ビビッド能里子トーク・サロン

心身両面の指導者として感じたこと

緩やかに変化する認知症の夫

2012年10月28日 | えっせー
  ★ 短期記憶が全然できないて
 買い物に行くと必ず一つは忘れるし、友人と約束したことを覚えていないので、
わたしは彼のスケジュールもしっかり把握していなければならない。
 でも、認知症であることを公表してあるので、ことに女性の友人達は細やかに
気を使ってくれるが、それはがとても有難い。
 先日もカレンダーに二か所、戸棚にも張ってあったある予定表を見て、夫なりに
忘れまいとガンバっているのだと、可哀想になり胸がいっぱいになった。
 もしもわたしは記憶がどんどんなくなったとしたら、どうしようもない恐怖感に
駆られることだろう。そう思うと夫が気の毒でならない。
 そのための不安感のためか、一時的にうつ状態に近くなったが、もともと楽観的で
明るい夫は、最近屈託がないのでホッとしている。
 彼に電話がかかれば耳をすまし、場合によってはわたしが直接聴くこともある。
時にはほんの5分前の事も忘れるが、同じことを何度聞かれても答えるし、決して
責めたりしないためか、情緒は安定しているし今現在はふつうと変わらない。
早朝一人で起きて、もう40年以上習慣のウオーキングに出かけていくが、その
仲間達との交流が、夫の精神面にどれほど良い影響を与えているのだろう。

 わたしもできるだけ外出を控えているが、現在はそれほど不自由ではない。
以前より物事に関心がなくなったわりには、時々言語障害になるわたしの言葉尻
を敏感に捉えては、「主語がないから分からないよ」などとよく笑う。
 毎日飲む治療の薬もが管理しているが、困るのは何回言ってもなかなか飲まない
ことで、それだけは真剣に怒ることもある。
 先日夫とわたしとのやり取りを、偶然聞いてしまった友人が、「能里子さんてホント
にやさしいのね」と感心していた。何故ならそれは、彼は子供達も呆れるほど、寛容で
包容力があると言うか、娘がよく「パパはママの保護者みたい」と言うほど、やさしい
人だったからだ。親しい友人達は夫を「ちょっと神様」と言ったが、わたしのすべてを
受け入れてくれた。しかしどんな忙しくても、たとえ海外に行っていても、高血圧の
彼のために家政婦さんを雇い、食事は無論だが、日常的に不自由はさせないように
配慮したし、長年の努力を認めてくれたからこそ、自由にさせてくれたのだろう。
 インテリではないが、夫を人間的に尊敬しているし、その恩返しも含めて、これから
も彼に何が起ころうと大切にしたいと思えるのは、妻としては幸せな部類なのだろう。

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