昨年の8月に蘇らせた6AS7Gを使ったプッシュプル真空管アンプですが、他のアンプと聴き比べてみると、どうも低域が浮わついている。
低音は出ているのですが、フワフワとしていて、なんか地に着いてなく、バスドラも弾ける感じに聴こえます。
これは、もしや?、スタッガ比の問題?と思い、このアンプの回路図と教科書「はじめての真空管アンプ―回路図の読み方がわかるクラフトオーディオ入門 300Bシングル&6CA7プッシュプルアンプ完全製作」を読み比べてみました。
その結果、やはり今の状態はスタガリングが、宜しくなさそうです。
そこで、1段目のカップリング・コンデンサと2段目のカップリング・コンデンサの容量値を変更してみました。
変更前は、1段目、2段目(出力管用)とも0.22uFが使ってありました。
これを、1段目を0.47uF、2段目を0.1uFに変更しました。
この様にすることにより、1段目の時定数を無視でき、見かけ上、2段の時定数を持つ回路に出来るそうだ。
3段の時定数を持つ(3段アンプ構成)の負帰還回路は低域が不安定になり易いため、1段目の時定数を極端に大きくして見かけ上、2段の時定数を持つ回路構成に持ち込み、低域の安定化を図るそうです。
1段目の時定数を大きくすることで、この部分の時定数は無視できる様になるそうです。
変更後の回路図がこちらです。
カップリングコンデンサは、0.47uFには「Clarity Cap」を、0.22uFには「Odio Cap」を使いました。いずれも手持ち品です。
参考までに電源部分の回路図です。
電圧増幅段と出力B電源は、ダイオード・ブリッジ部分から左右chで独立させています。
要するに、ブリッジ回路が5回路載っています。
このお陰で左右のセパレーションも良好です。
改造後の内部写真がこちらです。金色に光っているのがOdio Cap、銀色に光っているのがClarity Capです。
交換後は、予測どおり、低音が安定し、どっしりと地に着きました。きちんと中央に定位しています。
8Ω抵抗負荷でざっと特性を見てみましたが、周波数特性は、10Hz~100KHzあたりまでフラットです。
矩形波応答でも低域~高域まで問題ありません。リンギングも僅かです。
聴感上は、本当に美音です。清々しい透き通った音がします。低域も豊かで分解能も良いです。
トランジェントも良くて、気持ちが良いです。スカッとします。
嫌な音が無く、長時間聴いていても疲れないので、歪も少ないのでしょう。
ずっと聴いていたくなります。
このアンプは、6C33CやKT-88に比べると、熱量が少ないので、これからの時期に向いています。
ちなみに、出力管の6AS7Gには、「RCA製」を使用しています。ロシア製6H13Cも持ってますが、何か音が違います。