを人は知るために歴史を学び、哲学に遊ぶ。
ただひたすら医学に頼るのではないのである。

中国の歴史を読むと、いろいろな語の源がわかる。
それもまた楽しい。
ゆっくりと2巻以降も楽しもうと思うのである。

コメント (2)
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