My Audio Life (趣味のオーディオ)

真空管オーディオを中心に、私のオーディオチューンアップについて書いています。最近はPCオーディオにも取り組んでいます。

5998 PP アンプの更なる改良(その4)~NFB(負帰還)の調整~

2020-01-26 13:04:34 | 真空管アンプ

新調した出力トランス(OPT)の2次側(SP出力側)には、4Ω/8Ω/16Ωの端子が有ります。

使っているスピーカーは8Ω仕様なので、SP出力には8Ω端子を接続しました。

しかし、問題は負帰還(NFB)用としては、どの端子を使うかです。

8Ωか16Ωなのか迷いましたが、本には「一般的には16Ωが良いが、必ずしもそうではない。」と書いてある。

これは試して見るしかないと、8Ωと16Ωで比較しましたが、自分の耳を頼るなら、16Ωのほうが音が歪が少なく綺麗で良さそう。

と言う事で、NFBは16Ω側に接続。青リード線がNFB用です。

この状態でNFB量を再調整しました。

NFBを多くすると締った緊張気味な音になりますし、逆にNFBを少なくすると緩み開放的な音になります。

色々と試した結果、私好みのベストなNFBは実測で7dB程度に落ち着きました。

NFBを調整すると、ダンピング・ファクター(DF)も変化します。ON/OFF法の実測で5.5dBになりました。

 

NFB量は、接続するスピーカー毎で調整するのが良いと思います。

能率の良いスピーカー、わりと軽く動く(過渡特性=トランジェント、レスポンスの良い)コーンなどは、あまり制動を効かせない方が良く、DFが小さくした方が良さそう。逆に近年の能率の悪いスピーカーは、NFBを多く掛けて制動を効かせた方が良さそう。ここも自作だと調整が出来て良い所です。

一般的に真空管アンプはDFが大きくないので昔の高能率スピーカーに合い、トラアンプはDFが大きいので近年のスピーカーに合いそうです。

 

NFB調整後、念のため各段の位相遅延も確認ましたが、発振に至る様な大きな進みや遅れも無く、また周波数特性も確認しましたが、局所的に持ち上がる様な周波数帯も無く問題は無かった。

 

さらに続きます。 さて次は、いよいよ決めの一手です。

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5998 PP アンプの更なる改良(その3)~PK反転回路電源の強化と電圧変更~

2020-01-24 11:54:20 | 真空管アンプ

さらに良くしようと、PK位相反転段の供給電源強化と電圧設定を変更しました。

 

①PK分割回路の電源に、CRデカップリング・フィルタを追加。

 目的は、

  ・PK分割段の電源電圧を下げるため。

  ・初段(入力段)とPK段の供給電源がお互い影響を受けない様にするため。

 です。

 これはプリアンプでも実施し、効果は実証済です。

(回路図)

かなり贅沢な回路になりました。自作ならではの拘りです。

 

②同時にPK分割段の電圧設定を見直し。

 本を参考にすると、ロードラインはもう少し寝かした方が良いらしい。

 変更後のロードラインは、この様になりました。

初段は何も変わりませんが、PK分割段の電圧が下がり動作点も少し左に移動しています。 

 

変更後の音は、確かに今までより落ち着いた音で、細かい音まで聴こえる様になりました。音数アップ。 

 

さらに続きます。次はNFBの調整です。

 

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5998 PP アンプの更なる改良(その2)~初段管の変更~

2020-01-23 11:57:10 | 真空管アンプ

出力トランス(OPT)の変更で、このアンプの粗が見えてきた様です。

音が荒っぽく、ボーカル物を聴くと、どれもハスキー・ボイスになってしまいました。

要因を考えていたところ、思いつく事がありました。

それは、オープン・ループ・ゲインです。

この回路は、元々6AS7G用であり、その出力管を5998に変更したのですが、そもそもこの2つの球は増幅率μ(ミュー)が違うのです。

μ: RCA 6AS7G ---「2」 、 Tungsol 5998---「5.5」   で、倍以上の差が有ります。

そのため、オープン・ループ・ゲイン(無帰還の裸増幅率)が大きくなり過ぎていたのです。

実際に裸増幅率(Non NFB)を測定してみると、

 6AS7Gの時、160倍

 5998に変更後、580倍

となっていました。

これは大き過ぎますし、ここまでの増幅率は必要ありません。

しかもクローズド・ループでは、20dB近くの負帰還が掛かった状態でした。

そこで、初段管をμの低い物の交換する事を考えました。

今の12AX7(ECC83)がμ=100なので、これを12AU7(ECC82) μ=20に変更してみる事にしました。

それに私の経験上、12AX7は少し硬い音、12AU7は柔らかい音の印象を持っています。

この球は、初段と次段直結のPK分割に使っており、12AU7に置き換えるには、電圧・電流設定のやり直しです。

ロード・ラインを引きながら設定しました。ここで先日紹介した本「真空管アンプの素」が役立ちました。

参考までに、出来上がった設定でのロードラインです。

※このロードライン設定は後に再調整しております。

 

変更後の裸ゲインは「100倍」になりました。まあ、こんなもんでしょう。

ここからざっとNFBを「8dB位」かけて、クローズ・ゲインは「40倍」に調整

矩形波確認においても、12AX7の時に少し見られた立上がりのリンギングが無くなりました。

12AX7の時(10KHz、LR ch SP端子、8Ωダミー)

12AU7に変更後(10KHz、上は入力波形、下はSP端子 8Ωダミー)

実際の音を聴いてみても、良い感じになりました。私の耳も満更でも有りません。

 

この時ついでに、各段の増幅率と波形確認、出力段のドライブ能力に余裕があるかも確認しましたが、大きな問題は無さそうです。

 

しかし、さらに音質を良くするため、更に追い込みました。

次のステップへ。まだまだ続きます。

次はPK段の電源電圧波形確認で少し気になった所が有ったので改善しています。

 

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5998 PP アンプの更なる改良(その1)~出力トランス(OPT)の変更~

2020-01-21 14:46:45 | 真空管アンプ

年初の「今年の計画」で予告した様に、5998 PP アンプの改良がほぼ完了しましたので、その経緯や顛末について書きます。内容が多く、また出来るだけ詳しく書き残したいので、何回かに分けて投稿します。

 

まずは、出力トランス(OPT)の交換について。

このアンプのオリジナル仕様は6AS7G パラレル・プッシュプル(球4本)でした。その後単純なプッシュプル(球2本)に改造、さらに出力管をTung sol 5998に変更したのですが、出力トランスはそのまま使用していました。

真空管アンプを設計される方には、「そんなの負荷インピーダンスが合わなくなるだろ!」と笑われてしまいます。

どの様な状況だったかと言うと、実測から求めた1次側インピーダンスでロード・ラインを引くと、直線がかなり立ち、僅かな信号振幅でも球の許容プレート損失13Wを超えてしまっていました。

しかし、この状態で出力を上げてもプレートが赤熱することは無かったので、「まぁ良いか」と取り敢えずバイアス電流控え目で動作させていました。それでも、やはり気になります。

そこで、しばらく適当な出力トランスを物色していました。

条件としては、

 ①外形---今のトランス・ケースに収まる事。

     若しくはケース付きの場合は縦横高さがシャーシにシックリと収まる事。

 ②1次側インピーダンス---3.5kΩくらい。

    出力管のrp(内部抵抗)の2~3倍が良いと本で学んだ。

    5998のデータシート上で、今の設定Eb=200V,Eg=-33Vからrpは750Ω位と読み取れる。

              この約2倍 x Pushpullで3.5kΩ位が適当か。

    

    これでロードラインを引いてみると、全領域でPmax=13Wに収まります。 

 ③出力---20~30W位の対応品。許容電流も確認。  

 ④オリエント・コア---音が良いと言われている。

です。

LUXMANのOY15-3.6が良さそうだが、巻線が切れやすいとの評判と中古値段が高い。

そうこうしていた所、偶々オクで良さそうなのを見つけました。ネット上でもこのトランスは評判良さそう。

落札購入した出力トランスがこちらです。

<仕様>

TSM Products製

真空管アンプの趣味が高じてトランス造りをする様になったとの事。

OY15を何台も分解し利点、欠点を研究されたそうです。手巻きで造りも丁寧です。

一次側 3.5kΩ pushpull  2次側 4/8/16Ω 1次側最大電流 150mA 25W(30Hz)

このOPTは2A3用を想定して製作された様です。

2A3の内部抵抗は約800Ωなので、今回の想定とほぼ同じ。

このOPTを使った時のロードラインは、この様になりました。

これで通常聴く音量ではA級動作が出来そうです。

このトランスをアンプに載せました。

今までとは取り付け穴位置が違うので、私の苦手な穴の加工が必要になりました。

シャーシが固いのか、なかなか穴が空きません(-_-;)。ドリルのビットを新調しました。

なんとか載せて、配線をしました。2次側は8Ωへ配線。

配線材は取り敢えずダイエイ電線を使用。後にWE線に交換するかも知れません。

トランス・カバーも取り付け。ピッタリ収まりました。

 

さて、まずはダミーロード(8Ω)で波形を確認します。

電源を入れて暫くすると、無信号なのにオシロの波形が振り切れます!!。あれっ、やばー!! 

そうです、1次側P1-P2の接続が逆だった様で正帰還が掛かり、発振してしまったのです(汗;)。

慌てて電源を切り。1次側の接続を変更しました。

気を取り直し、再び電源投入。今度は良さそうです。波形も問題無し。

Pushpullでは良くある事だそうです。

 

スピーカーを繋ぎ、音を聴いてみます。

フラットで低域も良く出ます。低音は締っていて全体的に力強いです。

但し、何だか金属質の音がします。これは使い始めは仕方ないです。暫くエージングが必要です。

 

しかし、色々なジャンルの音楽を聴き込んでも、どうしても高域が耳障りです。

特にボーカル物を聴くと、何を聴いても、ハスキー・ボイスに聴こえ、目の前の近くに口が迫って来て噛みつかれそうな感じです(笑)。これではいけません。疲れてしまい長く聴いて居れません。

 

ということで、次のステップへ。

 

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真空管アンプ設計の本

2020-01-18 11:20:49 | オーディオ

これまでの色々な改造を通して、自分自身の知識もある程度はレベル・アップして来ていると思っていますが、いくら元エレクトロニクス・エンジニアと言っても、こと真空管アンプに関しては、設計の基本的なところから応用に至るまで、まだまだ勉強不足です。

ということで、基本からもっと勉強しようと思い、年末に図書館から「真空管アンプの関連本」を借りてきました。

 

1. 情熱の真空管アンプ 木村 哲 氏著  2004年発行。

真空管アンプ・マニアにはよく知られた書籍で、今更って感じもしますが、全段差動アンプの製作を例題に、真空管とは何か?から、増幅回路の基本動作、設計から製作、調整、測定に至るまで、詳しく書いてあります。

 

2. 真空管アンプの素 木村 哲 氏著 2011年発行。

こちらも、木村さん(ぺるけさん)著です。

こちらのほうが新しいだけあって、文字が大きく、行間も広く、読み易くなっています。

内容的にも初心者に分かり易いです。

設計方法、計算方法、部品選定など、丁寧に書かれています。

また、人気の有る真空管の特性実測、実験データも載せてあります。

製作例では6DJ8ミニワッター・アンプとなっています。

この本はいつでも見れる様に購入して手元に置いておくべきと思いました。

真空管アンプの設計に大変勉強になります。ポイントが抑えられています。お薦めです。

Amazonの「なか見!検索」で目次を見る事が出来ます。

 

3. 魅惑の真空管アンプ / 浅野 勇 氏監修 (上巻) (下巻) (完結編) 

上巻は1972年、下巻は1975年発行の「魅惑の真空管アンプ(故・浅野 勇氏著」の原版がそのまま復刻されたものです。1990年初版発行。

 

完結編では同氏が1975年から1979年にかけて「無線と実験」誌上に発表された製作記事を復刻編纂されたものです。

この中に、今回私が参考にしたかったアンプの製作記事がありました。

 

年末年始休暇を挟んだため、貸出し期間は通常より長めでしたが、それでも読み切れません。

「魅惑の真空管アンプ」の中には、往年の著名な先生方の対談も有り、当時の真空管事情などがわかり、興味深いです。また借りる様にしようと思います。

実は、返却時に他の興味深い本を借りてきて、今読み進めているところです。また紹介したいと思います。

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今年の計画。

2020-01-12 12:41:44 | オーディオ

2020年、明けましておめでとうございます。と言っても既に10日以上が過ぎましたが、、、。

このブログも開設してから、今年で10年目を迎えます。

アクセス数が昨年末で280万PVを達成しました。今年中には300万PVを超える事でしょう。

開設した当初は、こんな他愛もないオーディオ・ネタでアクセスがあるだろうかと思いましたが、まあ自分のメモとして残しても良いやと思い始めました。

ところが、予想外にアクセスがあり、オーディオ好きなコアな方々が結構おられるのだなぁと感心しました。

アクセスが増えれば増えるほど、ワード検索の上位に位置するのか、次第にアクセスが増えていきました。こんなブログにお付き合い頂き有難うございます。

 

さて、年初にあたり今年の計画です。

 

5998 pp アンプの完成

年末から、この事に専念していました。ブログが更新出来ていなかったのも、この為です。

昨日、ほぼ完成しましたので、改造経緯や顛末を後日投稿したいと思います。

結果は、今迄にない良い音を奏でています。乞うご期待。

 

6C33C シングル・アンプの更なる音質アップ

昨年のシングル・カソード化とドライブ管の変更で音質アップが出来ましたが、更なる音質アップが出来ないかと部品交換等を目論んでいます。

 

JBL LE14A + LE175のネットワーク改良

アッテネータの新品への交換で音質改善がはかれました。今でも良い音で鳴っています。

次のステップとして、ターミナルの新品への交換、フィルタ・コンデンサの換装等で音の変化を楽しもうと思っています。

 

カセット・デッキのメンテに再挑戦。メカ動作の修理と音質の復活

3年前にメンテしたティアック V-5010ですが、その後、メカの動作に少々難があり、スタート時にテープが絡まる事があります。

メカ・ロジック基板の点検(電解コンデンサの交換が必要?)と、初期の音質を取り戻すために、アナログ基板の点検(こちらも電解コンデンサの交換が必要?)を検討中です。

アナログ・カセット・テープもブームの様ですね。

 

CDプレーヤー REVOX B226の更なる改良

今でも充分に良い音ですが、更なるチューン・アップを検討中です。

おそらく微変更になるでしょう。電源周りのフィルム・コンの交換くらい?

ひとつ気になっているのは、外部DACに接続する場合のデジタル出力波形のオーバー・シュートです。波形整形が必要かも?

 

オーディオ以外

年代物の機械式腕時計(スイス製)のメンテ。

結構な費用が掛かりそうなので、財布と相談が必要。

 

とまあ、ざっとこんなもんですが、途中で思いつきで色々なテーマが出てくるでしょう。

何はともあれ大前提となるのが、今年も健康で過ごせることです。

皆さまにおかれましても、健康で収穫多き年になりますように!

今年もよろしくお願いします。

 

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