読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

京都半木(なからぎ)の道 桜雲(おううん)の殺意 高梨耕一郎 講談社文庫

2006-05-23 23:17:28 | 読んだ
「神尾一馬の事件簿」である。第5弾である。
神尾一馬は、旅行雑誌の取材「染井吉野以外の京都の桜」と作家大生田郷士の追加取材を目的に京都へ行く。

京都は「風の葬祭」事件以来である。
京都にはおなじみのおばんざいの店「華乃家」、一馬の姪(姉の子)千秋、そして「入谷・鬼子母神殺人旅情」の主人公でもあった亜細亜日報社会部の勝田記者がいる。
そして殺人事件。

殺人事件は大学の助手をしている千秋の教授をまきこむので、一馬・千秋・勝田は事件にいやおうなしに巻き込まれる。
事件と並行して、一馬の「京都の桜」取材も行われる。
殺人事件は、そのうちのひとつ「半木の道」で行われているのである。

この物語は、1年前の殺人事件の犯人と、今回の殺人事件、それと輻輳する人物関係が絡んでいる。
犯人については、最初のほうからなんとなくわかってしまった。
この辺は、作者のサービスなのかもしれないが、なんとなく感じるのである。

ただし、動機と関係性がわからない。
なので、そのあたりから読み進むのが早くなる。
「誰なんだろう?」
より
「何故なんだろう?」
である。

推理小説というのは「犯人」(誰なんだろう?)、「動機」(何故なんだろう?)と「方法」(どうやったんだろう?)が謎解きの部分である。
今回は人物関係のアヤが動機と絡んでいる。

一馬の失恋は失恋といえるのだろうか、と思えるほどではあるが、イマドキでなくてほほえましい。
コメント
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