My Audio Life (趣味のオーディオ)

真空管オーディオを中心に、私のオーディオチューンアップについて書いています。最近はPCオーディオにも取り組んでいます。

カセットデッキのバイアス・トラップ回路定数変更。

2023-02-23 14:09:28 | カセットデッキ

他にも音質改善に繋がる箇所があるのではと思い、少し弄ってみた。

ひとつは回路部品、もうひとつはヘッドの再研磨。後者は次回に投稿。

 

ティアックのカセットデッキ V-5010のBIAS TRAP回路を見直し。

この回路は、テープに録音する時に重畳させた高周波バイアスを再生時にトラップする目的のものです。

一般的なバイアス用発振周波数は、80kHz~100kHz、HX Pro搭載器で150kHz位だったかな?(←記憶が曖昧)

この機種の場合はHX Pro搭載なので、サービスマニュアルによると「150kHz」です。

そのため、カットオフ周波数は他社品(ソニー)と比べると少し高めに設定されています。

そこで、少し下げてソニー品に近づける様に定数変更。

(ソニー製品の場合)

TEAC V-5010では、L(L101に該当)=27mH、C(C108に該当)=39pFになっていましたが、部品箱にシルバーマイカ 75pFが見つかりましたので、Cだけをこれに変更する事にしました。

オリジナルは、円板セラミックコンデンサの39pF。←これでは歪っぽい音です。

インダクタ(コイル)での音質影響も気になりますが、これを取り除くにはGIC回路を使わなくてはなりません。

一時期ソニーがGIC回路を積極的に取り入れていた様ですが、片ch当たりオペアンプが2回路必要且つ複雑になります。ソニーでも後期モデルではLCフィルタに戻してる様です。コストの関係?

(SONY TC-K555ESG 回路)

 

ここでちょっとヘッドアンプの回路についても、調べてみました。

各社色々と違いがある様ですが、1980年代はDCアンプ構成が主流。

当V-5010のアンプ構成は、ソニー TC-K555ESGやK555ESA、TC-K666ESによく似ています。

当時、他社の製品を分解、回路解析、研究したのでしょうね。

TC-K55ESGはバイアストラップ回路がGICですが、ここをLC型にした感じ。

 

この状態で聴いてみると、今までよりも歪っぽさが後退したように思います。

バイアストラップのコンデンサをセラミック・コンデンサからディップ・マイカ・コンデンサに変更した効果と思います。

 

 

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カセットデッキ(TEAC V-5010)の再レストア。~ 回路系 ~

2023-02-17 13:18:18 | カセットデッキ

メカ系の再修理が完了したので、今度は回路系を弄ります。

2年位前に、一度ヘッドアンプ、EQ回路周りや部品の換装を実施していますが、再度同箇所を弄ります。

 

<差動回路用定電流回路>

ヘッドアンプの差動回路用定電流回路を弄ります。

今までは定電流回路用FETにSONY製2SK43を使っていたのですが、これを取り外して真空管プリアンプの差動回路定電流用に使ってしまったので、代わりに東芝製2SK170BLを調達しました。

因みに、2SK170には中華製の偽物も存在するらしいので注意。今回調達品は本物。

ゲート、ソース間の抵抗で電流調整しました。82.5Ωで良い感じになりました。

差動回路用FETは2SK389が使われていますが、ロードラインを引いてみると丁度良さそう。

 

回路図では、こんな感じです。

 

<オペアンプ>

次に、その後段のオペアンプIC。

さきほどの差動出力をダイレクトに受けています。

ここに使うオペアンプでかなり音質が変わります。

結論から言うと、さすがOPA627BPがずば抜けて良かったです。

手持ちのオペアンプを交換して出音を確認。

ここは元々2回路入りオペアンプを使う様になっていますが、1回路入りも自作の2回路化基板に挿して使ってみました。

試したのは以下。

 ・1回路入り:LT1028、LME49710HA、OPA604AP、OPA637BP、OPA627BP

 ・2回路入り:NE5532P、MUSES8920、LM4562NA、AD827

オーディオ用として、どれも良く知られたオペアンプですので、説明は省きます。

それに私自身も今まで散々比較試聴していますので、大体の傾向は掴めています。

注意が必要なのは、高性能オペアンプは使い方により高周波で発振するという事です。

実際にオシロで出力波形を確認した所、案の定、LT1028では1MHz付近で凄い発振が見られました。これでは使い物になりません。出力にゾベル回路でもつければ良いかも知れませんが、そこまでして使うほどの魅力もありません。

LME49710も少し発振気味。他のオペアンプでも発振はしなくても、ノイズレベルに差があります。

ノイズレベルが最も少なかったのは「OPA627BP」でした。音質もワンランク上です。流石です。

しかし実は、今回使ったOPA627BPはおそらく中華製です。本物のマスクをコピーして作ったのではとの噂があります。

US製は、CDプレーヤーのIV変換回路に使用しています。10年位前にUSのRS componentsから購入した物なので、正規品で間違いないと思います。

このOPA627BPは、今やとんでもない価格ですね。ビックリします。中華製でも高い。

本物と中華製は外観で分かりますが、中華製でも充分良い音がします。

「OPA627BP」はオーディオ用として最高峰のオペアンプですね。これ以上のものを知りません。

 

<再生ヘッドからのシールドケーブル>

この製品には、PCOCC巻線コバルトアモルファス14層ラミネート・ヘッドが使われています。

このヘッドからのシールド線の先端に「ベルデン(Belden)のヴィンテージ線 導体Φ0.3mm径 1950年代」を1cmほど付けて、コネクタを使わず基板端子に直接半田付け。

ここの信号は微小なので、ちょっとした事でも音質に影響があります。

レコードプレーヤーのシェルリードに似た感覚です。

おまじないとして、一応銅箔を巻いておきました。

 

これで、再生音質的にはナカミチのエントリー・クラス(48x、58x)よりも優っているのではと思います。

過去にナカミチも使っていたのですが、音質的には柔らかいイメージでした。

私は、30年以上前に録り溜めた音源を聴くのが主目的なので、再生だけできればOKです。

1980年代の録音はNakamichiのデッキ、1990年代はこのTEACのデッキです。

おそらく、この先録音することは無いでしょう。

録り溜めたテープは結構な本数が有ります。

NHKスタジオでのライブ生配信を録音したもの、ピットインでのライブ音源、中野サンプラザでのライブ音源、ライブ・アンダー・スカイ音源など、どれもFM放送を録音したものです。市販されていない貴重な音源です。

 

いろんなテープを聴いていて気が付いたのですが、このTEAC V-5010で録音した物は音質が良いです。

デッキ自体の性能が良いのか、「Dolby HX Pro」が搭載されているからか、テープが良いのか分かりませんが、とにかく音が良いです。

 

 

 

こうやって、デジタルの音やレコードの音に飽きたら、カセットテープの音を聴くのも良いですね。違った感覚で聴く事が出来ます。懐かしくも有り新鮮でも有ります。

今、巷でも一部のマニアの間でカセットテープが人気の様で、先日TVで放送してましたが、関東地方にはカセットテープの専門店もある様ですね。

近所の中古店でも見かけましたが、2年位前よりも値段が高くなっていました。

 

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カセットデッキ(TEAC V-5010)の再レストア。~ メカ系 ~

2023-02-11 15:30:44 | カセットデッキ

ティアックのカセットデッキ V-5010は、6年くらい前に修理した後、一応動作して音が出る様になっていたのですが、残念ながら完璧ではなかった。

メカが時々不可解な動作をする事があったり、音質に関しても更に改善できるのではと思い、再度修理する事にしました。

過去の修理歴は、画面左サイドの「カテゴリー/カセットデッキ」タブより。

 

記事が長くなるので、メカ系と回路系(音質改良)に分けて投稿します。

今回はメカ系について

時々動作不具合と言うのは、再生スタート時に、「ヘッドベースが完全に上がり切らずに、途中で止まる事があり、テープがぞろぞろと送り出される」といった症状でした。巻き取っていないのですね。

そこで、再度メカを取り出しました。

結果から言えば、ヘッドベースが途中で止まる原因は、右側にあるカムで動作するスイッチ3個(写真の①)の接点不良でした。

キムワイプにエタノールを浸み込ませスイッチに挟み清掃しました。やはり接点が黒く汚れていました。

これで動作不具合が解消しました。下の写真はスイッチをシャーシから取り外しています。

因みに、反対側のテープポジション検出用スイッチはケースに入っているので大丈夫の様でした。

 

この際と思い、他の部分もメンテナンスしました。

以下、写真内の番号と項目番号は合わせてます。

①は先ほどのヘッドベースの状態検出スイッチの箇所です。

 

②ヘッドベースのグリスアップ

 ヘッドベースとメカベースの間のグリスアップを行いました。

 古い黒くなったグリスを除去して、新しいグリスを塗布。

 動作がスムーズになり、機械的な動作音も小さくなりました。気持ち良い動作。

 グリスは、タミヤの「Fグリス(フッ素樹脂配合)」を使いました。

 

③キャプスタンの研磨

 元々は、スリップ防止目的で数ミクロンオーダーのエッチング処理が施して有る様ですが、テープ裏面の磁性体にダメージを与えそうなので、紙やすり#2000で研磨後、研磨フィルム#6000で鏡面仕上げ。

 

④ピンチローラーの研磨

 ここも紙やすり#2000で研磨してゴム質を復元しました。

 

⑤ヘッドの研磨

 音質向上には、ここが一番効果がありました。

 研磨フィルム#6000で研磨後、同#10000で鏡面仕上げ。

 平面を出す必要があるので、板状の消しゴムに研磨フィルム(ピンク)を巻き付けて磨きました。

 MONOの消しゴムでも良いと思います。

 こんなに音質が変化するとは驚きでした!。

 アルコールで拭くだけでは、経年でこびり付いた汚れは取れないですね。

 テープとヘッドは密着させる事が重要!!!。接触面が荒れていてはダメですね。

 鏡面仕上げで、こんなに綺麗になりました。光沢があります。

 

ヤスリ関係はこちら。

 

 

再組み上げ。

カセットホルダーの右側のスプリングは、無くしてしまったので、クリップで手作りしました(銀色)。

なんとか上手く出来ました。これでイジェクト時にホルダーが気持ち良く開く様になりました。

 

これでメカ系はほぼ完璧と思うので、次は回路系です。

次回投稿まで暫くお待ちください。

 

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