「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

震災などを体験した子どもの心の傷(トラウマ、心的外傷)について

2024-03-01 05:59:41 | 小児医療

問い:震災などを体験した子どもの心の傷について教えてください。

回答:
子ども達は、身の安全を脅かされるような恐ろしい体験をすると心にも傷(トラウマ、心的外傷)を負います。

起きた出来事を大人のように十分に理解できないし、気持ちや出来事を言葉で表現できません。態度や生活の変化を大人が気づいて対応しなければなりません。

直後には、不眠、食欲不振、頭痛、下痢などの体の症状のほか、赤ちゃん返りなどの退行現象やおびえる、悪夢をみる、いらいらするなどの症状が表れます。出来事が無意識に思い出され再体験したり(フラッシュバック)、現実感を失い集中力が低下しボーッとしたようになり、好きだったことをしなくなったり、成績が下がったりします。子どもの示す行動は、衝撃的な経験をなんとか受け入れようと子どもが苦しんでいるサインで、年齢によって様々です。

毎日のリズムを崩さず規則正しい生活を送れるように。赤ちゃん返りを受け入れ、「大丈夫だよ」と言葉に出して伝えて下さい。何度でも子どもの話に耳を傾けて。友達と遊ぶ時間や場所を作り、楽しみにしていることは続けさせてあげて。社会的活動の場で、身体を動かし、人と関わり楽しさや役立ち感をえることも中学生位では不可欠です。


早期に身近な大人の適切な対応で心の傷を癒すことが可能。ただし、1ヶ月以上症状が消えないときにはPTSD(心的外傷後ストレス障害)とよび専門的ケアが必要です。

支援の詳細は、日本小児科医会作成『子どもの心のケアのために』がまとまっています。
https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/PTSD_leaf.pdf






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