ビビッド能里子トーク・サロン

心身両面の指導者として感じたこと

著書の中から「私は自分をこう変えたい」(後)

2010年07月19日 | アドバイス
 1993年3月 同文館出版発行
  ☆ 不安感をなくしたデザイナー
「三つ子の魂百まで」と言いますが、その人の性格の核になる部分は幼い頃の
環境と切り離せません。性格を形成する大切な時期に、愛情という滋養を受け
られなかった子供達は、悪くすると「潤いがなく、不安感の強い性格」になる
恐れがあるのです。(もちろん全ての人がそうなるわけではありませんが)
 まさにS子さんはその典型だったのでしょう。
その内向的な性格のため、彼女に思いはいつもそこに戻ってしまう。
 そして、子供の頃の欲求不満に焦点を当てて、こだわればこだわるほど
そこから抜け出せなくなってしまうわけです。

 「その母の影響かもしれませんが、今でもわたしは、すべて完全にしたいと
思うのです。完成した時点では自分でも満足できた作品がありますよね。
でも何日が過ぎると、あれはもしかして失敗作でなかったかしら、と不安が
ムクムク湧きあがってきてくるのです。するともうダメで、落ち込んで眠れ
なるから睡眠薬を飲むのです。するとまた、こんなことをしたら体に悪いのでは
ないかしら、と悩んでしまうのです」
 S子さんの心の中には、絶えず不安と後悔が渦を巻いているようです。
今の彼女にとって必要なことは「ほどほどで満足する」ことだと思ったわたしは
こんな風に話したのです。「人間は神様ではないから、完全無欠なんてあり得ない。
人間の知恵を総結集したあのスペースシャトル“チャレンジャー”でさえ
思いがけないアクシデントであんな結果になり、世界中を悲しませたではあり
ませんか。どんなに優秀な人でも多少のミスはあるものです。それに過ぎてし
まったことをクヨクヨ後悔するのは、エネルギーの無駄使いではないかしら」と。
 S子さんには心身に科学的なセルフコントロール法「自律訓練法」をベースに
、プラスの自己暗示法を指導しました。

これは不安に苦しむ他の読者の皆さんにもお役に立つかもしれませんので、ご紹介
しましょう。
※ わたしは自信を持って生きられるし、不安に思うことは何もない。
※ わたしには能力がある。
※ わたしはいつも明るくて、毎日が楽しい。
※ わたしはいつも運が良い。
※ 目標や願望は必ず実現する。
 わたし達はイメージと自己暗示で生きていますが、強烈なプラスの暗示をくり
返し、自分に語りかけるうちに、ステップ・バイ・ステップで少しづつ、不安感
や捉われから解放されていきました。すると、S子さんの表情もだんだん明るく
なってきて、以前は引きつっていた顔にも、ときどき笑顔が浮かぶようになり
睡眠薬の常習からも、いつの間にか抜け出していたようです。
それから一年あまり……今では、人が変わったように自信に満ち、仕事への
意欲も増して、つぎつぎと新しいデザインを発表しているようです。
それからしばらくして、S子さんからこんなステキなお礼状をいただきました
ので、ご紹介しましょう。
 「前略 両親には命をもらいましたが、先生には生きるための命を吹き込
んでいただきました。今はお陰様で毎日が充実して、とても幸せです。本当に
有難うございました。後略」不安感は逃げれば逃げるほと、追いかけてくるもの
ですが、勇気を出して自分の弱い部分を克服したS子さんの幸せを祈りました。


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