ビビッド能里子トーク・サロン

心身両面の指導者として感じたこと

「オレ、認知症貴族」なるほど!と納得!

2015年10月02日 | えっせー
 夫は短期記憶がまったくできないが、かなり話すことは明晰で、結構
理路整然としている。「オレ、認知症貴族」と言う発言には、心理カウン
セラーの妻としてはビックリした。
確かに・・・「みんな覚えていない,あまり考えない、周りを気にしない
我慢しない、自由で思い通りに生きるのは何と楽なことだろう。認知症
に早くなった方が絶対に楽だ」と言った。
 夫の言葉は、実に正解だ。先日救急車で入院したことも、あれほど
ひどかった痛みも全く覚えていない。昔は「ぼけ」と言われ、また
「人生最後の幸福」とも言われたた現在の認知症は、確かにそうかも
知れない。でもそんな環境ばかりではないはずで、夫は恵まれている
からそう思うのだろうが、私の気づかいなどほとんど分からないようだ。
 
 常識人は「自分がそうなって、家族や他人に迷惑は絶対かけたくない」
と思っているが、妻として5年間そんな夫に寄り添い生きていると、彼の
「認知症貴族」の言葉が、胸にズシリときた。
 「先にぼけた方が得」「先に死んだ方が得だから、能里子は淋しがり
だから先に逝って良いよ、オレ大丈夫だから」と、無邪気に言う夫。
 私が最後まで見なければ、といつもかなり頑張っている私だけど
これから一体どうなるか分からない。でも、もともと穏和な人だから
そんな意味では大変楽で、その日、その日が無事で過ぎたことも
ささやかな幸せだと思っている。夫はメンタルな意味で、毎日まったく
ストレスがない状態で生活しているはずだ。
 同じことを何度行っても、私は初めて聞いたようにしているし、絶対に
機嫌を損じないようにしてはいる。

 昨夜もあまりのアナクロな夫に腹立ち、どうしようもない気分に
なったが、「自分の感情はコントロールすべき」と我慢した。
 でも、「これだけは言うべき」と思うことは、かなり厳しく伝えている。
そんな時夫は素直に聞いてくれるが、家族も彼のプライドを傷つけるような
発言は絶対にせず、全員が「パパ」「グランパ」とやさしく接している。
 ふつうの人は多分中々難しいことを、私の態度を見て、家族全員が協力
体制でそれを守ってくれているのは嬉しいことだ。
 効果的だと言われている「回想法」はプロとして、日常的に取り入れて
いるのは当然の流れだが、現在の彼にとっては最高の状態で生活している
はずだ。ときどき「もしかしたら私は、夫のために心理カウンセラーに
なったのかもしれない」と、導かれた運命の不思議さをしばしば思う。
 いずれにしても介護者である自分自身、その精神状態の管理も重要な
ことだ。でも、私もかなり自由に行動できるので、そんな意味では
感謝しているけれど。でも、改めて考えたら、妻としての対応が良い
ことなのだと気づいた。

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